メジャーリーグ観戦で美味しい「ビール」を飲むために知っておきたいこと

image by:角谷剛

ビールを買うためにイニングを見逃してしまうことも

「エンゼル・スタジアム」のバックネット裏から。マウンドに立っているのは大谷翔平選手。image by:角谷剛

それほどまでに野球観戦とビールは切っても切れない関係だとする共通認識があるにもかかわらず、メジャーリーグ球場でビールを買うことはあまり容易ではありません。私が見るところ、その点に関しては日本プロ野球が圧倒的に優れています

まず、日本の球場でよく見かけるビールサーバーを背中に背負った「売り子さん」というものが、アメリカの球場には存在しません。

売り子さんといえば、ビールが欲しいなあとぼんやり思っていると、遠くからでも駆け寄ってきてくれて、美味しい生ビールを注いでくれる、そんな素晴らしい人たちのことです。

昔の映画を見ると、そうでもなかったようですが、少なくとも私はこの30年ほどはアメリカの球場でビールの売り子さんを見たことがありません。売り子さんが運んでくるものは、ポップコーンやピーナッツのような軽いものに限られているようです。

仕方がないので、席を立って、自分で売店までビールを買いに行くしかないのですが、大抵は面倒で不愉快な気持ちになります。

なぜならビールを売る店の前にはいつも長い列ができていて、たかがビール1杯買うのに5分以上もかかってしまうことはしょっちゅうだからです。下手をすると、その間に1イニングが終わってしまいます。

ビールを販売する人が日本のようにキビキビとしていないこともありますが、システムそのものに時間がかかるようになってしまっているのです。

その理由は米国社会のルールとして、お酒の購入者が21歳であっても、81歳であっても、アルコール飲料を購入する際には身分証明書の提示を求められるから。

米国在住者の多くは運転免許証を財布に入れて持ち歩いているので大きな問題にはなりませんが、海外からの観光客はパスポートを持参してビールを注文しなくてはいけないということになります。

列の後ろでイライラと待っている人たちがどれだけいても、レジの前では毎回そんなやり取りが繰り返されます。

もちろん、ムスっと黙ってビールを売ってもらうよりは、「やあ、調子はどうだい?」なんてにっこり笑ってくれるのは気分が良いものなのですが。

そうして苦労して手に入れたビールのカップを両手に抱えて(手間を省くために1本ずつは買わない)、スタンドの急な階段を上り降りするのはかなり大変です。せっかくのビールをこぼしてしまったことも、私は1度や2度ではありません。

「ヤンキー・スタジアム」絵に描いたようなビール日和であったが、売り子さんがやってくることはなかった。image by:角谷剛

このように不便なことが多いメジャーリーグ観戦のビール事情なのですが、最近では改善の兆しがあるようです。

ビールを階段や通路にこぼす客に対応するためか、缶ビールを売っているところが多くなりました。「エンゼル・スタジアム」では、スマホのアプリを使って、自分の席にまでビールを(もちろん食事も)デリバリーしてくれるシステムができました。

「ドジャー・スタジアム」では、缶ビールの自動販売機までもが登場しています。日本ではビール自販機は珍しくありませんが、アメリカでは画期的なことなのです。

もちろん、アルコール販売の際に年齢確認が必要になること自体は変わりませんので、身分証明書をスキャンするようなステップが必要になるのですが、それでも改善は改善です。

さすがは、変化することを恐れずに、常に顧客満足を心がけているメジャーリーグといえるでしょう。ただ、正直に個人的な心情を述べるなら、日本プロ野球のあの素晴らしいビール売り子システムから学んでくれないかなあとは思っています。

  • 参考:America’s favorite family outings are increasingly out of reach.
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