以前TRiP EDiTORでは、オランダで起きている深刻なお家事情についてご紹介しました。
日本だけでなく海外でも価格高騰が進む社会問題が起きていますが、今回ご紹介したいのは、オーストラリアで起きているある事情。家賃の高騰に加え、住宅不足問題も深刻化しているのだそうです。
広大な土地を持つオーストラリアで何が起きているのか、メルマガ『出たっきり邦人【北米・オセアニア編】』のお話をご紹介します。
なぜ広大なオーストラリアで「住宅不足」が起きているのか?
オーストリアでも相変わらず物価が上昇し続けています。
先日、ニュースでオーストラリアの8大都市圏で、一週間当たりの家賃の中央値が702豪ドル(約7万円)と、初めて700豪ドルの大台を突破したと見ました。ちなみにこちらでは、通常家賃は週ごとの支払いとなります。これは、コロナ禍の5年前と比べて44%上昇したとのこと。
オーストラリアでは需要に対して供給できる住宅不足で、空室率の低さから、家賃が高騰しており、特にコロナ以降、大都市での住宅不足と家賃の高騰は大きな問題になっています。
8大都市の空室率は1.47%で、賃貸物件68戸当たり、1戸しか空きがない状態だそう。コロナ禍と比べると半分以下だそうです。
都市圏別ではオーストラリア東部のシドニーが1週間当たり807豪ドルとトップ。そして、西部のパースが729豪ドル、北東部のブリスベンで696豪ドルと続いています。
8大都市を除く地方の中央値も週591豪ドルで、空室率はさらに低く、1.4%と大都市圏より低く、家を借りる人にとっては大変な状況です。
SNSでは、家を探している人、家が見つからず、車で寝泊まりしている人などの投稿もよく見かけます。また、ワーキングホリデーで大都市で頑張っている人たちは、一部屋をシェアしなければ家賃が高すぎで生活できない人も多いようです。
そして不動産価格の高騰から、家の売買も盛んになり、すでに貸し出されている物件をオーナーが売却することも頻繁にあります。物件の売却後に、「物件を売ることになったので退去してほしい」と言われ、あわてて引っ越し先を探さなければならなくなったという話もよく聞きます。
そんな状況なので、大学の寮費も高騰。
先日、わが子の友人が滞在しているカレッジ(大学の学生寮)の来年の寮費が週850豪ドルに値上げするとの連絡があったと聞きました。
これは、3食、掃除付きで、冷房のついた個室だそうです。もちろんこれに大学の学費、交通費、雑費、そして必要な携帯電話の通信費など加えると、かなりの費用になります。
ちなみにわが子の別の友人は来年から大学の寮を出て、友達と2人で住むためのアパートを探していて、先日、大学まで歩いて20分、トイレ・シャワー付きの寝室2部屋のアパートが週600豪ドルだったそうです。
そこに、家具など必要なものをそろえ、食費、諸経費など考えると、改めて週850豪ドルで3食・掃除付きは、驚くほど高いわけではないのかと思えてきました。
オーストラリアは日本の約20倍の面積に対し、人口は約2600万人と少ないのに、国土の大半が居住に適さない乾燥した荒野となっています。
このため、貴重な水資源に恵まれ、インフラが整ったせまい都市部に人口が集中し、住宅の供給不足と価格高騰が慢性化。そこにコロナ禍のロックダウン解除で一気に移民が増えて需要が急拡大した一方、利上げやインフレの影響で住宅着工が冷え込み供給が絞られたことで、住宅難に拍車がかかっているといわれていました。
コロナ後、何年か経った今でも、資材調達遅れ、そして建設業の人手不足など、さまざまな要因もあるようです。
- image by:Shutterstock.com
- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。