航空券の「SSSS」はFBIの要注意人物扱い?アメリカへ出発時の実体験

image by:シカマアキ

飛行機に乗る際、必ず受ける保安検査は、国・地域によって「厳しい」「緩い」などの差は若干あっても、基本的に万国共通です。カバンや上着をトレーに乗せ、靴を脱ぎ、必要であればカバンの中身を取り出して調べられます。

その保安検査でアメリカ入国の際に「SSSS」と航空券に印字されることがある、という事実をご存じでしょうか。

特別な人物だからと印字される場合や、搭乗客のなかから無作為に選ばれることも。何も悪いことをしていなくても航空券に「SSSS」と印字される可能性もゼロではありません。

「SSSS」と印字された搭乗券が自分だった場合、簡単にいうと、保安検査が通常より厳しくなります。しかしそれだけではありません。

数年前にカナダからアメリカに向かおうとした際、渡された航空券に「SSSS」と印字されてしまった筆者が、その実体験を紹介します。

※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの海外渡航・入国情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。

手渡しされた航空券に「SSSS」、保安検査で係員が一変

「SSSS」と印字された航空券。image by:シカマアキ

アメリカへ出発する際、搭乗券に「SSSS」と印字されたらヤバい、ということは以前チラッと聞いたことがありました。

しかしこれまで20年あまり、何度もアメリカへ渡航したにもかかわらず、その経験は一切なし。自分には関係がないと思い切っていました。

2019年12月25日。忘れもしないクリスマス当日です。カナダのバンクーバーからアメリカのシアトルへアラスカ航空で搭乗手続き(チェックイン)したときのこと。

いつも通りに空港のカウンターでスーツケースを預け、アラスカ航空のスタッフから「メリークリスマス!」といわれて受け取った航空券を見て、一瞬のうちに凍り付きました。航空券に「SSSS」と印字されている!


バンクーバー空港のアラスカ航空カウンター。image by:シカマアキ

海外でのクリスマスは日本の元旦みたいな日で、空港は空いていました。なぜ自分が「SSSS」に選ばれたのかは謎で、スタッフに理由を聞くわけにもいきません。とりあえず保安検査場へ向かいました。

カナダからアメリカへは、国内線とも国際線とも違う入口で、当然ながら保安検査があります。

保安員は「ハロー!」と笑顔で迎えてくれたものの、航空券を見た瞬間、顔色が一変して厳しくなりました。そして「この搭乗券の意味をわかっているよね」といわれ、「はい」と回答。

image by:Shutterstock.com

保安検査は通常とは違うレーンに1人だけ別に連れて行かれ、カバンの中身を全部出すようにいわれました。ポーチの中身もです。それを1点ずつ保安検査の機械に通していくため、非常に時間がかかります。

カメラについては「これは何を撮るのか」とまで聞かれ、さらにシアトルへ行く目的も。ボディチェックも念入りでした。いつもは流れ作業の如く終わる保安検査が、15分ほどの時間を要しました。

そして、問題がないことがはっきり分かった時点で、やっと解放。と思ったら、搭乗する際にもゲートのところで、搭乗券の「SSSS」を見たスタッフの顔が固まりました。

「ちょっと待って」とゲートの前でほかの乗客を先に搭乗させ、最後にやっとゲート通過。機内では何事もなく過ごしました。

航空券に印字される「SSSS」の意味とは?

アメリカの空港にある「TSA」入口image by:David Tran Photo/Shutterstock.com

航空券に印字される「SSSS」は、「Secondary Security Screening Selection」の略。直訳すると「二次的保安検査選出」という意味です。

アメリカのTSA(運輸安全局)の規定によると、この「SSSS」の運用が始まったのは、2010年からとのこと。

FBI(連邦捜査局)のテロ対策ウォッチリストに名前がある乗客には印字される、また、ランダムに実施されることもあります。

知人も何名か経験済みで、行き先が日本からハワイだったりニューヨークだったりとバラバラです。

Page: 1 2

TRiP EDiTOR編集部 :TRiP EDiTORは、「旅と人生をもっと楽しく編集できる」をコンセプトに、旅のプロが語りつくす新しい旅行メディアです。