「世界の時間の基準」といわれたら、何を思い浮かべますか?おそらく、イギリスのロンドン近郊にある世界の時間を決めた「グリニッジ天文台」だと思います。
しかし、もうひとつの時間の基準が、福井県内の湖の底にあるといわれたら、どうでしょうか。今回は福井県の三方五湖(みかたごこ)のひとつ、水月湖の底にある7万年分の時間の「ものさし」を紹介します。
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「世界の時間の基準」が福井県で見つかった
福井県の南部(嶺南)、若狭湾に面した場所に、三方五湖と呼ばれる湖があります。読み方もユニークですが、成り立ちもユニーク。
「5つの湖」と書かれているように、山と海の境に大小5つの湖(日向湖、久々子湖、水月湖、菅湖、三方湖)が隣接し、それぞれが細い水路のような川で連結しながら(5個のうち日向湖だけは独立)、全体でひとつの湖を成しています。
5つの湖のうち、独立して海とつながった「日向(ひるが)湖」は、最も塩分濃度の高い塩水湖。
海岸線に触れ合うくらい海に近い「久々子(くぐし)湖」は汽水湖で、その汽水湖と水路のような浦見川で連結した「水月(すいげつ)湖」は、表面が淡水、湖底が海水です。
その湖から奥まった位置にある「菅(すが)湖」も汽水湖、海から見て最も奥にある「三方(みかた)湖」は、いくつかの川から水が流れ込んでいるため淡水湖です。
今回の注目は、5つの湖のなかでも位置的に真ん中にある最大の湖、水月湖です。
この湖の底には、約7万年前までの地層が奇麗なしま模様で途切れずに連なっていて、この地層が世界の時間の基準になっているのですね。