2023年10月1日(日本時間2日)。大谷翔平選手が所属するロサンゼルス・エンゼルスが、本拠地エンゼル・スタジアムでシーズン最終戦を迎えました。
ご存じの通り、大谷選手は右肘の手術を受け、この試合に出場しないことはわかっていました。
もうひとりの球界を代表するスーパースター、チームメイトのマイク・トラウト外野手も、1週間前から故障者リスト入りしていました。チームの両輪を欠いた、いわば飛車角落ちの状況でシーズンを終えるという、ファンにとっては残念な日でもありました。
一方で、大谷選手はリーグトップの44本塁打を記録し、日本人初となるホームラン王のタイトルを獲得。チームと個人で両極端な結果となりました。
シーズン最終戦は快勝で90敗目を逃れる
エンゼルスは今シーズンも大きく負け越し(8年連続)、プレーオフ進出の可能性も以前から消滅していました。
そして最終戦の対戦相手はエンゼルスよりさらに下を行く、同地区最下位のオークランド・アスレチックスです。どちらが勝ってもポストシーズンの行方にはまったく影響がありません。
およそ考えられる限り、ファンを球場に呼び寄せるには最悪の条件でした。究極の消化試合とでも呼ぶべきでしょうか。
さらに言えば、この日は日曜日で、しかもデーゲーム。この季節、スポーツ好きのアメリカ人の多くは、テレビの前でNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)の実況中継に夢中になっている時間帯です。
エンゼルスのファンは全米で一番優しい?
上のような事情がありますので、エンゼルスのシーズン最終戦は史上空前のガラガラになるのではと思って球場に来てみると、そんなことはありませんでした。
さすがにスタンドが満員にはなりませんでしたが、それでも普段と同じくらいには席が埋まっていました。
球団発表によると、この日のエンゼル・スタジアムの入場者数は26,539人。けっして多くはありませんが、それほど悪くはありません。
そのことは対戦相手のアスレチックスの例と比較するとよくわかります。
アスレチックスの今シーズン本拠地最終戦はちょうど1週間前の9月24日に行われました。この日と同じ、日曜日のデーゲームにデトロイト・タイガースを迎えた試合での入場者数は13,102人だったのです。
消化試合でも2倍以上の人が来場する理由とは
同じように低迷したチームの消化試合でも、入場者数は2倍以上の差が出る。その理由は何なのでしょうか。
大谷選手とトラウト選手、日米両国で史上最高選手と目されるスーパースターを擁しながら、エンゼルスはこの6年間で一度もプレーオフに進出できませんでした。
勝率5割以上のシーズンすら一度もないのです。それでも球場に足を運ぶファンがこれだけいる。エンゼルスのファンは寛容すぎるのでしょうか。
なにしろ、エンゼルスは球団が創設された1961年以来の62年間、ワールドシリーズで優勝したことはたったの1回(2002年)しかないのです。ファンが辛抱強いことにかけては年季が入っていると言えるかもしれません。
こんなことを書くと関西方面から石が飛んでくるかもしれませんが、今年18年振りにセリーグ優勝をはたした阪神タイガースは、創設87年で日本シリーズ優勝1回(1985年)ですので、栄冠から遠ざかっているという意味ではエンゼルスと遜色ありません。どれだけ負けても、熱心なファンがついてくるところも似ています。
と、ここまで書いて心配になってきました。
ひょっとしてこの記事が公開された後、2023年の日本シリーズで阪神タイガースが優勝するという驚天動地の奇跡が現出するのでしょうか。繰り返しお願いしますが、もしそうなっても私に向かって石を投げないでください。
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