昔は果汁を絞るだけだったレモンが、近年ではヒトアジ違う調味料として脚光を浴びています。
その布石は、塩とレモンという身近な材料でありながら、マイナーな存在だった「塩レモン」がブームになったことでした。塩麹同様、食卓に常備されるようになった塩レモンの勢いにのり、いまではレモンを原料とした商品は数えきれないほどに。
さて、レモンを使った商品を全国区に押し上げた県として忘れてならないのは、国産レモンの生産量が全国一の広島県(2017年度の産特産果樹生産動態等調査より)。
いまや、香川県の「うどん県」のごとく、「レモン県」と呼ばれる広島県では、創意工夫を凝らしたいろいろなレモン加工品が出回っています。
二大ブランド「瀬戸田レモン」と「大長レモン」
広島のレモンは主に瀬戸内海の島々で栽培されています。生口島と高根島で収穫される「瀬戸田レモン」と、大崎下島・豊島・大崎上島などで栽培されている「大長レモン」が県の二大レモンブランド。
とくに、生産量が国産レモンの約3割を占める瀬戸田レモンは、通常のレモンより化学合成農薬と化学肥料の使用量を50%以下に抑えた、皮ごと食べられる「エコレモン」とよばれ、引く手あまたの人気ぶり。
東京にある広島県のアンテナショップでは、入荷するとすぐに売り切れることもあるのだとか。
瀬戸田町のレモン栽培は明治時代から始まり、しまなみ海道を結ぶ橋のひとつである、多々羅(たたら)大橋のたもとには、国産レモン発祥の「レモン谷」という場所まであります。
生産量は日本一だけど、県民でさえその事実を知る人は少なく、ちょっと残念な存在感だった広島県産レモン。その風向きが変わり、「レモン推し」されるようになったのは、2012年ころから。
広島県が行った観光PR「おしい!広島県」キャンペーンにレモンが大きく取り上げられ、県民にも「広島県=レモン」の認知されはじめました。切った断面がハート型の愛らしいビジュアルのレモンが登場したのもこのころです。
翌2013年には、「ひろしま菓子博2013」が広島市で開催されたことも大きな追い風に。
参加企業がレモンを使ったお菓子を出品し、広島のレモンが大々的にPRされたのです。そして2014年には空前の塩レモンブーム!
なんだか「持ってる」広島県産レモン。振り返ると、レモンが世に出るような事象が年々起こったことがわかります。そして、現在のようにさまざまなレモン加工品が作られはじめました。
その流れにのり、いまではJR広島駅や広島空港の売店では、お約束のように「レモン加工品コーナー」が登場しました。
商品点数も多く、しかもパッケージカラーがたいていレモンイエローなので、コーナーはいやでも目立ちます。そこにはどんなものが並んでいるのでしょうか。実際に、広島で見つけたお土産にぴったりなレモン加工品を紹介していきましょう。