まさに隠れ家…時間と共に重みを増す新感覚「洞窟レストラン」

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観光スポットやグルメ、その土地の文化など「旅」には旅行者それぞれの「目的」があります。そんな中「旅の目的地(=デスティネーション)となる宿」をテーマにプロデュースを重ねているのが、株式会社「温故知新」です。

この度、温故知新が運営中の洞窟レストラン「house & restaurant maison owl(メゾン・アウル)」が日本建築学会作品賞を受賞しました。外観から驚きに満ち溢れた「メゾン・アウル」の魅力と共に、受賞の詳細に迫ります。

過去に類を見ない驚きの発想。広々とした解放感すら感じる巧みな設計に脱帽

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2011年に創業して以来、過去に例のない宿泊施設を次々と作り出し、その度に話題を呼んでいる「温故知新」。これまでにも旅館の運営からプロデュース、コンサルティングを通じて新たな体験を生み出してきました。

スタジアム一体型ホテルのプロデュースや数々のスモールラグジュアリーホテル、今年初めには世界初のオフィシャル・シャンパンホテル「Cuvée J2 Hôtel Osaka by 温故知新」をオープンするなど目が離せない勢いで、いま最も注目すべき存在といえます。

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そんな温故知新が手掛けているレストランのひとつが、2021年にグランドオープンを迎えた、山口県宇部市の「house & restaurant maison owl(メゾン・アウル)」。「ハウス&レストラン」という名称の通り、オーナーシェフである平田基憲氏の住宅兼レストランです。

何よりも驚きなのがそのコンセプト。なんと「洞窟レストラン」と呼ばれており、大きな土地全体にすっぽりとはまり込んでいるような外観で、地下にその世界が展開されているという他に類を見ない設計となっているのです。

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オーナーシェフの平田氏は、設計の際に「時間と共に重みを増していくような建物がほしい。ツルツルのものではなく、自然の粗々しさを含むような建物を」とリクエスト。このオファーに応えたのが、石上純也建築設計事務所の建築家・石上代表です。

完成までにかけられた時間は9年間。平田氏の希望を「洞窟」と見紛うような構造と造形によって具現化し、完全招待制のレストランとして、不定期で公式Instagramより予約することができる、大変貴重なスポットとして知られています。

レストランでいただくことができるのは、季節毎の素材をたっぷりと使用した極上のフレンチ。カトラリーや器まで空間に合わせてオリジナルで製作されており、反響音や料理の香りの巡りまでが計算され尽くした唯一無二のレストランです。


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そんなメゾン・アウルが、この度「一般社団法人日本建築学会」によって建築・建設分野で功績を上げた個人・団体を称え授与される「日本建築学会賞」を受賞。論文、作品、技術、業績の4部門から評価が行われています。

「芸術性と感情への訴求」評価では、メゾン・アウルが社会の課題を反映した建築ではなく、純粋な芸術として訪れる人に自由や喜びといった感情の根源に触れる空間提供を叶えている点を絶賛。

さらに「大地と建築の革新的な関係」という評価では、「洞窟」として大地に潜るかのような建物が、これまでの「地面に載る」という概念を一転させた点に注目。コンクリートの躯体を掘り出すという、独自の施工法が生み出した発想の転換が評価されました。

「具体的な空間体験」項目では、コンクリートの躯体が複数の力で生み出す空隙によるシークエンスの豊かさや、洞窟に向かって階段を下りるてゆく入場のアプローチによって、人の心を揺さぶる空間体験が叶えられている点に着目。

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そして「精密な設計と多様な形態」における評価では、最先端の3Dスキャン技術による設計と、コンクリートと土が織り成す多彩な形態、ガラス窓や扉の巧みな使用などを高く評価しています。

3つの庭をセンターにして住居とレストランを配置し、全体の一体感を生み出した回廊の設計によって、洞窟でありながら全く窮屈さを感じない点も「プランニングと視線の広がり」として高評価の対象となりました。

「すでに時間の重みを帯びている作品は、時が経つにつれてさらに重みと価値を増していくだろう」

石上氏は、2009年に「神奈川工科大学KAIT工房」でも日本建築学会作品賞を受賞しており、今回で2度目となる快挙を達成。受賞に際し、ほぼ満場一致で評価されたというのも石上氏の才能を感じるエピソードといえます。

平田氏の強い思いからスタートし、石上氏がこれまでに手掛けてきた作品を背景にして現実のものとなった「house & restaurant maison owl(メゾン・アウル)」。建築の一般的な概念を超え、唯一無二のレストランとして至極の時間を重ねていくことが期待されています。

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