太古の海水の温泉。フォッサマグナが生んだ、新潟「糸魚川温泉」
温泉選びのポイントはたくさんあります。例えば、素晴らしい食事が楽しめるだとか、宿からの眺めが優れているだとか、温泉街の雰囲気に趣があるだとか。さらには温泉の泉質そのものが優れているという場合もありますよね。
そこで今回は、本州を2つに分ける断層線「フォッサマグナ」の影響で湧き出した上質な湯をご紹介していきます。
新潟県の南西部、富山県との県境にある町で、約1,500万年前の化石海水型温泉に日帰りで入浴することができるのでぜひ参考にしてみてくださいね。
フォッサマグナで有名な糸魚川にある温泉
糸魚川(いといがわ)という地名を今までに聞いた覚えがありますか?地質に詳しい人であれば、糸魚川静岡構造線の名前が思い浮かぶはずです。併せてフォッサマグナという言葉も出てきますよね。
工場夜景に詳しい人であれば、北陸自動車道の糸魚川I.C.付近にあるデンカや明星セメントの工場を思い浮かべるかもしれません。街道に詳しい人であれば、糸魚川にある親不知の険路が真っ先に頭に出てくるはず。
しかし現実問題として、地質に詳しい人などは世の中に少数派。工場夜景を愛好する人も、全国の街道を熟知する人も、人数で言えば限られていると思います。その意味で、糸魚川という地名を知らない人の方が多いのかもしれませんね。
糸魚川は地理的に言えば、長野県の国際的なリゾート、白馬の北側になります。その白馬を源流に日本海まで流れ下る姫川の下流域にあり、姫川に並行するような形で、鉄道ファンに人気のJR大糸線も南北に走っています。
フォッサマグナ糸魚川温泉の最寄り駅であるJR姫川駅は、JRがかつて国鉄だったころに国鉄として最後に作った駅としても知られています。
糸魚川とはユニークな地名ですが、
<イトヨ(糸魚)の住む清らかな川から生まれた>(『新潟県大百科事典』(新潟日報事業者)より引用)
といった由来だとか、
<糸井造の開発した糸井荘に由来するとの伝承>(『角川日本地名大辞典』角川書店)
といった由来があるといいます。先ほどのフォッサマグナとは、
<大きな溝の意>(岩波書店『広辞苑』より引用)
という意味で、古い時代の巨大な岩石の溝に、新しい時代の岩石が詰まった場所を言うのだとか。日本海側で言えば糸魚川から直江津まで、太平洋側で言えば静岡から平塚までの幅がある溝で、その巨大な溝が(見た目では分からないものの)日本列島の南北に縦断しているのですね。
フォッサマグナの西側の縁(古い時代の岩石と新しい時代の岩石の境界線)を糸魚川静岡構造線と呼びます。
「糸魚川温泉クアリゾート ひすいの湯」では、そのような地質学上とても重要な意味を持つ糸魚川の地中に閉じ込められた、熱い太古の海水に入浴できるのですね。