皆さんは、京都府が持つ「日本一」の称号と聞くと、何を思い浮かべますか?以前メディアでもよく取り上げられていた「パンの消費量」や「牛肉の消費量」などなど、京都で有名なものはたくさんあるけれど、2021年の現在は、どんなものが日本一なんでしょう?
そんな疑問をもとに、京都府がいま誇る「日本一なもの」について、ちょこっと調べてみました。
京都府が誇る“全国1位”
国指定伝統的工芸品の数
京都府:17品目/全国:236品目
まずはこちらから。国が指定している伝統的工芸品は236品目。そのうち17品目が京都府の伝統的工芸品で全国1位なんです。
ところで「伝統工芸品」と「伝統的工芸品」の違いってご存じですか?「伝統工芸品」とは長年受け継がれてきた工芸品のことを指し、さらに経済産業大臣の指定を受けた工芸品のことを「伝統的工芸品」というそうです。
選ばれているのは、平安時代の宮廷の雛人形が起こりで、江戸時代から盛んに作られるようになった「京人形」などの諸工芸10品目と、5〜6世紀ごろに秦氏が技術を伝え、平安遷都以後に現在の京都市上京区を中心に発展してきた「西陣織」などの染織7品目です。
資料:経済産業省(令和3年1月15日現在)
地域団体商標出願・登録数
京都府:出願153件・登録68件/全国:出願1,276件・登録705件
地域のブランド化や活性化をはかる上で強〜い味方となるのが「地域団体商標」です。これらは地域ブランドとして用いられることが多い「地域の名称」及び「商品(サービス)の名称」等からなる文字商標について、登録要件を緩和する制度になります。
よく聞く宇治の「宇治茶」や、時々漢字の読み方をド忘れしてしまう京丹後の「間人(たいざ)ガニ」などはこれにあたります。
全国的にみて、地域団体商標出願1,279件中、京都は153件。登録数は全国710件中、京都は68件。ちなみに京都に次いで多いのは兵庫県で、出願数が71件、登録数が40件です。江戸時代中期、宝永3年(1706年)から伝わる「出石そば」や、牛肉好きの京都人もトキメク「神戸牛」などが登録されています。
今後も京都のブランド化や地域活性化を担う新たなブランド産品が加わるのが楽しみですね。
資料:特許庁(令和3年8月末現在)
国宝の建造物(棟数)
京都府:73棟/全国:291棟
「国宝」といえば「京都」というイメージを持つかたも多いのではないでしょうか。
日本の中心の都として栄えてきた京都には、イメージどおり国宝がたくさん存在します。全国的にみて国宝の数が多いのは東京・京都・奈良の3都府県。国宝は大きく美術工芸品(絵画、彫刻、工芸品、書跡・典籍、古文書、考古資料、歴史資料)と建造物(件数、棟数)に分けられます。
東京はこの美術工芸品が一番多く、奈良は建造物の件数が一番多い場所です。京都は建造物の“件数”は奈良よりも少ないのですが、建造物の“棟数”が全国で一番多く、全国291件に対し京都は73件あり、この部分が日本一!
資料:文化庁(令和3年9月1日現在)
国指定重要文化財の建造物の数
京都府:件数298件・棟数698棟/全国:件数2,530件・棟数5,253棟
さて、「国宝」ときたら次は「重要文化財」。もちろんたくさんあります!こちらも美術工芸品は東京が一番ですが、建造物に関しては件数、棟数ともに京都が1位!全国の件数2,530件・棟数5,253棟に対して、京都は件数298件・棟数698棟。2位は奈良県で件数264件・棟数403棟です。
国宝や重要文化財にあたる建造物が数多く残るのは歴史的、文化遺産的価値を守る意味はもちろんですが、都市景観としての役割を担う部分も大きいと思われます。
京都のまちで例えると、歩いていても「いきなり国宝・重文感が凄い建造物が出てきた!」というよりも、しっくりと街並みに馴染んでいるという表現がぴったり。京都に住んでいると普段から文化財を意識することは少ないですが、生活圏内にどれくらいの文化財があるかチェックしてみるのも面白いかもしれませんね。
資料:文化庁(令和3年9月1日現在)
京都府の大学数(人口10万人あたり)
京都府:1.31校/全国:0.63校
人口10万人あたりの大学数は1位 京都府、2位 石川県、3位 東京都です。
全国平均は0.63校なので、約2.1倍の数の大学が京都府内にあることになります。長い歴史と伝統深いまちが実は若者のまち!
学びの領域も幅広く、ノーベル賞受賞者とゆかりのある最先端の研究をする大学から、仏教、芸術、映画やアニメを学べる大学など、さまざまな領域が京都に集まっているのは学生にとって魅力的な学びの場といえますね。
資料:統計京都(令和2年7月発行)
高等学校卒業者の大学等進学率
京都府:67.8%/全国:55.8%
京都の高校生の大学等進学率を見ると67.8%。調査開始以来過去最高を更新し、5年連続での全国1位でした。
生徒の頑張りはもちろんですが、大阪・兵庫にも出やすく、なにより京都といえば学生のまち。人口に対する大学の設置数が多く、周りに大学生が多いことで進学のイメージがしやすかったり、下宿せずに実家から通いやすい環境が大学進学を選択肢に入れやすく、その結果、進学率に繋がっているのかもしれませんね。
資料:文部科学省学校基本調査(令和2年3月現在)
ほんしめじ生産量
京都府:301トン/全国に占める割合:99.9%
まるっとした形がかわいい「ほんしめじ」。京都での生産量はなんと全国に占める割合が99.9%!ほんしめじといえば、京丹波町で栽培されている「京丹波大黒本しめじ」が有名ですが、ぷっくりとした見た目はまさに「大黒様」のお腹のよう。
希少なきのこゆえ、幻のきのことも呼ばれていますが、焼き物・汁物・煮物などさまざまな調理法と相性が良く、高級感があって京料理に合うと料亭などの評価が高い食材。「京のブランド産品」としても認定されています。
資料:農林水産省特用林産物生産統計調査(令和元年)
工業製造品出荷額1位の製品
2019年工業統計調査=従業者4人以上の事業所が出荷している額で、京都府が一番の主なものをそれぞれ京都府の出荷額(億円)と全国に占める割合(%)
生和菓子 366億円(7%)
老舗から新店舗まで数々の和菓子店が並ぶ京都。京都市のみならず、府域でも多数の和菓子屋さんが存在し、いずれも地域の特徴を組み込んだ芸術的な和菓子が日々生み出されています。
四季折々の美しい和菓子の世界は魅力的。古くより社寺が多い土地柄、礼祭や儀式、茶の湯によって発展してきた和菓子は京都に欠かせない菓子ともいえるでしょう。
紋紙 8億円(44%)
「紋紙」とはジャカード織機で織物を製織する際に使用する、厚紙に穴をあけてデザインをデータ化した型紙のことをいいます。「西陣織」などに使用され、紋紙に開けられた穴に織り機が糸を通し模様を作り上げていきます。
ここでご紹介したものはあくまで一部、ほかにも工業製造品で日本一のものは多数存在します。興味が湧いた方は、こちらのページもぜひ、チェックしてみてくださいね。
年間支出額で京都市が1位のもの
平成30年から令和2年の家計調査の平均
ナス 2,950円
初夏から秋にかけて美味しいナスは、田楽や炊いたんなど、京料理やおばんざいでの出番も多いですものね。なるほど京都ではよく食べられている食材です。
ナスといえば京の伝統野菜でもある「賀茂なす」が有名ですが、別名「大芹川(おおせりかわ)」とも呼ばれています。どうやら伏見区の鳥羽芹川に賀茂なすの起源があるという仮説から、このような別名で呼ばれているそうですよ。
ピーマン 3,024円
京都で「ピーマン」と言われてもなかなかピンとこないですが、京の伝統野菜の「万願寺とうがらし」や「伏見とうがらし」も家計調査上はピーマンに含まれています。
ちなみに、万願寺とうがらしは京都府舞鶴市が発祥の京野菜。おばんざいでもよく食べられています。そう聞くとなんだか納得できちゃいますね。
コーヒー 8,583円
2人以上の世帯によるコーヒーの支出金額1位の京都市。観光地であることや人口10万人あたりの大学数が1位ということも関係してそうですね。
京都は喫茶店やカフェが多く、古くから学生たちが集まりコーヒーを飲む文化があったそうです。コーヒーを片手に熱い討論や、ハッピーな将来を語り合う時間を過ごしていたのかもしれませんね。
ちなみに…
かつて、京都といえば和食のイメージなのに「パン好き」、はんなりしてそうなのに「牛肉好き!」といわれた(かどうかは定かではないですが)、支出金額が全国1位だったため、よくTVメディアなどでも紹介されていました。
そんな「パン」と「牛肉」の現在……今はどんな状況なのかと調べてみたところ、「パン」は京都市3位(1位 神戸市、2位 岡山市)、「牛肉」は京都市2位(1位 大津市、3位 奈良市)と、現在は首位ではなくなっていました。
それでも全国的に上位に入っているので、京都府民のパンと牛肉好きは健在なようです。
いかがでしたか?工芸品のように「ものづくりと深い関係がある京都ならではだな〜」と感じるものから、「なぜピーマン??」と不思議に思うものまで、知っているようで知らなかった京都府の「日本一」。みなさんの身近にも、まだ気付いていない「日本一」があるかもしれませんね。
■■INFORMATION■■
お子さんにぜひ見てもらいたい!
⇒データでわかる京都府ってこんなところ(きょうとふ統計こどもページ)
- source:KYOTO SIDE
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