魅惑のアンダーグラウンド。世界にある不思議な「地下空間」たち

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世界には、特徴的な「トンネル」や「地下空間」がいろいろ点在しています。そのなかには、長短・深浅の尺度だけでは評価できない、観光スポットとして多くの人から人気を集めている施設も珍しくありません。

そこで今回は、国内外のユニークな地下空間の活用例を紹介します。

※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの海外渡航・入国情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。

作業抗につくられた「水族館」

復興後の「もぐらんぴあ」image by:Ebiebi2, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

岩手県久慈市という自治体をご存じですか?岩手県の北東部にある港湾都市で、陸中海岸国立公園の北の玄関口とも呼ばれています。陸中海岸国立公園はリアス式海岸が長く続く土地ですから、東日本大震災でも大きな被害を受けました。

その震災で全壊し、震災後からあのさかなクンさんが応援団長を務める水族館が久慈市にはあります。日本で唯一、地下トンネルにつくられた「もぐらんぴあ」です。

筆者の手元には『新トンネル なぜなぜおもしろ読本』(ナノオプト・メディア)という本があります。そのなかにも記述があるように、国家石油備蓄基地のための作業用トンネルが地下水族館につくり変えられたらしく、その地下に誕生した水族館は日本初。現在でも日本で唯一だと知られています。震災までの17年間でのべ130万人が訪れました。

「もぐらんぴあ」image by:photoAC

復興時の予算集めでクラウドファンディングが行われた際、メイン水槽周りの写真が公開されていました。作業抗の天井がむき出しになっている様子がその写真を見てもわかるほど。

久慈国家石油備蓄基地の石油備蓄量は、約175万キロリットルに達するそうです。どのくらいの量なのかピンときませんが、国内消費量の約3日分に相当するみたいですね。

その石油備蓄基地の施設が完成し、石油の受け入れを1993年に終えた後、1994年に水族館として作業抗が再利用されたのだとか。

「もぐらんぴあ」image by:photoAC

地下にある水族館以外にも同じ建物の地上階には、石油に関して学ぶ展示コーナーも設けられています。水族館が入っている建物だとは、背後に盛り上がる傾斜地などの環境も含めて一見すると思えません。


しかし、ユニークな地下空間の活用例として開館当時は大変な注目を集め、震災と復興を経験した施設ですから、東北旅行の際にはぜひ立ち寄りたいですね。

  • もぐらんぴあ
  • 岩手県久慈市侍浜町麦生1-43-7
  • 公式サイト

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