日本人なら一生に一度は参拝してみたい「出雲大社」。神話の世界に足を踏み入れたかのような、不思議な雰囲気をまとう出雲大社は、縁結びのご利益を授けてくださるパワースポットとして有名ですよね。
そんな出雲大社の鎮座する島根県出雲市には、出雲大社と縁の深い神社が多数存在します。神様の集まる出雲市に向かうのなら、ぜひ合わせて参拝したいのが「韓竈(からかま/かんかま)神社」です。
自然に守られるようにひっそりと鎮座する韓竈神社は、参拝するだけで生まれ変わったかのように感じられる特別な神社です。
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参拝者が絶えない「韓竈神社」とは
出雲市唐川町に鎮座する韓竈神社。創建ははっきりと分かっていませんが、『出雲国風土記』にもその名が記されているとても古く由緒ある神社です。
忘れ去られてもおかしくないほどの森の中にひっそりと鎮座する神社ですが、特別な参道が話題となり、参拝者は絶えません。
少し変わった社名は、ご祭神であるスサノオノミコトの伝説にちなんだもの。
スサノオノミコトは新羅に渡り、日本に植林法と鉄器文化を持ち帰ったと伝えられています。その鉄器を意味するのが竈で、韓から持ち帰ったから「韓竈」というわけですね。
参拝までの険しい道のり、注意点5つ
韓竈神社は本宮にたどり着くまでがなかなか険しい道のり。体力、気力ともに必要な険しい道のりだからこそ参拝したいという意欲を掻き立てられる面もあるかもしれません。
参拝に訪れる際には、必ず歩きやすく滑りにくい靴で出かけるようにしましょう。
体温調節もできるように、脱ぎ着しやすい羽織ものを持っていくのもおすすめです。では、本宮へと出かけてみましょう。
1.公共機関でのアクセス不可
まずひとつめ。公共機関でのアクセスは不可の場所にあります。
最寄りの駅は一畑電鉄「雲州平田駅」ですが、そこから神社までは歩くと3時間近くかかります。どれほど山の中に鎮座する神社なのかということが分かりますね。
バスもありますが、観光用ではなく生活用なので本数はごくわずか。運良くバスに乗れたとしても、バス停から神社まで徒歩で約50分ほどかかります。
駐車場はあるので車でアクセスするか、雲州平田駅からタクシーに乗車するとよいでしょう。いずれにせよ、韓竈神社へ絶対に行きたい!という意思がなければたどり着くのも難しい神社なのです。
2.電波の届かない薄暗い山中
街中からは大きく離れた韓竈神社。いざ参道にたどり着くと、最終に現れるのは木の茂った山道。薄暗く足元の悪い参道は、おまけに携帯の電波もなく圏外です。
手作りで韓竈神社と書かれた目標がなければ、この先に由緒正しい神社があるなんて思いも寄らないような雰囲気。ただ、参拝を終えた方やこれから参拝される方々は見受けられるので、その姿がとても心強く感じられます。
3.足元注意!苔むした300段の石段
生い茂る木々の参道を進むと、次に現れるのは長い長い石階段です。神社にはつきものの石階段ですが、韓竈神社の石段は同じ大きさに整備された石段ではありません。大きな段差と小さな段差、統一感がなくいかにも古い石段といった風情です。
見ている分には雰囲気があって良いのですがとても登りにくく、体力が奪われます。
加えて日があたりにくいのか、石段には苔が生しています。晴れの日でも足元は滑りやすくなっているので、十分に注意してくださいね。雨上がりであったり、雨の日はさらに注意が必要です。必ず歩きやすい靴で出かけましょう。
4.行き止まりにも見える…岩の間が参道
300段もある不ぞろいの石階段を登りきると、目の前を塞ぐように現れるのが巨大な石です。
何も知らない人が韓竃神社に参拝に訪れたら、きっと行き止まりかと思ってしまうことでしょう。階段の途中に他の参道があったのかな?と引き返してしまうかもしれません。実はこの参道、正しい道ですし、本宮へと続く唯一の道です。
この先は巨石の割れ目を通って行くことになります。体の大きな方や閉所恐怖症の方にはかなりの難所となってしまいますが、他にも参道はありません。この岩の裂け目を通った先に本宮があります。
5.窮屈すぎる参道は幅45センチ
人が一人やっと通れるくらいの広さしかない岩の裂け目は、なんと45センチほど。
目の前も岩、背中も岩の細い細い参道を通って行きます。歩きやすい靴に加え、汚れてもよい服で出かけることも大切です。大きな荷物も通りませんので注意してください。
この細い岩の裂け目は、誰もが生まれてくるときに通る「母親の産道」を表していると考えられています。この細い参道を通ることは生まれ変わることと同義と考えられてきたのですね。
そう思うとこの細い道もとても重要でありがたい道に見えてきます。服が汚れようとも、途中でつっかえようとも通りたい!そんな気持ちにさせられます。
でも、無理だけはしないように。携帯電話は電波がありませんので、万が一の場合助けを呼ぶこともできませんので、無理は禁物です。
抜けた先に現れる、厳かな雰囲気のお社
やっとのことで岩を越えると、目の前に現れるのが韓竈神社の本宮です。目線より目高い岩壁に鎮座しています。
どうやってあの場所に作ったんだろうという疑問も湧き上がりますが、その厳かな雰囲気に圧倒されてしまいますよ。
いつからこの場所に鎮座しているのかわかっていませんが、韓竈神社は近年パワースポットとしても知られています。
しかし本宮の前に出てみると、苦労して参拝する価値は十分にあると感じられます。おそるおそる登った階段のも、岩の裂け目もこの神々しいお社にたどり着くための試練だったんだなと感じられるでしょう。
スサノオノミコトが乗ったとされる船も
韓竈神社には神話に登場する「岩船」だと言い伝えられている巨大な岩も残されています。
『日本書紀』によると、スサノオノミコトは高天原から一度大陸に渡り、そこから岩に乗って出雲に辿りつかれたとされています。その時に乗られた岩船が、この韓竈神社にある巨大な岩なんですよ。
苔で覆われた大きな岩はどこか神秘的な雰囲気。周りはゴツゴツとした岩ばかりなのにもかかわらず、この岩船だけは平らになっています。神話の世界のものが本当に存在するという摩訶不思議な体験ができますよ。
参拝後は御朱印をもらおう
韓竈神社本宮に社務所はなく無人ですが、お札とお守りの授与が行われています。たどり着くのが難しい場所にありますが、せっかくなのでお札やお守りをいただいて帰りましょう。
ここで忘れてはいけないのは御朱印です。一見御朱印を授与していただける場所はなさそうに思えますが、実は本宮から少し離れた場所でいただけるんですよ。
平日は韓竈神社から車で約15分ほどの場所にある「鰐淵コミュニティセンター」、休日はコミュニティーセンター近くの「もみじや商店」で書き置きの御朱印がいただけます。
- 鰐淵コミュニティセンター
- 島根県出雲市河下町720-1
- 公式サイト
- もみじや商店
- 島根県出雲市河下町599-1
今回は、秘境中の秘境といっても過言ではない、島根県出雲の「韓竈神社」をご紹介しました。
出雲大社とあわせて訪れれば、ご利益も倍増間違いなし。厳しい道のりではありますが、装備をきちんとそろえた上で訪れると、きっといままでとは違うパワーをいただけるはずですよ。
- 韓竈神社
- 島根県出雲市唐川町408
- 出雲観光協会公式サイト