自然災害や人口の減少など、あらゆる理由で住人がいなくなってしまった場所は、通称「ゴーストタウン」とも呼ばれています。
人が住めなくなってしまった地域や入居者のいない新興住宅地、世界にはそんな無人の地がいくつも存在するのです。
人々が去った地に残るは、朽ち果てた建物に寂れた風景。原因はさまざまですが、廃墟が並ぶ無人の地はどこか奇妙でミステリアスな雰囲気を感じます。
この景色に「美」を感じる芸術家も多く、ゴーストタウンを題材にした作品も多く発表されているのだそう。今回は、そんな哀しくも美しい「ゴーストタウン」の写真をもとに、歴史や魅力をお伝えしていきます。
目次
- 1捕鯨の衰退により廃墟と化した島
- 2砂漠にのみこまれてしまった街
- 3ダイヤモンドの枯渇で砂にまみれた村
- 4世界最北端にあるゴーストタウン
- 5悲しい事故により無人になった都市
- 6たった一日で消えてしまった村
- 7深刻化する町の「スラム化」問題も
捕鯨の衰退により廃墟と化した島
グリトビケン/サウスジョージア
サウスジョージアの「グリトビケン(Grytviken)」は、南太平洋に浮かぶイギリス領サウスジョージア諸島にある捕鯨基地跡です。
1904年より鯨油基地として確立するも、その後60年の間徐々に鯨が取れなくなり、退去せざるを得なくなってしまいました。
最盛期には約300人もの男性作業員が働いていたそうで、鯨油のほかにゾウアザラシの油採取もおこなわれていました。
その後、衰退が進み、最終的に捕鯨を放棄。島には廃墟と化した家屋や鯨油関連施設、廃船が多数残されたままです。
捕鯨基地跡となったいま、現地は南極大陸観光スポットとして開放されています。
島には捕鯨者の墓地や教会のほか、博物館やお土産屋さんもあり、当時の歴史を後世に伝える大切な地として残されているのだそう。
砂漠にのみこまれてしまった街
コールマンスコップ/ナミビア
お次は、アフリカ南西部に位置する共和制国家・ナミビアにあるゴーストタウン。街ごと砂漠にのみこまれてしまった都市「コールマンスコップ(Kolmanskop)」です。
1908年、この地でダイヤモンドが発見されました。当時ドイツ領の一部であったことから続々とドイツ系の鉱員たちが集まり、村は瞬く間に発展。
村にはドイツ風の建物が立ち並び、病院や学校といった公共施設のほか、カジノやダンスホール、ボウリング場といった娯楽施設までもあり、鉱山で働く労働者のための地域として栄えていたそうです。
一時期はダイヤモンド鉱山の拠点として繁昌するも、第二次世界大戦後にダイヤモンドの価格が暴落。村は一気に衰退の一途を辿り、1954年には完全なるゴーストタウンと化してしまいました。
人々の去った村はそのまま砂漠にのみこまれ、人の背丈ほどの砂があたり一面を覆うまでに。その奇妙な景色はさながらアート作品のようです。
砂漠の地質的な特性により、砂の上に登ることもできます。
当時のまま残されている病院も。コールマンスコップは現在観光地として人気が高まっており、現地のガイドツアーでは、きれいに保存された当時の家の様子や建物内も見学できるそうですよ。