日本とは全く違う文化や街並みを持つ東南アジアへの旅は年々人気が高まっています。とくに昨今は円安・物価高の影響で、海外旅行のハードルが高くなっているため、近場でコスパのよい東南アジアに注目が集まっているといえるでしょう。
なかでもここ数年、一気に人気観光地として定着したのが「ベトナム」です。女性だけの旅の目的地としても、一人旅にもとても人気のある国となっています。
昭和の日本のような昔ながらの景色を残すベトナムは、どこかノスタルジーを感じさせるだけでなく、東南アジアの騒々しい雰囲気も味わえるおもしろい国です。今回はベトナム最大の都市・ホーチミンへの旅のイロハをご紹介します。
目次
人気観光先として定着したベトナムの魅力は?
ベトナムの街を歩いていると、アジア各国からの観光客はもちろん、欧米から訪れた人々もとても多く見かけます。
印象的なのはツアー客もさることながら、バックパックを背負って自由に旅をするスタイルの人が多いということ。大きな荷物を背負って街を歩く姿をよく見かけました。
ベトナムという国はバックパッカーにとっては聖地のようなもの。物価が安く、異文化が色濃く残り、見どころも満載で自然も満喫できる、さらに歴史遺産も多くあると来れば世界から注目されるのも納得です。
現地の人々も親切で人懐っこく、日本とも欧米諸国ともかなり違った雰囲気。なんでもありのように見えて、ベトナムらしさはしっかり残っているというのが魅力のひとつです。
ベトナムのなかでもおすすめの街は「ホーチミン」
ベトナムのなかでも最大の都市で観光客が必ず訪れるのが、ホーチミンです。南北に長い形をしたベトナムの南に位置するホーチミンは、実は首都ハノイよりも大きな都市。
かつては「サイゴン」と呼ばれた都市で、いまでもホーチミンをサイゴンと呼ぶ方も多いです。
人口は1,000万人を超え、高層ビルが立ち並ぶベトナムの経済を牽引する大都市。しかし街を歩いていみると整えられた高層ビルの間に、昔ながらのベトナムが強く残っておりカルチャーショックの連続。
半分屋内、もう半分は屋外の飲食店がたくさん立ち並び、クラクションの音と人々の話し声でにぎやかな街が広がっています。
さすが東南アジアと思いきや、一方で「東洋のパリ」と呼ばれる色鮮やかで美しい建物も多く残されています。かつてベトナムはフランスに統治されており、その時代に建てられた建築物が観光名所にもなっているんですよ。
いまでこそ人気の観光国となったベトナムですが、そう遠くない過去の時代には戦争に次ぐ戦争で、国土は荒れ果てた悲しい歴史を持っています。
南部にあるホーチミンはフランスの占領下に置かれ、重税と労働を強いられ、人々の暮らしは決して豊かで満たされたものではありませんでした。
その後、インドシナ戦争やベトナム戦争が続き、集結したのは1975年のこと。ホーチミンはこのときにサイゴンから改名されました。ホーチミンには多くの戦争の歴史を語る博物館が遺産があるので、ぜひ見学に行ってみましょう。
日本からホーチミンへ行くには?個人旅行でも大丈夫?
日本からホーチミンへは直行便が就航しています。成田国際空港、羽田空港、関西国際空港、中部国際空港からホーチミンへの直行便が飛んでおり、フライト時間は約6時間ほど。そのほかは、ハノイや台北(台湾)で乗り換える便が数多く就航しています。
近年はLCCで繋がる便も多く、お安い日であれば3万円台でチケットの購入ができることも!航空券の安さも人気の秘密といって良いでしょう。
日本のパスポート保持者であれば、2023年8月15日から滞在期間が15日から45日に変更となったため、45日間はビザなしで滞在が可能です。
海外旅行の際にまず決めなければいけないのが、ツアーで向かうのか、それとも個人旅行で向かうのかということ。
乗り換えの心配もなく、比較的近いアジアの国には個人で行きたいという方も多いのではないでしょうか。
ベトナムは個人旅行でも十分に楽しめる国です。とくに観光客の多いホーチミンは市内で英語が通じることも多いですし、現地ツアーの発着もとても多いです。
個人的には航空券と滞在するホテルを決めて、現地でツアーに申し込む方法が縛りもなく自由度も高いのでおすすめします。
空港から市内への移動は?配車サービスがおすすめ
ホーチミン旅行の入口となるのが「タンソンニャット国際空港」で、国内線・国際線ともに多くの便が就航する空港です。
このタンソンニャット国際空港はホーチミン市内から約8kmほど離れた場所に位置しており、まずは交通機関を使って市内までの移動が必要となります。
個人手配の場合は、この最初の移動手段に迷うところですよね。旅の始まりですから、面倒なトラブルなどに巻き込まれないようにしたいものです。市内への移動手段をご紹介しましょう。
タクシーを利用するなら必ずタクシー乗り場から!
初めての土地での移動手段として最も重宝されるのがやはりタクシーでしょう。
スーツケースを持っての移動ということもあり、空港からホテルへの移動はまずタクシーという方が多いのではないでしょうか?ベトナムのタクシーは比較的安価なので利用をおすすめします。
空港を出るとたくさんのタクシー運転手が待ち構えています。あまりの人の多さにまず驚くことでしょう。大きな荷持を持って歩くあなたを見つけたら、「シティ?」「タクシー?」といって声をかけてきますが、ここで乗車してはいけません。
正規のものでないタクシーが多くあり、ぼったくりなどの被害に遭う危険も。必ずタクシー乗り場から乗車するようにしましょう。市内までは25万ドン(1,200〜1,500円程度)が相場です。おおよそ30分ほどで到着します。
ドライバーの評価がわかる「配車サービス」が便利
タクシーに乗りたいけれど、ぼったくりが不安…という方におすすめなのが「Grab(グラブ)」などの配車サービスです。
あらかじめ行き先を入力し支払いもアプリで済ませることができるので、ドライバーとの面倒なやり取りが発生しません。ドライバーの評価も見ることができるので安心ですよね。
タンソンニャット国際空港内はWi-Fiが使えるので、到着ロビーでネットを一旦繋げて配車をして、それから空港の外へ出るものおすすめです。
- 関連記事
- >>>海外旅行でのスマホ通信、どうしてる?旅のプロが教えるオトクな方法
空港と市内を繋ぐバスはお得に移動できる
最近運行を始めた空港と市内を繋ぐバスもおすすめの手段です。現地の人々が乗車するバスとは少し異なり、清潔で新しい「109番」と「49番」がおすすめ。黄色い車体が目印です。
バスの停留所前に受付があるので、そこで予め路線を確認できるのも嬉しいポイントですね。バスの料金は最大でも4万ドン(約200〜240円)ほどと格安!車内にはWi-Fiもありますし、大きなスーツケース置き場も設けられています。
バスを降りたあと、ホテルまで移動しなければならないことを考えてもかなりお得です。
ベトナム旅行に現金は必須?両替は2万円程度でもOK
ホーチミンは観光客の多い街ではありますが、まだまだクレジットカードの使えるところは少ないと思っておきましょう。
もちろん大きなホテルやレストランなど使用できるところも増えてはいますが、現金での支払いが主流です。そのため空港や街中の両替所でベトナムドンを手に入れなければいけません。
両替所では日本円をそのままベトナムドンに変えられるところが多いので、円を持って行きましょう。
ホテルは事前にネット上で支払いを済ませるかクレジットカードで支払い、街中で現金を使うスタイルがおすすめ。物価はとても安いので、空港で2万円ほどを両替しておけば十分に足りると思います。
ホーチミン市内の移動手段は?
ホーチミン市内の移動手段として最も便利で観光客向けなのはやはりタクシーです。この場合も配車アプリが大活躍。ダウンロードしておくことを強くおすすめします。
市内移動はバスやバイクタクシーなどがありますが、乗り慣れない観光客にとって快適とはいえません。
私も何度かチャレンジしてみましたが、バスの運転手はベトナム語しか話せないことが多いですし、エアコンもなくギュウギュウ詰め。車内アナウンスもベトナム語だけなので不安でした。
バイクタクシーも便利は便利なのですが、料金は交渉制ですし個人的には使い回しのヘルメットに抵抗がありました。付けない訳にいかないので仕方ありませんが、気になる方はやめておくほうが無難です。
ホーチミンの治安・物価は?
ホーチミンの治安は良好です。夜遅くまでにぎやかですし、安心して観光ができる街といっていいでしょう。
しかし、いくら治安の良い国といっても、人の多いところでのスリや置き引きなどには注意が必要。荷物を置いたまま席を立ったり、スマホをテーブルの上に置いたりしてはいけません。自分の身は自分で守ることを忘れずに。
ベトナムはとても物価の安い国で、ホーチミンも例外ではありません。
観光地で最大の都市ということもあり地方に比べると少し高くなりますが、それでも私たち日本人にとってみると驚きの安さ。料金を見て「え?間違いじゃないの?」と思うこともしばしばあります。
例えば、食事は一食200円以下は普通です。ベトナム風サンドイッチの「バインミー」や「フォー」などの国民食は150円くらいが平均。物価の心配をする必要がない自由な旅になるでしょう。
- 関連記事
- >>>明日行っても馴染めそう。もはや日本すぎる「ベトナム」の日常とは?
ホーチミンの主要エリアは「第1区」
ホーチミンは19の区と4つの周辺圏に分かれていますが、市内すべてを見て回る必要はありません。観光地やショッピングに適した場所が集まるのは「第1区」です。
ほとんどの見どころが第1区にあるといっても過言ではありません。そのため宿泊先も同じエリアに予約するのが効率も良くおすすめです。
第1区には
- ・高級ホテルの集まる「ドンコイ通り」
- ・観光名所の教会
- ・何でも集まる「ベンタイン市場」
- ・ツアー会社が集まる「ファングーラオ通り」
- ・ナイトライフが盛んな「ブイビエン通り」
など名所も遊びも満喫できます。
ホーチミン旅行は女性におすすめ!その理由は?
ホーチミン旅行は女性同士の旅にとてもおすすめな街です。にぎやかな街の雰囲気も気分が上がりますし、美味しいグルメにカラフルな街並みと歩いているだけで楽しくなる街ですよ。
「プチパリ」と呼ばれる街並み
ホーチミンにはフランス統治時代の建築物が多数残っており、「東洋のプチパリ」とも呼ばれています。ドンコイ通りのど真ん中にある「市民劇場」や「サイゴン中央郵便局」など、ヨーロッパ調の美しい建物に出会えます。
とくにサイゴン中央郵便局の美しさは必見。なんとパリ・エッフェル塔を設計したエッフェルが設計したものというから驚きです。目の覚めるような黄色の外観、中の天井に見とれてしまいます。
ホーチミンはかわいい雑貨天国!
ホーチミンはショッピングも楽しめる街です。心惹かれるのがかわいいベトナム雑貨たち!
安くてかわいいバッグや小銭入れなどの布製品はもちろん、おしゃれなかごバッグ、ベトナムならではの三角帽子「ノンラー」をかぶったぬいぐるみ、アクセサリー類やコスメなどどれも心躍る品物ばかり。雑貨探しもドンコイ通りがおすすめですよ。
おしゃれなカフェがたくさん!
コーヒーが有名なベトナムには、昔ながらの屋台カフェもありますが、おしゃれなデザイナーズカフェもたくさんあります。街歩きに疲れたら、おしゃれなカフェのテラスでのんびり過ごすのもとても良い時間になるでしょう。
私は行ってみたいカフェがありすぎて、夕飯が食べられないほどコーヒーを飲んでしまいました(笑)。
ベトナムの伝統的なコーヒーは練乳を加えたとても甘いもの。もちろんカフェには他のメニューもありますが、クセになる味わいでついつい注文してしまいます。ただし、飲み過ぎには注意しましょう。
エステでリフレッシュ
ホーチミンには清潔でおしゃれなスパもひしめき合っています。日本ではそこそこ値段のするエステやスパですが、ベトナムなら毎日行っても大丈夫!体を芯からほぐしてもらいましょう。
ホーチミンのスパやエステは日本語で予約が可能なところも多く、飛び込みで入っても日本語のメニューが用意されていることも。値段は安くてもインテリアにもこっていて、リラックスできるお店がほとんどなので安心して楽しめます。
ホーチミンでおすすめのアクティビティは?
街歩きの楽しいホーチミンですが、さまざまな体験型のアクティビティも人気を集めています。次は私が実際に体験したホーチミンのアクティビティをご紹介しましょう。
ベトナム料理を習おう
初めてベトナムを訪れたら、ベトナム料理の美味しさに驚くはず!日本でも有名な米粉を使った麺であるフォーや、もちもちの生春巻き、複雑な味わいのバインミーなど、どれを食べてもとても美味しいんです。
そんなグルメ大国のベトナムで、ベトナム料理を習う体験をしてみてはいかがでしょうか?ホーチミンにはいくつもベトナム料理を習える料理教室があります。
日本語で教えてくれるクラスもあり、日本語で本格的なベトナム料理を習うことができますよ。見たことのない食材にも触れることができるのでおもしろい体験になります。
メコン川クルーズでプチ冒険
ホーチミンからメコン川のクルーズに出かけるのも良いでしょう。ホーチミンからは約1時間半ほどの場所を流れる、国際河川のメコン川。全長4,000kmにも及ぶメコン川をクルーズで見学してみては?
あまりキレイな河川とはいえませんが、大自然の中をくぐり抜けるアクティビティはドキドキわくわくしますよ。メコンデルタ地方の人々の暮らしぶりを垣間見れるのも魅力ですね。
クチトンネルで歴史を学ぼう
ホーチミンの郊外にあるのが「クチトンネル」です。悲惨なベトナム戦争の遺産でありながら、人気の観光地にもなっています。
大自然の残るジャングルの中に造られたクチトンネルを体験できる施設では、戦争の歴史を学ぶこともできます。
地下に掘られたクチトンネルはベトナムの人々の命を守ったとても大切なもの。暗く狭い地下を進んでいくので少し怖い雰囲気が流れていますが、ベトナムの歴史を知る上では欠かせない場所です。
ホーチミンを満喫しよう!
グルメ、ショッピング、素敵な建物と明るい雰囲気のホーチミン。つらい歴史を持つ街ですが、現在はとても力強く発展を遂げています。
街を歩いているとこの国が少し前まで戦争で荒れていたことなど忘れてしまうほど。こんな素敵な街が二度と争いに巻き込まれないようにと願わずにはいられません。過去をひっくるめてとても興味深い街、ホーチミンの旅へ出かけてみませんか。
- image by:CravenA/Shutterstock.com
- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。