もうひとつの京都観光名所「伊根の舟屋」とは?

京都府の北部、丹後半島に位置する伊根町は舟屋で有名です。伊根湾に沿って230軒もの舟屋が立ち並び、その美しい町並みは国の「伝統的建造物群保存地区」に選定されています。「伊根の舟屋」とは、どのようなところなのか、ご案内します。

伊根の舟屋とは

舟屋とは舟のガレージのこと。ですから実は舟屋は全国にあるのですが、「伊根の舟屋」は1階がガレージ、2階が住居スペースになっている独特の造りになっているのが特徴です。海岸ギリギリに立っているので舟にのって海側から見ると、まるで海の上に家が浮かんでいるように見えます。

「伊根の舟屋」があるのは

image by:Google map

「伊根の舟屋」がある伊根町は丹後半島の先端東側、若狭湾のさらに内側に位置しています。舟屋があるのは、その伊根町の一角、全長約5kmの伊根湾の海岸に沿って舟屋が立ち並んでいます。

伊根湾は湾の入口にある青島が防波堤の役割を果たしているので風の影響を受けにくく、しかも日本海にありながら湾が南を向いているので海がとても穏やか。通りを歩いていると時折、舟屋の奥から波音が聞こえ、ゆったりとしたときが流れる静かで美しい海辺の町です。

舟屋の数は230軒!こんなにも舟屋が残っているのは伊根だけ!

「伊根の舟屋」がいつ誕生したのか、正確には分かっていませんが、戦国時代にはすでにあったと言われています。

江戸時代初期の絵図には湾に沿って家が立ち並ぶようすが描かれており、しかも舟屋の数は今と同じ230軒!江戸時代と今の戸数が同じだなんてびっくり!そして全国に舟屋は数あれど、こんなにも舟屋が残っているのは、ここ伊根だけなんですよ。

なぜこんなにも伊根に舟屋があるのか。それは伊根では昔から一家に一艘(いっそう)、舟を持っていたからなのです。伊根は海からすぐ崖(山)になって平地が非常に少ないので、どこかに行くには山を越えなくてはいけません。

例えば山を登って宮津や舞鶴に行くより舟で行ったほうが早いので、日常の交通手段としても大切だったのです。それって今の地方における自家用車を持つ感覚と似ているかも⁈だから、これだけ舟屋があるのですね。


「伊根の舟屋」は、はじめから2階建てではなかった!?

ところで「伊根の舟屋」は初めから2階建てで1階がガレージ、2階が住居スペースだったわけではないんですって!


昔の舟は木造で漁に使う縄は麻。ゆえに海につけておくと木も麻も腐ってしまいます。そこで舟が一艘、入るぐらいの藁葺の小屋を建てたのが始まりでした。

やがて板を渡しただけの2階部分で網を干したり、漁具を置いたりするようになるのですが、それでも今のような立派な部屋を持つ2階建ての舟屋になったのは昭和初期からなのです。

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