子どもの自由を守る?それとも奪う?16歳未満SNS禁止法をめぐる世代間ギャップの正体

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デジタルネイティブ世代が当たり前のようにスマートフォンを手にする現代。子どもたちのSNS利用をめぐる議論は、もはや一部の専門家だけのものではなくなっています。オーストラリアで施行された「16歳未満SNS禁止法」が世界的な注目を集める中、日本ではこの規制をどう受け止めているのでしょうか。

株式会社CHOIXが実施した全国調査(18〜69歳の男女250名対象)が明らかにしたのは、7割以上が規制に賛成する一方で、世代や子どもの有無によって意識に大きな差があるという興味深い事実です。

データが示す生活者の本音とともに、SNSと向き合う日本社会の現在地を探ります。

4人に3人が賛成。でも世代差は鮮明に

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オーストラリアで2025年12月に導入された16歳未満のSNS利用禁止法について、調査対象者の74.4%が支持を表明しました。「賛成」が23.2%、「どちらかといえば賛成」が51.2%という内訳から、慎重派も含めて広く受け入れられている様子がうかがえます。

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しかし、この数字を年代別に見ると、明確な傾向が浮かび上がります。20代では賛成派が54.0%にとどまる一方、30代以降では約80%が支持。若い世代ほど規制に対して慎重、あるいは否定的な姿勢を示しているのです。

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さらに注目すべきは、子どもを持つ層と持たない層の違いです。子どもがいる回答者の79.8%が賛成し、「反対」はゼロ。対照的に子どもがいない層では賛成が71.7%で、12.0%が明確に反対を表明しました。

この差は単なる数字以上の意味を持っています。子どもを育てる当事者として、SNSがもたらすリスクを身近に感じているからこそ、法的な保護措置を支持する傾向が強まっていると考えられます。

「子どもを守りたい」。親たちの切実な声

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賛成派の理由を見ると、多くが子どもの発達や安全への懸念を挙げています。メンタルヘルスや学力への悪影響、有害情報への接触、犯罪に巻き込まれるリスクなど、具体的な心配事が並びます。

特に印象的なのは、30代女性からの「保護者がネットに詳しくないなかで、子どもが傷付いても自己責任とされるのは可哀想」という意見です。デジタル技術の急速な進化に、大人の知識や対応が追いついていない現実を端的に表しています。


また、20代男性の「子どものころは、リアルな人との関わりを大切にしてほしい」という声は、若い世代でありながらSNSの弊害を認識していることを示しており、世代内でも意見が分かれている様子がわかります。

つまり賛成派に共通するのは、SNSが持つ影響力の大きさと、判断力が未熟な年齢での利用に伴うリスクへの強い危機感だといえるでしょう。

「規制は時代遅れ」。反対派が訴える現実的な懸念

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一方、反対派の主張も看過できません。最も多く聞かれたのは「ネット社会で規制は時代に逆行している」という意見です。50代男性が指摘するように、むしろ幼少期からネットリテラシー教育を充実させるべきだという考え方は、一定の説得力を持っています。

注目すべきは、SNSに救われた経験を持つ30代女性の声です。人間関係に悩んでいた時、SNSで本音を言える友人に出会えたという体験は、規制が奪う可能性のある「居場所」の存在を示唆しています。

さらに20代男性が懸念する「安全性の低いマイナーなSNSへの流出」という指摘は、法規制の実効性に対する疑問を投げかけます。厳格な禁止よりも、フィルタリングや時間制限といった段階的な対策のほうが現実的ではないか、という提案は検討に値するでしょう。

40代男性の「人脈構築の機会を奪う」という意見や、50代男性の「個人の自由」という主張も、規制と自由のバランスという根本的な問いを突きつけています。


SNS利用開始年齢から見えてくる実態

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興味深いのは、調査対象者自身のSNS利用開始時期です。23歳以上で初めてアカウントを作成した人が44.8%、19〜22歳が8.0%で、合わせて約半数が成人してからSNSを始めています。

これは現在の30代以上の多くが、SNSのない時代に子ども時代を過ごしたことを反映しています。対照的に、12歳以下で開始した層が2.0%、13〜15歳が6.8%、16〜18歳が7.2%と、未成年からの利用者も一定数存在します。

この世代間の経験差が、規制への賛否を分ける大きな要因になっていると考えられます。SNSなしで育った世代は規制に抵抗が少なく、SNSと共に成長した若年層は規制に違和感を覚える―データはそんな構図を浮き彫りにしています。

日本で導入されたら?20代の3割のみが「従う」

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仮に日本でも同様の法律が導入された場合、どう対応するか。全体では「賛成して受け入れる」が35.6%、「仕方なく従う」が16.0%で、約半数が制度を受容する姿勢を示しました。

しかし年代別で見ると、20代の「賛成して受け入れる」はわずか16.0%。さらに「抜け道を探す」が20.0%と、他世代と比べて明確に否定的な態度が目立ちます。

この結果は、賛否を問う質問と実際の行動を問う質問で、回答傾向が変わることを示しています。理念としては理解できても、自分事として捉えた時には抵抗感が強まる―そんな若年層の複雑な心理が読み取れます。

責任はどこに?「親」と「社会」に分散する認識

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未成年のSNS問題について最も責任があるのは誰か。この問いに対して、「親・家庭環境」と「社会全体の構造的な問題」がともに18.8%で最多となりました。続いて「本人」14.8%、「SNS・コンテンツ提供企業」9.2%、「国・法律」8.4%、「学校・教育現場」6.4%と続きます。

特筆すべきは「わからない」が23.2%に上った点です。これは問題の複雑さを象徴しています。単一の原因や責任者を特定できないほど、SNSをめぐる課題は多層的で入り組んでいるのです。

家庭の教育力、企業の倫理、法制度の整備、学校のリテラシー教育などすべてが関わり合い、どれか一つを改善すれば解決するという単純な構図ではありません。この認識の分散は、むしろ問題の本質を正確に捉えている証左かもしれません。

「自由を奪う」のか「自由を守る」のか

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最も象徴的な結果が、規制の本質をどう捉えるかという問いへの回答です。16歳未満のSNS利用制限を「自由や可能性を守るために必要」とする意見が28.8%、「どちらかといえば必要」が42.0%で、合わせて70.8%が肯定的に評価しました。

この数字が示すのは、多くの日本人が規制を「子どもの自由の制限」ではなく、むしろ「有害な影響から守り、将来の自由を保障するための措置」と理解していることです。

短期的な利便性や自由よりも、長期的な健全な成長を優先する価値観。それが30代以上、特に子育て世代に広く共有されていることが、データから明確に読み取れます。

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今回の調査が浮き彫りにしたのは、SNS規制をめぐる日本社会の複雑な意識の地図です。全体としては7割以上が規制を支持しながらも、世代や立場によって受け止め方に大きな開きがあること。そして問題の責任が特定の主体に集中せず、社会全体で分かち合うべき課題として認識されていること。

20代を中心とした若年層の否定的な反応は、決して無視できません。SNSが生活の一部となっている世代にとって、年齢による一律の制限は現実的でないと映るのも当然でしょう。一方、子育て世代の切実な懸念も、デジタル時代の子どもたちを守る上で真摯に受け止める必要があります。

重要なのは、規制の是非を二元論で語るのではなく、世代間の認識の溝をどう埋めるかという視点です。家庭、学校、企業、行政がそれぞれの立場から子どもたちを支え、年齢や発達段階に応じたリテラシー教育を充実させること。禁止か野放しかではなく、段階的で柔軟な仕組みを模索すること。

SNSという新しいコミュニケーション手段と、どう健全に向き合っていくか。その答えは、多様な立場からの対話の先にしか見つからないのかもしれません。

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