前回の記事でアメリカ西海岸地方を中心に展開するハンバーガー・チェーン『イン・アンド・アウト・バーガー』を紹介しました。
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続いて今回は、カリフォルニア州内でもとくにロサンゼルス近辺を訪問する人にオススメしたい、もうひとつのハンバーガー・チェーンを紹介します。
「Original Tommy’s/トミーズ・バーガー」
今回紹介するのは、ロサンゼルスで約80年の歴史を誇る「トミーズ・バーガー」です。
正式名称「Original Tommy’s(以下:トミーズ・バーガー)」は、イン・アンド・アウト・バーガーより2年早い1946年に、ロサンゼルスで誕生しました。
創業者は当時27歳だったトム・クーラックス氏。ギリシャ移民の子だったトムさんの愛称は「トミー」で、この呼び名がそのまま店名になりました。
創業時は、『Original Tommy’s World Famous Hamburgers(オリジナルなトミーの世界的に有名なハンバーガー)』が正式名称だったので、現在も看板にはそう書いてあります。
どの店舗に行っても、壁には開業当時の古い写真が飾られ、古き良き時代のアメリカの雰囲気を垣間見ることができます。
なぜ、今回その「トミーズ・バーガー」をオススメするのか?その1番目の理由はロサンゼルスでしか食べられないからです。
約80年の歴史を誇るロサンゼルス名物グルメ
公式ウェブサイトによると、トミーズ・バーガーは創業してから30年くらいは数店舗のみの経営を続け、チェーン化したのは1980年代以降のことだそうです。
チェーン展開の範囲はロサンゼルス周辺に限られています。現在ある32店舗のうち、例外はラスベガスに3店舗あるだけで、それ以外はすべてロサンゼルス大都市圏内にあります。以前、サンディエゴにも1店舗ありましたが、2023年3月に閉店しました。
第2次世界大戦が終了した翌年から、長年ロサンゼルスだけで販売されていたので、もはやトミーズ・バーガーをロサンゼルスの名物グルメと呼んでも差し支えないでしょう。
販売エリアが限られているにもかかわらず、トミーズ・バーガーは世界的に有名です。私がそうでっち上げているわけではなく、彼らが自分でそう名乗っているのです。
接客サービスはあまりマニュアル化されていないようです。店員さんには愛想の良い人もそうでない人もいます。その分、ごく普通の現地人と自然な形で会話できるのだとも言えるでしょう。
だって、某ファミリーレストランみたいに、「〇〇〇〇へようこそ」なんて普通の日本人は口にしませんよね。
オリジナルTシャツも店内で販売していますので、ロサンゼルス旅行のお土産にするのもよいのではないでしょうか。きっと他所では手に入りません。
独特の味はチリがベース
さて、肝心のお味の話に移りますと、トミーズ・バーガーの最大の特徴は(そして私がおススメする2番目の理由は)、オリジナルのチリソースにあります。
ハンバーガーにも、ホットドッグにも、フライドポテトにも、すべてのメニューにはチリソースがこれでもか、と言わんばかりにたっぷりとかかっているのです。
したがって、このお店でハンバーガーを頼めばそれはチリバーガーのことであり、ホットドッグを頼めばチリドッグが出てくるのです。
チリとはひき肉と野菜にチリパウダーなどの香辛料を加えて煮込んだもので、元々はメキシコ料理であるとも、あるいはそれに影響を受けたテキサス料理だとも言われています。
その定義はともかく、チリは現在ではアメリカ人のソウルフードと呼びたくなるくらい、老若男女すべてに人気が高い食べ物です。
トミーズ・バーガーはオリジナルのレシピでこのチリソースを作り、すべてのメニューにつけるだけではなく、単体カップでチリソースだけの販売までしているのです。
チリバーガーもチリドッグも、日本のグルメ系ハンバーガー・チェーン「モスバーガー」のメニューに入っています。
モスバーガーのチリメニューとても美味しいと思います。ただ、ささやかな個人的見解を述べるなら、モスバーガーとトミーズ・バーガーは同じチリという名称の食べ物を使っていますが、その味もコンセプトもまったくの別モノです。
トミーズ・バーガーのチリは他と何が違うか?これもまた個人的見解とお断りしておきますが、特筆するべきはその豪快さにあります。
トミーズ・バーガーではチリバーガーもチリドッグもお肉の上にソースがかかっているのではありません。大量のチリソースの下にパティやソーセージが隠れているのです。両手で掴んで口に運ぼうとすると、どれだけ気をつけてもチリソースがボトボトとトレイにこぼれます。
食べているうちに、口の周りも両手もチリソースでベトベトになります。だから、この店で食事をするときには大量のペーパータオルが必要になるのです。私の場合はハンバーガー1個につき、だいたい5枚くらいのペーパータオルを用意します。
食事のときは行儀良くしなさいと幼少のころから躾けられてきた私たち日本人にとって、まさに対極のコンセプトで作られた食べ物ではないでしょうか。異文化との遭遇、それこそが海外旅行の醍醐味です。
私が初めてトミーズ・バーガーに出会ったのはまだ10代のころでした。生まれ育った日本からアメリカへやって来たばかりの世間知らずな少年でしたので、カルチャーショックと呼んでも大げさではないほどの衝撃を受けました。人生観が変わった、とまでは言いませんが。
ロサンゼルスを訪れる日本人のひとりでも多く、このトミーズ・バーガーを体験してもらいたいと思います。
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