仕事やプライベート、なにかと忙しない日常からちょっと逃れて、古都・京都を旅する。京都は冬の時季となると旅行客が少なめで、観光やグルメなど人気スポットものんびり過ごすことができます。
冬の京都はたまに雪が降る、雪が積もることがあるほど寒いものの、京都市内や郊外に多く点在する「銭湯」で温まったり、寺社を訪れて澄んだ空気の中で坐禅を体験したりと、ほかの季節とは異なる、冬ならではの楽しみ方があります。
なかには、いまの時期だけ限定の非公開文化財の特別公開なども!四季折々で何度訪れても奥が深い京都観光で、今回は特に京都の冬を満喫する旅のプランをご紹介します。
※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの国内・各都道府県情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
まるで芸術作品! 京都随一の大正ロマン漂う銭湯「船岡温泉」
冬と言えば、まずは体を芯から温めたいところ。京都府内には約100軒もの街なかにある銭湯が営業し、近年の「サウナブーム」も合わせ、地元の人々や観光客にも人気です。
特に、京都では戦火を逃れたことで歴史ある銭湯がいまも多く残り、京都の良質な天然地下水を使う銭湯が多々あります。
そんな京都で「KING オブ 銭湯」と呼ばれる“聖地”が、「船岡温泉」です。京都市の北部、船岡山の南にあり、歴史を感じさせる外観にまず圧倒されます。
1923(大正12)年、料理旅館「船岡楼」として創業したことに始まります。
唐破風(からはふ)の外観がまず目を引くのと、内部に入ると色鮮やかなマジョリカタイル、脱衣所の天井に彫られた鞍馬天狗、上海事変や葵祭の透かし彫りなど見どころが多いのも特徴。
京都市内の銭湯で唯一、文化庁の登録有形文化財にも指定されています(脱衣所と浴室部分)。
マジョリカタイルは、大正初期から昭和10年ごろ、近代イギリス製ヴィクトリアン・タイルを模倣して日本で生産された多彩色レリーフタイルです。
男女に分かれたお風呂には、日本初の電気風呂をはじめ、ジェットバス、水風呂、檜風呂、露天風呂、そしてサウナとさまざまなお風呂が楽しめます。
庭石として貴重かつ最高級の貴船石などを用いた庭園にも注目。
もともと船岡温泉に近い西陣織の旦那衆(職人)がよく利用し、美意識や経済力が高かったことなどから、豪華絢爛ともいえる銭湯はその名残とのこと。
「温泉」と屋号が付くのは、実際には温泉ではないものの、北陸地方から来た人が「温泉と名が付くほうが印象強い」として、温泉と名付けたという伝承も。京都における銭湯の奥深さが直に感じられる場所です。
- 船岡温泉
- 京都市北区紫野南舟岡町82-1
- 大人450円、小学生150円、未就学児60円
- 定休日:なし
- 15:00~23:30(日曜のみ8:00から営業/現在時間短縮営業中)
- 公式サイト
銭湯をリノベーションしたレトロ&アンティークなカフェ「さらさ西陣」
船岡温泉から徒歩5分ほどの場所に、銭湯をリノベーションしたカフェ「さらさ西陣」があります。映画『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』のロケ地となったことでも知られます。
さらさ西陣も豪華な唐破風の外観が特徴で、1999(平成11)年まで船岡温泉の姉妹湯だった「藤の森温泉」(1930<昭和5>年開業)として営業していました。
2000(平成12)年にカフェとしてオープン。入口には、藤の森温泉だった当時の銘板がいまも見られます。
いまや貴重な当時の和製マジョリカタイルをはじめ、高い格子天井、男女の浴槽を仕切っていた白壁など、銭湯だったころの名残が店内の随所に見られます。
店内の中央に段差があり、浴槽が物置として使われているなど、かつて銭湯だった頃の雰囲気が感じられます。
さらさ西陣の人気メニューは、カラフルなクリームソーダ、アップルウォールナッツケーキやキャラメルチーズケーキなどのケーキセット、姉妹店「CLAMP COFFEE SARASA(クランプ コーヒー サラサ)」で焙煎するコーヒー、ボリュームある定番「トルコライス」など。
アンティークかつレトロな空間で本も置いてあってのんびり過ごすことができ、京都に数あるおしゃれなカフェの中でも人気が高いのも納得です。
- さらさ西陣
- 京都市北区紫野東藤ノ森町11-1
- 定休日:不定休
- 11:30~22:00(ランチタイム11:30~15:00)※営業時間は変更になる場合あり
- 公式サイト