世界文化遺産に認定!知っておきたい「北海道・北東北の縄文遺跡群」の魅力

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2021年7月、日本に新たな世界遺産が誕生しました。コロナ禍において、久しぶりの明るいニュースとなったので記憶に残っているかたもたくさんいらっしゃるでしょう。

自然遺産も合わせると国内25件目の世界遺産となったのが「北海道・北東北の縄文遺跡群」です。

名前を見るとわかる通り、北海道と東北地方に点在している遺跡群がまとめて一度に登録されました。遺跡のみで世界遺産に登録されるのは、国内では初めてのこと。

現代でも厳しい自然の北海道と北東北、そこに残された人の営みの跡はどのようなものなのでしょうか?2021年に誕生した新しい世界遺産の全貌に迫ってみましょう!

※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの国内・各都道府県情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。

縄文時代に思いを馳せる旅

歴史の教科書などでよく耳にする「縄文時代」、この時代区分は日本におけるもの。世界史でみると中石器時代、そして新石器時代に相当する区分です。

縄文時代はいまから約1万5000年ほど前に始まり、3000年ほど前に終わりを迎えた時代とされています。

縄文時代は人々が定住し始め、土器や磨製石器などが発展し始めた時代。いわゆる「縄文土器」と呼ばれるものが発展、使われていた時代ですね。

人々は定住はするものの農耕文化は持たず、狩猟が主な生活手段だったといわれています。また精神文化がとても高く、生命の誕生や再生の願いを込めて土偶を多く作っていました。

出土した遺跡や土器などから予想するしか当時を知る手段はなく、まだまだ謎に包まれている縄文時代。タイムスリップ気分で遺跡をめぐり、縄文時代へと思いを馳せてみてはいかがでしょう。次は北海道・北東北の縄文遺跡群に登録された遺跡をエリア別に厳選してご紹介します。


北海道にある縄文遺跡群

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今回、世界遺産に登録された縄文遺跡は広範囲に渡っているのが特徴です。そのため、一度の旅行ですべての遺跡を見て回るのはとても大変なので、いくつかの遺跡に絞って訪れるのがおすすめ。

北海道には6つの縄文遺跡が世界遺産を構成する遺跡群として登録されました。それが以下の6カ所です。

  • 垣ノ島遺跡(函館市)
  • 北黄金貝塚(伊達市)
  • 大船遺跡(函館市)
  • 入江貝塚(洞爺湖町)
  • 高砂貝塚(洞爺湖町)
  • キウス周堤墓群(千歳市)

こうしてみても分かる通り、北海道の南部に集中しているので意外と周りやすく北海道内で縄文遺跡めぐりをすることもできます。

ドライブをしながら遺跡をめぐるなんて、なんだか未来人になった気分ですよね。6つの遺跡のなかでも観光途中に訪れやすい3つの遺跡の特徴を見てみましょう。

2021年7月に一般公開「垣ノ島遺跡」/北海道函館市

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函館市街地から車で約1時間ほど、臼尻港のそばにあるのが「垣ノ島(かきのしま)遺跡」です。いまは豊かな緑に覆われた更地のように見える遺跡は、縄文時代の人々が暮らした集落の跡です。

ここでは約20万点以上の土器や装飾品などが発見されており、その遺物は同じく臼尻町にある「縄文文化交流センター」に保管・展示されています。

この遺跡に暮らした人々は漁業を頻繁に行っていた跡があるほか、祭事なども行っていたと考えられています。漁業を行い、信仰を持っていたと考えると現代の人々と考え方・生き方はあまり変わらないのかもしれませんね。

100軒の住居跡「大船遺跡」/北海道函館市

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同じく函館市にある「大船(おおふね)遺跡」は、いまから約4500年ほど前の集落の跡地。大きな竪穴式住居の跡が発見されているのが特徴です。

地面に穴を掘り作る半地下の竪穴式住居ですが、大船遺跡の竪穴式住居は高さ2.4mを超えるものも。時代はそれぞれ異なるものの、合計で100を超える竪穴式住居跡が見つかっています。

大船遺跡では当時を再現したいくつかの竪穴式住居を見たり、実際に中に入ったりすることもできますよ。

大きな集落が継続してこの地にあった理由は、海が近く食料が豊富だったことが理由と考えられています。当時の人々が食べたと思われる動物の骨の化石なども多く発掘されているんですよ。

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