大谷翔平、HR王獲得なるも消化試合…エンゼルス2023年シーズン最終戦
大谷翔平選手の「お別れセレモニー」ができなかった理由
さて、エンゼルスのシーズン最終戦の話でした。
ファンがこの日のエンゼル・スタジアムに足を運ぶ唯一の理由がもしあったとすれば、それは大谷選手の姿を見る最後のチャンスになるかもしれなかったことです。
試合に出場することはなくても、ベンチに姿を見せるかもしれない。ひょっとしたら試合後にシーズン終了の挨拶をするかもしれない。そんな期待です。
大谷選手は今シーズンオフにフリーエージェントの資格を得ます。
来シーズンもエンゼルスに戻ってくる可能性はゼロに近い、というのが大方のメディアの予想です。従って、大谷選手がエンゼルスのユニフォームを着ることはこの日で最後になるかもしれません。
それでも、エンゼルスが大谷選手を見送る、正式な「お別れ」セレモニーが行われることはないこともわかっていました。
なぜなら、MLBのフリーエージェント制度では、ワールドシリーズ終了後5日間は、現在所属しているチームに独占交渉権が与えられているからです。
この場合は、エンゼルスがシーズン終了後に大谷選手へ残留オファーを出し、それを大谷選手が拒否すると、初めてフリーエージェント選手として他球団との交渉が可能になります。
9分9厘、来年からは他チームへ移籍するとわかっていても、建前上はレギュラーシーズン最終戦の段階では、チームの方からも選手の方からも「さようなら」はお互いに言えない仕組みになっているのです。
この6シーズンは球史に残るスペクタクルの連続だった
私事ながら、私はエンゼルス本拠地近くに住んで30年以上になります。
そして、大谷選手がエンゼルスに移籍することが決まった2017年のオフシーズン、私はライターとしての仕事を始めたばかりでした。
本拠地の近くに住んでいるというだけの理由である野球専門サイトに採用してもらい、生まれて初めて原稿料をもらって書いた記事は、大谷選手を迎えるエンゼルス・ファンの反響をレポートするというものでした。
それ以来、何回もエンゼル・スタジアムで大谷選手のプレイを見ましたし、何本もの記事を書いてきました。
そんな個人史はともかくとして、大谷選手がこれまでにエンゼルスで過ごした6シーズンはまさに球史に残るスペクタクルの連続であったと言えるでしょう。
しばしば「ユニコーン」とか「宇宙人」とか称されるくらい、大谷選手が投打で発揮したパフォーマンスは人間離れしているという評価は、もはや誰も否定できません。
同じ時代に同じ場所で大谷選手の活躍を見ることができたエンゼルス・ファンは、ひょっとしたら歴史上もっとも幸福な野球ファンなのではないでしょうか。
『またシーズン負け越し?小さい、小さい』そんな風に感じているファンがこの日のエンゼル・スタジアムには2万人以上いた。そういうことかもしれません。
来シーズン、大谷選手はエンゼルスに戻ってくるのか
結局、この日は最後まで大谷選手がファンの前に姿を現すことはありませんでした。
ベンチには入っていたようですが、スタンドからは見えません。日本からテレビ中継を見ていた人の方が、その辺の事情には詳しいかもしれません。
来シーズンに大谷選手がエンゼルスに戻ってくることはあり得ないというのが大方の予想です。
それでも、いつでも大方の予想を覆してきたのは、他でもない大谷選手です。
このシーズンオフに誰もが予想しなかったどんでん返しが起きて、来年のシーズン開幕戦に大谷選手がチームに戻ってきますようにと願う大勢のエンゼルス・ファンに混じって、球場を後にしました。
- 文・写真:角谷剛
- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
- ※一部内容を修正しました(2023/10/2)。