私がアメリカに初めて移り住んだのは1983(昭和58)年のこと。大昔です。そのころはロナルド・レーガンがアメリカ大統領で、マイケル・ジャクソンのアルバム『スリラー』が大ヒットしていました。
それ以来、何回か日本とアメリカとの間を往復しながらも、在米生活は通算で約30年にもなります。
それだけ長く住んでいて、生活レベルでしみじみ感じるのは、日本とアメリカとの距離感がどんどん狭くなってきているということ。
というのは、以前とは比べられないほど、アメリカ(特に私が住む南カリフォルニア)では日本のあらゆるモノが簡単に手に入るようになっているからです。
私の大好きなお酒類もそのひとつ。以前は限られたブランドの日本酒とビールぐらいを、日本食やほかのアジア食品店でしか見ることができませんでした。
しかし最近では、日本のさまざまな種類やブランドのお酒がアメリカの一般の店頭にまで並ぶようになりました。
「SAKE」といえば、もはや 「SUSHI」「KARATE」「TOYOTA」と同じように立派な英単語だといえるでしょう。
アメリカ人の誰しもが「SAKE」とは日本のアルコール飲料のことだと知っています(たぶん)。
それ以外にも、いまではウイスキーや焼酎、泡盛、チューハイにいたるまで、さまざまな種類の日本のお酒を普通のスーパーマーケット、ディスカウント・ストア、リカー専門店などで見かけることができます。
もちろん、あくまでアジア人口が多い南カリフォルニアでは、という但し書きです。
広いアメリカ国内のすべての地域をくまなく調査したわけではありませんが、なかには不思議な商品名で売られているお酒も。早速、アメリカ国内でのお酒事情についてご紹介していきます。
日本が世界に誇る「高級ウイスキー」が専用棚に並ぶ
日本でも展開している「コストコ」は、アメリカでもっとも有名なディスカウント・ストア・チェーンのひとつ。
会員制の倉庫型店舗という営業形態も日本と同じです。生活用品や食品を箱売り、もしくは大容量パックで売ることで価格を抑えるのがコストコの特徴なのですが、お酒類もその例に漏れません。
大量販売で低価格というコンセプトに沿ったビール、ワイン、ウイスキーなどの瓶がぎっしりと並んだ陳列棚。通路一杯に広がっているセクションは、私にとってはコストコでもっとも心が躍る場所です。
そのなかで異彩を放っているのが日本のウイスキーです。この「倉吉」というウイスキーは、$79.99(約8,400円)で売っていました。
それぐらいではちっとも高価とはいえないぞ、という人もたくさんおられるでしょうが、このリーズナブルな製品がそろうコストコの店内では際立って見えます。
アメリカ国内にはリカー専門店のチェーンもいくつかありますが、そのうちのひとつ「BevMo!」に行くと、鍵のかかった立派なケースにもっとたくさんの日本製ウイスキーが並んでいました。
サントリー、ニッカのような日本でお馴染みのメーカー名もあれば、私などはよく知らない名前も混じっています。
高価なウイスキーだけではなく、日本酒は普通のスーパーマーケットにもワインとして売っていたりしますし、日本のビール(キリン、サッポロ、アサヒ)もさほど珍しいものではなくなりました。
ただ、さすがは多様性に富んだ文化を重んじるアメリカです。
スーパーマーケットの日本酒(?)コーナーには、私たち日本人の感覚からすると、ちょっと変わった日本語と絵が描かれたラベルの品も混じっていることがあります。
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