日本海で相次ぐ発見も。リュウグウノツカイより珍しい深海魚「テングノタチ」
ミステリアスな深海魚「アカナマダ」
先ほど、リュウグウノツカイとテングノツカイが同じアカマンボウ目に分類されると紹介しました。
ためしにわが子の持っている『小学館・NEO[新版]魚』(小学館)でアカマンボウ目を調べてみると、この目には打ち上るたびに騒がれるエース級の珍魚が勢ぞろいしていると分かります。
同図鑑によると、アカマンボウ目は世界に約20種、日本に11種が存在しているとのこと。体の形が円盤やリボンのように不思議な形をしています。
特にリボン状の形をしたアカマンボウ目の魚は、軟条といわれる柔らかい背びれが200~400本もあり、その背びれを波のように動かして移動します。
さらにその軟条は、リュウグウノツカイなどはその典型例ですが、例えば「アカナマダ」という魚も一緒です。
角ばった頭と赤い背びれ、銀色の体色はいかにもミステリアスで、2020年5月には日本海側にある富山県射水市の堀岡沖で捕獲され、同県の魚津水族館に運び込まれています。
- スポット詳細記事
- >>>日本最古の水族館。100年以上の歴史を誇る、富山「魚津水族館」
2020年は目撃例が続いたそうですが、2019年に関していえば、31年ぶりに見つかったくらい、やはり珍しかったといいます。
さらにテングノタチと同じように、アカナマダも肛門から墨を出す特徴があるそう。『小学館・NEO[新版]魚』(小学館)によれば、成魚は全長で2mに達するといいます。リュウグウノツカイほどではないですが、かなりの大きさですよね。
しかし、魚津水族館でアカナマダを解剖してみると、胃袋にプラスチックごみがぱんぱんに詰まっていたのだとか。
同水族館の学芸員によれば、イカと間違えて飲み込んだとの話ですが、これだけミステリアスな珍魚にも海洋ごみ問題が迫っていると考えると、余計に複雑な思いですね。
リュウグウノツカイに間違われる深海魚「テンガイハタ」
他にも、同じアカマンボウ目で「テンガイハタ」も珍魚とされています。
アカマンボウ目のなかでもリボン状の体をした魚で、リュウグウノツカイにも間違われる深海魚です。体長は成魚で160cmほど。
かつて釣り人が境港市の境水道で釣りをしているところ、表層を旋回して泳ぎ回っている現場に出くわしたそうで、その場で捕獲し、鳥取県に持ち込まれたと書かれています。
リュウグウノツカイに始まってアカナマダ、テンガイハタなど、巨大で不思議な形をした深海魚。どれも見つかれば関係者はざわつきます。
最近は日本海側でアカマンボウ目の発見が相次いでいます。新型コロナウイルス感染症の影響が落ち着いたら、日本海側の海辺に出かけて、浜辺や護岸で偶然にも遭遇するチャンスにかけてみてもいいかもしれませんね。
- 参考
- リュウグウノツカイより希少な深海魚 越前松島水族館で「テングノタチ」初展示 – 福井新聞
- 深海魚5mリュウグウノツカイ捕獲 14日まで展示 – 毎日新聞
- 稀少な深海魚「テングノタチ」19日(土)からうみがたりに展示 – 上越妙高タウン情報
- 深海魚「テングノタチ」 氷漬け標本を展示 上越市立水族博物館 – 上越タイムス
- 「深海魚の出現は地震の前兆」は“迷信”と断定…そのウラには地道な情報収集があった – FNN
- 1928~2011 年に日本で確認された深海魚出現報告-東海大学海洋研究所研究報告 第39号(2018) 37~79 頁(PDF)
- 人気は深海魚コーナーの水族館!しかし、31年ぶりに富山湾で捕獲された「アカナマダ」からはプラスチックゴミが…【富山発】 – FNN
- 『小学館・NEO[新版]魚』(小学館)
- 『日本古来の人魚、リュウグウノツカイの生物学』-本間義治
- 人魚の進化-吉岡郁夫
- 極東で初 巨大な珍魚リュウグウノツカイ発見 目撃者の証言【写真】-sputnik
- 八百比丘尼入定洞-ふくいドットコム
- 幻の魚「リュウグウノツカイ」を食べちゃった!? そのお味は… -AERAdot.
- 深海はどんなところ?-国際海洋環境情報センター
- image by:Eric Woroch, NMFS-PIRO Observer Program, Public domain, via Wikimedia Commons
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