旅が未来を変える?「サステナブルツーリズム」に力を入れている自治体ランキング

image by:「海外旅行・国内旅行のツアーやホテル予約アプリNEWT(ニュート)」による調査(via PR TIMES)

旅行の新しいトレンドとして注目を集める「サステナブルツーリズム」。単なる環境に優しい旅行を超え、訪れる人と迎える地域が互いに尊重し合い、持続可能な豊かさを生み出す新しい旅のスタイルが、今まさに日本各地で花開いています。

旅行アプリ『NEWT(ニュート)』を運営する株式会社令和トラベルが、9月25日の「SDGsの日」にあわせて発表した「サステナブルツーリズム先進自治体TOP30」。

全国1,741の自治体を対象とした本格的な調査により、再エネ活用や地域循環、文化継承、インクルーシブ観光、SDGs推進力といった多角的な視点から評価された結果をご紹介します。

次の旅行計画において、美しい景色を楽しむだけでなく、その土地の未来に貢献できる「参加型の旅」を体験してみませんか?

評価の基準は?5つの軸で測る持続可能性

今回のランキングは、以下の5つの評価軸(各100点満点)で構成されています。

  • 環境への配慮:再生可能エネルギーの活用や自然保護への取り組み
  • 地域経済への貢献:観光収益の地域還元システムや雇用創出
  • 文化・伝統の継承:地域固有の文化や伝統工芸の保存/継承活動
  • インクルーシブ観光:障がいの有無や世代を問わず楽しめる環境整備
  • 未来性・SDGs推進力:長期的なビジョンと戦略的な取り組み

これらの視点から、真に持続可能な観光地として機能している自治体を厳選しました。

第10位 徳島県三好市(87点)

環境17点/地域経済17点/文化伝統20点/インクルーシブ15点/未来性18点

image by:「海外旅行・国内旅行のツアーやホテル予約アプリNEWT(ニュート)」による調査(via PR TIMES

第10位にランクインしたのは、「徳島県三好市」でした。国の重要有形民俗文化財「祖谷のかずら橋」を観光資源として活用。そしてその維持・継承に観光を巧みに取り入れている点が評価されています。

年間約35万人が訪れるこの吊り橋は、3年ごとに昔ながらの手法で架け替えられ、観光客はその伝統的作業を間近で体験することができます。

橋を渡ることで得られる収益は保全活動に再投資され、地域循環型モデルを見事に構築。四国のほぼ中央に位置し、古くから交通の要衝として発展してきた三好市は、「大歩危・祖谷」エリアの雄大な自然と独自の文化、そして地域住民の暮らしが織りなす日本の原風景を大切に守り続けています。


こうした地域文化を守りながら観光を通じて持続可能性を実現する取り組みが評価され、三好市は2023年に「世界の持続可能な観光地TOP100選」にも選出されています。多くのインバウンド観光客が訪れるなか、伝統を守り育んできた地域住民の暮らしに敬意を払いながら観光を楽しめる好例です。

第9位 群馬県みなかみ町(88点)

環境20点/地域経済17点/文化伝統17点/インクルーシブ16点/未来性18点

image by:「海外旅行・国内旅行のツアーやホテル予約アプリNEWT(ニュート)」による調査(via PR TIMES

第9位にランクインした「群馬県みなかみ町」は、町の約9割もの範囲を森林が占めている自然で溢れている町。国内8例目のユネスコエコパークに登録された自然資源の宝庫として知られています。その豊かな環境を活かした体験型エコツーリズムが評価されています。

ラフティングやトレッキングといったアクティビティに加え、地元ガイドによる自然解説や里山文化の紹介など、単なるレジャーにとどまらず「学びとつながり」を重視した取り組みが印象的です。関東地方の最北に位置し、「利根川源流のまち」として首都圏約3,000万人の経済と暮らしを支える水源地という重要な役割も担っています。

さらに、マイカー規制区域への電気バス導入や「SDGs未来都市」選定など、観光と環境保全を両立させる戦略を積極的に推進。訪問者は雄大な自然を五感で体感し、その価値と自然を守る人々の思いに直接触れることができる貴重な体験を得られます。


第8位 栃木県那須塩原市(89点)

環境18点/地域経済18点/文化伝統17点/インクルーシブ18点/未来性18点

image by:「海外旅行・国内旅行のツアーやホテル予約アプリNEWT(ニュート)」による調査(via PR TIMES

栃木県の「那須塩原市」は、温泉や豊かな自然を活かした「ウェルネスツーリズム」を推進し、持続可能な観光地域づくりで第8位にランクイン。ヨガや瞑想、温泉、森林セラピーなど、心身の健康増進を目的とした多彩な体験プログラムが特色で、持続可能性とウェルビーイングの両立が高く評価されています。

東京から新幹線でわずか約70分という優れたアクセス性を活かし、塩原温泉郷や板室温泉といった歴史ある温泉地での癒しの体験を提供。さらに、全国第2位の生乳産出額を誇る酪農地帯として、高原の自然が育んだ新鮮な牛乳や乳製品、農産品を活かした食の魅力も豊富に楽しめます。

市は「観光マスタープラン」を策定し、事業者と連携したSDGs推進や戦略的観光政策を展開。この取り組みが評価され、国際認証団体「グリーン/デスティネーションズ」の「世界の持続可能な観光地TOP100選」に2年連続で選出されました。

第7位 香川県小豆島町/土庄町(90点)

環境17点/地域経済18点/文化伝統19点/インクルーシブ19点/未来性17点

image by:「海外旅行・国内旅行のツアーやホテル予約アプリNEWT(ニュート)」による調査(via PR TIMES

オリーブ栽培発祥の地「小豆島」は、美しい自然と温暖な気候に恵まれ、第7位にランクインしています。評価の中心となったのは、小豆島町と土庄町が連携して推進する「誰もが旅を楽しめる」インクルーシブ観光への取り組みです。

特に注目すべきは、車椅子利用者もそのまま海水浴を体験できる「ユニバーサルビーチ」の整備。障がいの有無や世代を問わず、すべての人が島の魅力を存分に楽しめる環境づくりが高く評価されました。

小豆島は「グリーン・デスティネーションズ」の国内初シルバーアワードを受賞し、「世界の持続可能な観光地TOP100選」にも複数年選出されています。観光を「消費される島」から「持続できる島」へ転換する明確なビジョンのもと、両町が一体となって取り組む姿勢が、島の未来を確実に支えています。

第6位 愛媛県大洲市(91点)

環境18点/地域経済19点/文化伝統20点/インクルーシブ16点/未来性18点

image by:「海外旅行・国内旅行のツアーやホテル予約アプリNEWT(ニュート)」による調査(via PR TIMES

第6位にランクインした「愛媛県大洲市」が全国から注目を集めているのは、歴史的資源を活かす「分散型ホテル」モデル。城下町の古民家や歴史的建造物を客室やレストラン、ショップとして再生し、街全体を一つのホテルとして活用する革新的な取り組みが話題となっています。

この画期的なモデルは、単なる宿泊提供にとどまりません。空き家解消や起業家誘致を促し、地域経済に新たな活力を生み出しています。DMO「キタ・マネジメント」が中心となって観光庁の支援と共に進められ、文化財の保護と収益性を見事に両立。

その結果、大洲市は「グリーン・デスティネーションズ」の「世界の持続可能な観光地TOP100選」に2年連続で選出され、持続可能な観光地経営の国際的好事例として知られることに。

宿泊客は、歴史ある建物の中で現代的な快適さを享受しながら、城下町の風情を存分に味わえる特別な体験を得られます。

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