機内食を無料で変更。旅のプロがあえて「特別機内食」を選ぶ理由

image by:シカマアキ

飛行機の機内食が旅行の楽しみ、という人もいるのではないでしょうか。機内で提供される食事のことを指し、短いフライトだとサンドイッチなど、長いフライトのビジネスクラスなどだと高級レストランのようなフルコースが味わえることも。

ANA国際線で事前申し込みしたシーフードミール(SFML)image by:シカマアキ

それらの一般の機内食とは別に、どの航空会社にも「特別機内食」があります。事前の申し込みが必要ではあっても無料であり、基本的に誰でも頼むことができます。

さらに、特別機内食ならではのメリットもあり、これを知っておいて損はありません。年間数多の機内食を実食する筆者が、これまでさまざまな特別機内食を注文した際の方法や感想、メリットなどを紹介します。

※特別機内食は国内線での提供はありません。

特別機内食の申し込み方法は? ツアー時などには注意

短いフライトの特別機内食は選択肢少なめ image by:シカマアキ

特別機内食は、航空券を購入した際、その航空会社の公式サイトの場合は、そこからそのまま申し込むことができるのが一般的。旅行会社などを通じて航空券を買ったりツアーだったりした時も、その旅行会社にあらかじめ相談すれば、注文することができるでしょう。

アシアナ航空のベジタリアンミール image by:シカマアキ

注意したいのは、特別機内食は出発当日のカウンターや機内で注文することができないこと。申込期限が出発72時間前までだったり、24時間前までだったりします。旅行会社を通じての手配だと、出発1週間前までなどさらに申込期限が早かったりします。

特別機内食の種類、宗教上の理由などのラインアップ

ANAのシーフードミールの中身。当然、肉がない image by:シカマアキ

続いて、特別機内食には、どのようなメニューがあるのか。主な大手航空会社(FSC)では、以下のような特別機内食が用意されています。

  • 子ども向け(離乳食、乳幼児、幼児など)
  • アレルギー対応食(7品目、28品目など)
  • 宗教対応(ヒンズー教、ジャイナ教、イスラム教、ユダヤ教)
  • 消化良い、低塩分、低糖質、低カロリー、低グルテン、低脂肪、低乳糖など
  • ベジタリアンミール
  • シーフードミール
  • フルーツミール

以上の特別機内食は、機内食の提供がある便の搭乗客であれば、基本すべて無料で選ぶことができます。例えば、それぞれの宗教の教徒に限定などのルールも、基本的にはありません。エコノミークラスだけでなく、ファーストクラスやビジネスクラスなど、すべての搭乗クラスで対応しています。

特別機内食、最大のメリットは食事ではない「●●●」

キャセイパシフィック航空の低カロリーミール image by:シカマアキ

特別機内食で最大のメリットは、一般の機内食配布より先に提供されることです。エコノミークラスの場合、機内食は前方座席から配布されることが多く、後方座席だとかなり待たされます。特別機内食を事前に申し込みしておけば、最前列の客よりも早く持ってきてくれます。


image by:photosounds/Shutterstock.com

機内食の後によくあるのは、機内のトイレが混雑すること。多くの人がトイレに並び、長く待たされることもあります。特別機内食だと誰よりも早く食事を始められ、終えることができるわけで、トイレ混雑を回避できるわけです。

また、搭乗前のラウンジで食事をたくさん食べた場合、機内ではフルーツだけでよいという人もいるでしょう。そういった場合にも、特別機内食を申し込むメリットがあります。旅行先で食べ過ぎそうであれば、機内はあっさりめの食事という選び方も、もちろんできます。


宗教上の理由がある機内食を申し込んで食べてみた結果

ユダヤ教徒向けミール。厳重に封がされていた image by:シカマアキ

筆者は、特別機内食をこれまで何度か食べてきました。良い経験もあれば、苦い経験も多々ありました。

最も気になったのは、宗教関連の機内食。とある旅行で1回4フライト分あり、ヒンズー教、イスラム教、ジャイナ教と申し込んできました。

ヒンズー教の場合、教徒にインド人が多いからか、インドカレー率が高い気がします。インドカレーは大好きなので、毎回美味しくいただいています。イスラム教の食事だと、宗教上の理由で豚肉がありません。ヒンズー教だと牛肉がないのと同様です。

ユダヤ教徒向けのミールの中身。味はいたって普通 image by:シカマアキ

一方、最も驚いたのは、ユダヤ教対応の食事。ユダヤ教の戒律や慣習に沿って祈祷され、封印された食事が運ばれてきます。

しかも事前に、機内で客室乗務員から「本当にユダヤ教の食事を申し込んだのか?」と、わざわざ聞かれました。どこから見ても日本人でユダヤ教徒には見えなかったからでしょう。

しかし、ユダヤ教の機内食はちゃんと席まで運ばれてきました。一般的な機内食と異なり、しっかり封がされていました。中身の味は普通でした。

機内食の定番、ハーゲンダッツのアイスクリーム image by:シカマアキ

また、現地の食事を食べすぎる機会が多く、帰りの機内などはあえてシーフードミールや低カロリーミールなどを事前に申し込むことも多いです。

ただ、特別機内食の場合、デザートの「ハーゲンダッツ」が付いていないことも。機内で提供されるハーゲンダッツはその濃厚な味から地上より美味しく感じ、エコノミークラスではささやかな楽しみという人もいるはず。

その場合、ダメもとで「もし余っていれば、ください」と、客室乗務員に申し出ましょう。よほどでない限り、もらえるはずです。

特別機内食とは別に「有料機内食」がある航空会社も

イスラム教徒向けミール。豚肉がない image by:シカマアキ

航空会社によっては、エコノミークラス向けに有料の機内食を販売することもあります。これらは、通常より少し豪華でこだわった料理という機内食で、特別機内食とは異なります。

例えば、インド便などは、搭乗客の半分以上が、ヒンズー教対応かベジタリアンミールです。そのため、ベジタリアンミールなどがカートに運ばれて提供され、普通の機内食を食べる人のほうが少ないので客室乗務員が座席まで個別に持参してきたこともあります。

厳格な宗教ルールがあるため、致し方ありません。イスラム圏のフライトなどは、普通の機内食がハラール認証ということも。

シンガポール航空のシーフードミールはレベル高かった image by:シカマアキ

宗教上、または健康上の理由などのために、特別機内食があります。しかし、いつもの旅行と少し違った機内体験をしたいなら、この無料の特別機内食はおすすめ。申込期限が早いことに、くれぐれも注意してください。

  • image by:シカマアキ
  • ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
いま読まれてます
TRiP EDiTOR編集部 :TRiP EDiTORは、「旅と人生をもっと楽しく編集できる」をコンセプトに、旅のプロが語りつくす新しい旅行メディアです。