人魚のモデルになった深海魚。福井で2匹が目撃された「リュウグウノツカイ」

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2020/03/08

みなさんは人魚(マーメイド)の存在を信じますか?一説によると、人魚はジュゴンがモデルになっているといわれています。

しかし、日本の人魚はちょっと事情が違っていて、実はリュウグウノツカイという深海の珍魚がモデルだと、本間義治著『日本古来の人魚、リュウグウノツカイの生物学』で明らかにされています。

このところ、北陸を中心に日本海側で目撃が相次ぐ不思議な生き物。今回はそのリュウグウノツカイについて深掘りします。

成魚はサッカーゴールの横幅くらい大きくなる

イメージです。image by:Shutterstock.com

そもそもリュウグウノツカイとは、どういった生き物なのでしょうか。図鑑『小学館の図鑑NEO 魚』によると、アカマンボウ目のリュウグウノツカイ科に分類されるそう。

体長は6.8m程度。プロサッカーの試合会場に設置されるゴールの横幅が7mくらいですから、成魚のリュウグウノツカイは、かなり大きな水生の生き物だと分かります。

生息地は北海道から九州南岸の各地、沖縄、インド洋、太平洋、地中海各地とされています。蒲原稔治・岡村収著『原色日本海水魚類図鑑1』(保育社)では、全世界に分布すると書かれていて、日本に限っていえば、

<鹿島灘から鹿児島、佐渡から山口県までの間の所々>(『原色日本海水魚類図鑑1』より引用)

で発見が報告されているのだとか。

一般的にはリュウグウノツカイは深海魚といわれています。北村雄一著『深海生物ファイル』(ネコ・パブリッシング)を読むと、深海の最上部、水深200mくらいの場所に暮らしているそう。

image by:Shutterstock.com

水深200mとは、まさに深海の入り口です。気圧は地表の約21倍、1平方センチメートルあたり、21kgの圧力がかかる世界です。小指の先で、10kgの米袋をふたつ持ち上げるイメージですね。


太陽の光もかなり制限されます。深海200mの場合、海面の0.1%の光しか届きません。海の上が昼間の晴天だとすれば、水深200mは夜の街灯の下くらいの薄暗さになります。

そんな環境下で、リュウグウノツカイは静止しているときに立ち泳ぎをして、移動するときだけゆっくりと横向きに泳いでいるみたいです。

確かに2020年2月にも、福井県の越前町で2匹の成魚の泳ぐ姿が撮影されました。その映像をあらためて見てみると、立ち泳ぎに近い瞬間が見られるような気もします。

食べ物は、例えばオキアミといわれる小さな甲殻類を食べているようです。エビに似たプランクトンの一種で、肉眼でも十分に確認できるくらい大きい(数センチメートルの)生き物になります。釣りをする人であれば、見慣れた生き物ではないでしょうか。

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