2020年に福井県越前町の漁港で、2匹の「リュウグウノツカイ」の泳いでいる姿が発見され話題になりました。
リュウグウノツカイといえば成魚はサッカーゴールの横幅くらいに大きくなる深海魚で、目撃例の比較的多い日本海側の福井では、人魚伝説のモデルにもなったといわれる生き物です。
その姿に不釣り合いなつぶらな瞳など、ビジュアルには何か見る者の視線をくぎ付けにする迫力がありますが、日本近海には他にもまだまだリュウグウノツカイだけでなく、不思議な魚がいっぱい暮らしているようです。
そこで今回は日本近海で話題で、リュウグウノツカイよりも珍しいといわれるミステリアスな深海魚を紹介します。
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リュウグウノツカイより珍しい「テングノタチ」
冒頭でリュウグウノツカイは、日本海側の福井で目撃されることがあるとお伝えしました。
2020年2月には、福井県の越前町で2匹の成魚の泳ぐ姿が撮影されましたが、同じ福井県にある美浜町の沖合では同年の11月28日、リュウグウノツカイよりも珍しいといわれる「テングノタチ」という深海魚が大型定置網に入り、捕獲されました。
捕獲後に持ち込まれた福井県坂井市にある越前松島水族館によれば、テングノタチとはリュウグウノツカイの仲間だとの話。
調べてみると、同じアカマンボウ目に分類されるのですね。そのため、リュウグウノツカイのように長細い体と、銀灰色の体色、赤いひれが見られます。
しかし、全体的に体長はリュウグウノツカイよりもはるかに小ぶりで、新体操の選手が使うリボンのように細くて長い体形が特徴的。
全長は成魚で1m以上ですから、正直迫力とミステリアスさは、名前からしてリュウグウノツカイの方が勝っているかもしれません。それでも希少性は、テングノタチの方が勝っているみたいですね。
越前松島水族館では死骸が2020年11月28日と29日に展示されましたが、アカマンボウ目に共通する点として、生きて泳ぐ場合は、水中で垂直に立って漂うように移動するみたいですね。
テングノタチは名前の通り、天狗のように鼻が長く、肛門から墨を出すという超激レアな魚。
しかし、福井新聞の取材に応じた越前松島水族館の担当者によれば、この珍しい魚が、2020年は福井県の若狭湾で他にも3例見付かっているといいます。
同じ北陸の富山でも見つかっており、12月には富山との県境に近い新潟県糸魚川市の能生の海岸にも打ち上り、地元の高校生が発見して、上越市立水族博物館うみがたりで2020年12月19日からテングノタチの標本展示が始まりました。
リュウグウノツカイなどの深海魚が打ち上ると、地震が起きるなどの俗説は迷信だと、東海大学海洋研究所と静岡県立大学のグループが証明しています。
しかし本来は太平洋側に多いといわれる珍魚のテングノタチがこれほど日本海側で見付かるとなると、やはり人情として何かの予兆を疑ってしまいますよね。
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