身近な言葉であっても、意外にその由来や背景を知らないケースがありますよね。
例えば、国内外で耳にすることのある「フレンチフライ」という言葉。フレンチという名前からフランス発祥の料理のように思えますが、実はベルギー発祥という説もあるのです。
そこで今回は、明日誰かに教えたくなるような、身の回りの食べ物の呼び名に隠された意外な歴史や背景をまとめてみました。
アンデスメロンの「アンデス」
みなさんアンデスメロンをご存じでしょうか。マスクメロンに見た目がそっくりの人気の品種で、カットすると果肉が緑色をしています。
このマスクメロンの「マスク」についても、風邪予防の衛生用品である「mask」だと思われがちですが、マスクメロンの「マスク」は「musk」で香りがとても強いという意味になります。
そんなアンデスメロン、名前からして「アンデス地方」が原産地のメロンと普通に思ってしまいますよね。
アンデスは南米大陸の太平洋側を縦断する大山脈で、その延長は約9,000メートルと知られています。そちらの方面にルーツがあって、日本でも栽培をスタートしたと思ってしまいがちですが、実はアンデスメロン、日本が原産です。アンデス地方にルーツはありません。
「安心ですメロン」から「アンデスメロン」が生まれた!
山口佳紀編『暮らしの言葉 新語源事典』(講談社)にその経緯が詳しく書かれていて、アンデスメロンは1977(昭和52)年に、種苗メーカーのサカタのタネ(神奈川県)が開発した国産の品種になります。
品質が安定しており、苦労せず安定しておいしく生産できるという利点を宣伝した、「安心して栽培できる(食べられる)メロン」が語源になっているのだとか。
小学館『大辞泉』にも、「作って、売って、買って、安心ですメロン」というキャッチコピーが、「安心ですメロン」→「アンシンデスメロン」→「アンデスメロン」という名称の語源になったと紹介されています。