100歳以上が全国平均の3倍。なぜ京都の「京丹後市」は長寿の街となったのか?

年々延びている日本人の平均寿命。実は日本は世界的にみても平均寿命が長い国ということをご存じですか?

さらに京都府には、世界が注目する“ご長寿のまち”があるんです。今回は京都府北部に位置する元気なご長寿のまち「京丹後市」のヒミツに注目してみました。

「京丹後市」ってどんなまち?

京丹後市は京都市内から車で約1時間45分(縦貫道使用)の距離にある、海の京都エリアの最北端に位置するまちです。

6つの町(久美浜町・網野町・丹後町・峰山町・弥栄町・大宮町)からなるまちの魅力は、久美浜湾の豊富なプランクトンでぷりっと大きく育つ牡蠣や、山陰海岸ジオパークの地質遺産が残る海岸線、息を呑むほどに美しい風景が印象的な青の洞窟夕日ヶ浦のほか、約300年の伝統を誇る丹後ちりめんなど、豊かな自然と歴史が根付いているところ。

そしてなんといっても住民の寿命の長さです!京丹後市に住む100歳以上の人たちの比率は全国平均の3倍を誇っており、過去には存命中の最長寿ギネス記録保持者も在住していました。

単に寿命が長いというわけではなく、「健康寿命」の長いご長寿がたくさんいることでも注目されているんです。

いま、注目されている「健康寿命」とは?

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みなさんは「健康寿命」という言葉をご存じでしょうか?健康寿命とは2000年にWHO(世界保健機関)が提唱した新しい健康指標で、「心身ともに健康で自立した生活ができる期間」のことをいいます。

せっかく長生きできるなら、いつまでも元気に活動的な生活を送りながら生きていきたいですよね。とはいえ、年齢と共に身体が衰えてくるのは事実……。

2019年度における国民の平均寿命をみると、男性が81.41歳、女性は87.45歳です。これに対して健康寿命は男性が72.68歳、女性は75.38歳なのだとか。それぞれ男性が-8.73歳、女性が-12.07歳と平均寿命と健康寿命に差があります。


こんな話を聞くと「できるだけこの差を埋めて元気にいたい!」と思いますよね。

現在、この長寿の秘訣について、京丹後市の65歳以上の1,000人を対象に、京都府立医科大学と京丹後市立弥栄病院が共同で、家族構成や生活習慣、血液の分析から骨密度に至るまでの約2,000項目もの健康調査を行い、2032年までの長期計画で経過過程を観察する「京丹後長寿コホート研究」(疫学研究)で研究が進められています。

京丹後市民に元気な「ご長寿」が多いワケ

研究で少しずつ分かってきた京丹後市の健康長寿者の特徴には、3つの重要な要素があるそうです。

要素①:生活リズム

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京丹後市の健康長寿者たちは、朝起きたら畑や田んぼに行って仕事をし、家族やご近所とのコミュニケーションの機会も多いそうです。

また、夜は暗くなったら就寝するなど、1日の規則的な生活リズムができており、その中で自然と身体を動かす生活が習慣となっています。

要素②:食事

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若いころから健康長寿者たちが食べてきた、この土地の食材を使ってつくる“伝統的な日本食”。その特徴は、タンパク質の摂取が動物性のものよりも豆や魚介類から多く得られており、また野菜や果物から食物繊維を豊。富に摂取していることで、健康的な「腸」が作られているのだそうです。

これらのことは京丹後市の郷土料理からもうかがうことができます。鯖のおぼろを使った「丹後のばら寿司」や、おからや麻の実(おのみ)を使った「このしろ寿司」、塩漬けした魚を米糠に長期間漬け込み熟成させる「へしこ」など、魚をメインとした発酵食品や、素朴ながらも手間暇をかけ作られる郷土料理はまさに健康長寿のまちが生んだ身体が喜ぶ料理といえますね。

要素③:運動

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農作業従事者が多い京丹後市では、畑仕事などで自然と握力や足腰が鍛えられている方が多く、また都心部から離れているため“よく歩く”など、昔と変わらない暮らしをしていることも健康長寿に繋がる要因の一つとなっているそうです。

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このように「よく食べ・よく動き・リズムの良い生活スタイル」を送る京丹後市の健康長寿者たちの血管年齢を調べてみると、全国平均よりも10歳ほど若く、骨密度も全国平均を上回りっているのだとか。さらに大腸がんの罹患率も低いそうですよ。

「腸」は人体最大の「免疫器官」といわれています。免疫細胞の約7割は腸に集中しており、細菌やウイルスなどの病原体やがん細胞から常に体を守ってくれています。

さらに腸は脳や心臓などあらゆる臓器と密接に関係があり、腸が健康であることは私たちの寿命や性格に大きく関係してくることが明らかになってきたそうです。

京丹後市のご長寿の皆さんを見てみると、畑仕事などでの日常的な運動や健康的な食事、ご近所とのコミュニケーションなどでの社会との繋がりや、規則的なライフスタイルから、腸内に棲む細菌のバランス(腸内フローラ)が整い、活性化しているのではないかと考えられています。

もちろん長寿の秘密は腸内環境だけではないですが、今後、「京丹後長寿コホート研究」によってどのような「健康長寿の秘密」が明らかになるのか楽しみですね。

京丹後市の長寿の秘密をもっと知りたい!という方は、京丹後長寿コホート研究の先生方が監修された「~今に活きる~京丹後百寿人生のレシピ」第4版もチェックしてみてください。


京丹後市で体験できる「長寿の秘訣」!?

image by:京丹後市観光公社

また、京丹後市では4月〜11月末までの期間、食とウォーキングを通して長寿の秘訣を体感する『海の京都「百寿人生のレシピ」プログラム』が行われています。

こちらでは、健康チェックやセミナーを通じて百寿者の食生活や習慣が紹介されており、地元食材で作られた「百寿弁当」を実食できるほか、ガイドさんと一緒にジオパークの美しい海岸線を眺めながらレトロな漁師町のウォーキングを楽しめます。

そのあとは美肌の湯といわれる「宇川温泉よし野の里」で温泉を堪能することができますよ。こちらの心身を癒しながら健康的な暮らしの知恵を学ぶことができるプログラムもぜひ体験してみてください。

まずは気軽に食事だけでも食べてみたい!という方は、京丹後のご長寿たちが食べてこられたメニューが入った「長寿弁当」や「長寿御膳」を食べることができるお店もあります。各店舗が趣向を凝らして作っているので、こちらのHPから気になるお店を見つけてくださいね。

京丹後市の健康長寿者のライフスタイルを参考に、私たちもいつまでも笑顔で健康的に生活していきましょう。

◾️◾️記事監修◾️◾️

京都府立医科大学
循環器内科学 的場聖明教授
京都府立医科大学 長寿・地域疫学講座
公式ホームページ

◾️◾️INFORMATION◾️◾️

『海の京都「百寿人生のレシピ」プログラム』
問い合わせ先:京丹後市観光公社
TEL:0772-72-6070
「きょうたんごヘルスツーリズム」ホームページ

  • source:KYOTO SIDE
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