死者と共に暮らし、ミイラの服を着替えさせ…「トラジャ族」の大切な習俗

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死者に着させた衣服を新しく取り換える

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葬儀の準備が整うと、死者は葬られ、墓地に入れられます。しかし、タナ・トラジャ県の北部に暮らす人たちは葬儀後も死者とのかかわり方が特殊で、「マネネ」といわれる儀式が年に1度のペースで行われます。

マネネとは、死者の衣を包み直す儀式です。このマネネについて「トラジャにおける葬制と表象の地域的特徴 : 沖縄・八重山諸島との比較研究」に記述があります。

この研究では、布で包まれた死者をさらに別の布で包んでしまう、包んだ布を取り換えるのではなく包み重ねる形のマネネが紹介されていますが、NATIONAL GEOGRAPICで公開されているマネネの動画では、死者に着させた衣服を新しく取り換える形のマネネが紹介されています。

キリスト教化したスラウェシ島のトラジャ族らしく、十字架の見られる墓地からミイラ化した死者を出してきて、衣服を脱がせ、体をブラシでこするなどして綺麗にしてから、新しい服を着させます。

死者を柱に縛り付けるなどして固定したら、その死者を近親者が囲んで、宴会のような集いをしている様子もあるほど。

同じく先祖を崇拝し、死者は神になると考えられてきた沖縄でも、墓参りの際に墓地で宴会する文化「清明祭」があります。小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』によると、もともと中国から伝わった文化みたいですが、心情的には根底の部分で似ているのかもしれませんね。

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