「なんだか最近、お箸の使い方が上手な外国人が多くない?なんのデータもないけれど」と、TRiP EDiTORの編集長がふとした瞬間に言いました。
お箸の使い方が上手な外国人について調査した大規模な資料はさすがに探してもありませんでしたが、それなりのペースで海外取材に出掛け、外国人と交流する機会が多い筆者も確かに思う節があります。
そう言うと「失礼だ」とか「今更当たり前だよ」という指摘もありますが、実際のところはどうなんでしょう?
そこで今回は、お箸の使い方が上手な外国人が増えた説は本当なのか、実際に知り合いの欧米人に聞いてみた結果といくつかのデータを基に考えてみました。
スマホを取り出してビデオを撮り始めた
先日、北欧から遊びに来たノルウェー人・スウェーデン人家族と金沢で回転ずしを食べた時、彼らが器用にお箸を使っている姿を目にしました。
その上、お箸の使い方についてもいろいろ聞かれたので、正しい使い方とNGなマナーをレクチャーすると、スマホを取り出してビデオを撮り始める瞬間もありました。
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お箸の使い方にどうしてこれほどの興味を持ったのでしょうか。
あらためてその点を、メッセンジャーで聞いてみると、日本食への関心、日本文化への関心が高いため、日本の食や文化の根底にあるお箸の使い方についても興味関心が高いからだと教えてくれました。
もしかするとこの辺りに「お箸の使い方が上手な外国人が増えた説」を探るヒントがあるかもしれません。日本食への関心、日本文化への関心が高まれば当然、お箸を使う機会が増えます。お箸を使う機会が増えれば、お箸の使い方に慣れる(上手になる)チャンスもまた増えるはずだからです。
海外にある日本食レストランの数が急増
例えば、日本食への関心の増減は、海外における日本食レストランの数の推移である程度推測できるはずです。
農林水産省がまとめた「海外における日本食レストラン数の調査結果(令和5年)」によると、コロナ禍の影響で約1割減となった北米を除き、アジア、中南米、ヨーロッパでは軒並み、日本食レストランの数が増えているそう。
具体的には、前回の調査(令和3年)と比較して約2割増え、約187,000店となりました。アジアとヨーロッパでは約2割の増加、中南米では約2倍もの伸びとなったのだとか(中南米の場合は調査方法の変更も影響)。
もっと長い期間で伸び率を見ると、2006(平成18)年の時点では約2.4万店だった日本食レストランも、2013(平成25)年になると約5.5万店、2015(平成27)年には約8.9万店まで増えています。
そこからさらに、2023(令和5)年には約187,000店に増えたのですから、日本食人気の高まり、日本食需要の高まりがすさまじい勢いで生じていると言えるはずです。
もちろん、それらの日本食レストランでは、器のチョイス、料理の盛り付け方などに独自のこだわりがあっても、ナイフやスプーンで料理を食べさせないはずです。お箸で食べさせる日本食レストランが海外に増えれば、家ではお箸を使わない外国人にもお箸を使う機会が増えます。
お箸に親しむ人が増え、一度も使った経験がないような人が減れば、お箸の使い方がでたらめな外国人も減っていくはずです。
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