ビルボード音楽ランキングでは、海外でヒットしている日本の楽曲(日本市場を除外)を紹介する「Global Japan Songs excl. Japan」が毎週更新されています。
執筆時点の現在、Creepy Nutsの『Bling-Bang-Bang-Born』、YOASOBIの『アイドル』、King Gnuの『SPECIALZ』といったアニメの主題歌に加えて、藤井風『死ぬのがいいわ』など、アニメ主題歌とは異なる楽曲などが上位に見られます。
一見して、Creepy NutsからYOASOBI、藤井風まで、さまざまな種類の楽曲が評価されている印象ですが、J-POPは海外で、どのような評価を受けているのでしょうか。
そこで今回は、海外の人たちがJ-POPにどのような反応を示しているのか「アメリカ版2ちゃんねる」とも言われる「reddit」などでリアルな海外の声を拾ってみました。
お気に入りの一曲は選べない
まず、海外の掲示板で見掛けた「What is your absolute FAVOURITE Japanese song?(あなたにとって最高にお気に入りの日本の歌は?)」といった問いに対する答えから紹介します。
皆さんは、どのような曲が上位に挙がってくると思いますか?
意外や意外「あなたの好きな日本の歌を一曲教えて」の問いに、最も目立った答えは「決められるかよ」といった突っ込みでした。
「Can’t choose just one(一曲など選べない)」
「It’s impossible for me to choose a song, it’s already difficult to choose an album(不可能だよ、一曲選べなんて。アルバムを1つ選べと言われても難しいんだから)」
「Too many to count lol(あまりに多すぎて1つ挙げろなんて涙)」
「Oh man, it’s so hard to pick one(おいお前、一曲選べなんて難しすぎるだろ)」
「I don’t think I can easily give a favourite ONE(お気に入りの一曲を簡単に挙げられるとは思えない)」
「There are too many, this is hard enough to be impossible(滅茶苦茶たくさんあるから、不可能と言えるくらい難しい)」
「Hard to say(言えない)」
「Ya it’s hard to pick just one(一曲選べなんて厳しいな)」
「Too many!(多すぎる)」
「Soooo many(チョーたくさん)」
(「reddit」より引用。※ 日本語訳は筆者が挿入)
世界に点在する日本の歌のファンにとっては、お気に入りの一曲を選べないくらい、多くの曲が浸透しているみたいですね。
外国人のお気に入り楽曲リストには日本人も納得!?
「一曲など選べない」といった意見を紹介しましたが、具体的な曲名も知りたいところ。どのような曲が一体、海外の掲示板に名指しで挙げられるのでしょうか。
例えば「What are some of the most iconic/popular Japanese songs of all time?(最も象徴的、かつ人気な日本の楽曲は何)」という4年前の投稿に、最近まで返答が続き、さまざまな曲名がその間に挙げられていました。
「Yoasobi – idol」
「First Love by Utada Hikaru」
「Lemon by Kenshi Yonezu」
「Sekai ni hitotsu dake no hana – Smap」
「Spitz – Robinson」
「Makenaide by Zard」
(「reddit」より引用)
坂本九さんの『スキヤキ(上を向いて歩こう)』などに加えて、以上のような曲名がずらりと並んでいました。納得という感じではないでしょうか。
しかも、曲名を単に知っているというレベルにとどまらず、曲の背景知識について詳しいファンも存在するようです。例えば、古い曲ながら、
「Forever Love by X Japan」
(「reddit」より引用)
を挙げた外国人は、XジャパンのギタリストであるHideさんが亡くなった後、告別式で演奏された曲という知識を持っていました。
「If you look into the back story, you’ll understand. I’ve heard people can’t hear the song without crying. I too get emotional when I hear it. Rest in peace, forever love, Hide.」
(「reddit」より引用)
ここまで知っている外国人からすると確かに、Xジャパンだけでも名曲がたくさんあるわけですから、一曲には絞り込めないはずです。
J-POPにユニークさ、日本らしさを強く感じる
ただ、以上のような反応を見るたびに、素朴な疑問が浮かびます。
日本語の歌詞の意味も分からない人たちが、世界的なマーケットシェアを獲得しているとは必ずしも言えないJ-POPに、どこで接点を持つのしょうか。現に、
「The market is REALLY big and the big share of it is internal(国内市場はとても大きく、シェアの多くは国内)」
(「reddit」より引用。※ 日本語訳は筆者が挿入)
と指摘する外国人がいるくらいです。日本の曲は長らく、国内マーケット向けに主につくられてきました。
さらに言えば、K-POPにおけるBTS(と、その音楽事務所HYBE)のように、世界的な認知度を引っ張り上げる絶対的な存在が、J-POPの世界にはまだいないようにも思えます。
しかし接点は意外にも(あるいは全く意外ではないかもしれませんが)、日本の他のポップカルチャー、具体的にはアニメが入り口になっているケースも少なくないみたいですね。
「I discovered Japanese music like many through anime and videogames, but soon I began to explore further, in search of more creative and less formulaic music(私が、日本の音楽を発見したきっかけはアニメとテレビゲームです。そこからすぐに私は、創造的で型にはまらない音楽を探求し始めました)」
(「reddit」より引用。※ 日本語訳は筆者が挿入)
この「創造的で型にはまらない」音楽、ユニークさについては、日本の音楽に出合った多くの外国人が指摘するポイントです。
「Producers don’t need to appeal to foreign audiences when their home market sustains the whole thing. That’s what make it unique. We like japanese music because it sounds japanese.(プロデューサーは、海外の聞き手を意識する必要がない。国内マーケットの規模が十分維持されているからだ。その環境が、日本の音楽をユニークにしている。われわれは、日本の音楽が好きだ。とても、日本っぽいからだ)」
「Japanese music might not be known worldwide these days but the originality is still there.(日本の音楽は、世界的に知られているわけではないかもしれないけれど、オリジナリティはまだ存在する)」
「Maybe it’s all the vowels in the language but like you said, they harmonize with the music in such a way that even without knowing most of the lyrics I can feel a real impact from it.(たぶん、言葉の全てに母音が含まれるから、音楽と歌詞が調和するのだ。ほとんど歌詞が分からなかったとしても、本物のインパクトを楽曲から受けられる)」
「I think Japanese artists generally have a much better ear for melody, harmony, rhythm and aesthetics.(思うに、日本のアーティストは一般に、メロディー、ハーモニー、リズム、美しさに対して優れた感覚を持っている」
「Deep Meaning Lyrics and Unique Melodies(歌詞は意味深く、メロディーはユニーク)」
(「reddit」より引用。※ 日本語訳は筆者が挿入)
アニメなどを通じて日本の曲に出合った人たちは、その楽曲に、他では見られないユニークさ、日本らしさを強烈に感じるみたいですね。
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