大自然の姿をそのままにアートと組み合わせることによって一躍SNSで話題になったのが、新潟県十日町市にある「清津峡渓谷(きよつきょうけいこく)トンネル」です。
日本三大峡谷のひとつとして知られる「清津峡」は、かつて自然を楽しむために訪れる場所でした。しかし2018年にリニューアルされたそのあとは、自然とアートをともに楽しめるほかに類を見ない場所として人気の幅を広げています。
※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウィルスの海外渡航・入国情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
「清津峡渓谷トンネル」とは?
新潟県十日町市は、のどかな田園風景の広がる静かな町です。新潟県の南に位置する十日町市は自然を満喫できる町として知られ、年間を通して多くの観光客が訪れます。
日本の棚田100選にも選ばれている「星峠の棚田」や、パワースポットとしても知られる「美人林」などここでしか出会えない自然がたっぷり。
「清津峡渓谷トンネル」も十日町市が誇る大自然の名勝地ですが、美しいだけでなく、素晴らしくフォトジェニックな景色が見られる場所としてSNS世代から注目を浴びています。
「清津峡」は三大峡谷のひとつで、富山県の「黒部峡谷」、三重県の「大杉峡谷」と並ぶ名勝地として、国の天然記念物にも指定されています。
信濃川の支流のひとつである清津川の流れと、およそ500年前のマグマが生み出した「柱状節理(ちゅうじょうせつり)」の迫力ある風景が魅力。紅葉の名所としても有名で、全長約12.5kmに渡る谷が特別美しいエリアとなっています。
しかし周辺一帯は上信越高原国立公園に指定されているため清津峡に近づけば、すでに大自然に囲まれた唯一無二の風景が見られます。
「柱状節理」とは?
清津峡を代表する風景である「柱状節理」とは、マグマが固まってできた岩のことを指します。通常、四角形から六角形までのゴツゴツとした形になり、清津峡ではこの柱状節理の崖が形成されています。
形成された柱状節理は地表の動きにより隆起して山になり、その後、清津川の流れによって削り取られ現在のようなV字の谷ができあがったというわけです。
V字に切り立った絶壁は迫力満点。柱状節理の絶壁に見える鮮やかな緑が自然の力強さと調和を感じさせてくれます。
アートを感じるトンネルとしてリニューアル!
迫力ある自然を堪能できる清津峡。ですが自然が生み出したものは、いつ何が起こるか分かりません。特に柱状節理にはもろく崩れやすいところが存在しており、1988(昭和63)年に大きな落石事故が発生しています。
落石事故を受けて清津峡は立ち入りが制限され、観光客も訪れられなくなりました。しかし、この美しい自然を安全に楽しむために作られたのが「清津峡渓谷トンネル」です。
それまでは遊歩道を使い渓谷美を楽しむ形でしたが、トンネルの中から渓谷を眺める形になり、再び観光が可能になりました。
古い遊歩道への立ち入りは禁止されており、渓谷観光はこのトンネル内からが基本です。清津峡トンネルは1996(平成8)年に完成、2018年にリニューアルされより魅力的な施設へと生まれ変わっています。
観光を目的として作られたトンネルは珍しく、当初は大勢の観光客が訪れていました。
自然を楽しむことを目的に作られた全長およそ750mのトンネルには、3カ所の展望台と渓谷を正面から見られる「パノラマステーション」が設けられていました。
ときの流れとともにトンネルは老朽化が進み、リニューアルが必要となります。このとき持ち上がったのがアートと自然とのコラボレーションでした。
美しい渓谷美を眺めるだけでなく、アートとの融合によってより多くの人たちが楽しみ、体感できる場所にしたいという思いから、トンネルのリニューアルが進められました。
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