日本を訪れる外国人旅行者の皆さんは、滞在中にどんな日本食を楽しんでいるかご存じでしょうか。寿司、ラーメン、天ぷらといった定番グルメに加え、今「日本式カレー」が訪日外国人の間で静かなブームとなっています。
約半数が旅行中に少なくとも1回はカレー店を訪れ、さらに驚くべきことに77.1%が「日本国外でも日本式カレーを食べる」と回答しているのです。
株式会社Paykeが自社アプリを通じて収集した900件のアンケートデータが明かす、訪日外国人のカレー体験の実態。日本の国民食がどのように海外の旅行者を魅了し、彼らの旅の思い出の一部となっているのか。そのリアルな姿を、データとともにご紹介します。
世界が認める独自ジャンルとしての「日本式カレー」
日本式カレーは、もはや単なる“インド料理の日本版”ではありません。本場インドのスパイスカレーが刺激的で鋭い辛さを特徴とするのに対し、日本のカレーはまろやかな甘みと家庭的な安心感を持つ、まったく別の料理として世界に受け入れられています。
この独自性こそが、日本式カレーの最大の魅力です。調査データが示す「77.1%が国外でも食べる」という数字は、日本式カレーがすでに“日本でしか味わえない特別な料理”という枠を超え、“海外でも親しまれる日本文化の一部”として多くの人々の日常に根付いていることを物語っています。
つまり、訪日旅行者にとって日本式カレーは、旅行前からすでに馴染みのある味であり、日本滞在中には「本場で味わう特別な体験」として位置づけられているのです。
旅行中のカレー体験。半数が「最低1回」は訪れる定番化
滞在中の利用実態
実際に日本を訪れた際、外国人旅行者はどの程度カレー店を利用しているのでしょうか。データによると、「滞在中に1回程度」が32.9%で最多、「2〜3回」の15.6%と合わせると、約半数が旅行中に少なくとも一度はカレーショップを訪れていることが分かりました。
一方で「ほとんど行かない」が29.4%、「全く行かない」が6.7%という回答も存在します。これは日本式カレーが誰もが必ず食べる料理というわけではないものの、幅広い旅行者の食体験の選択肢として確実に定着していることを示しています。
国籍による興味深い違い
国籍別に見ると、台湾・香港からの旅行者は「滞在中に1回程度」が3割を超え、気軽に楽しむスタイルが主流です。対照的に、アメリカからの旅行者は「2〜3回」が41.4%と比較的頻度が高く、日本式カレーを“身近で手軽に楽しめる日常の食事”として積極的に選ぶ傾向が見られます。
さらに注目すべきは訪日回数との関係です。6回以上の訪日経験者の47.2%が「滞在中に1回以上」カレー店を訪問しており、訪日経験が増えるほどカレーを食べる機会も増加する傾向が明確に現れています。リピーターほど日本式カレーの魅力を理解し、滞在中の定番体験として位置づけているのです。
ココ壱番屋が象徴する日本式カレーの浸透力
圧倒的な認知と来店率
カレー専門チェーンの中で、「ココ壱番屋」の存在感は圧倒的です。来店経験率47.8%という数字は、訪日外国人のほぼ半数がココ壱番屋を訪れていることを意味します。
続く2つのチェーン店と比べて突出した数字を掴んだ背景には、海外展開による事前認知と、日本国内での圧倒的な店舗数という二つの要因があります。
そのほかの専門チェーンでは、チャンピオンカレー(来店経験率6.0%)、日乃屋カレー(来店経験率5.8%)などが続きますが、ココ壱番屋との差は歴然としています。
牛丼チェーンのカレーも人気を集める
興味深いのは、「すき家」や「吉野家」といった牛丼チェーンも“カレーが食べられる店”として支持されている点です。
これらは本来カレー専門店ではありませんが、手軽に日本式カレーを楽しめる場所として、訪日外国人の選択肢に入っているのです。この現象は、日本の外食文化における“カレーの日常性”を如実に表しています。
「偶然の出会い」と「計画的な訪問」の2つの来店パターン
ブランド認知がもたらす信頼感
ココ壱番屋への来店動機を分析すると、「以前から知っていて、日本で本場の味を試したかった」が30%で最多となりました。次いで「カレーを食べたくなったから」(23%)、「街を歩いていて、偶然見かけて美味しそうだった」(19%)が続きます。
この結果は、ブランドを知っていることが信頼感につながり、来店行動を後押ししていることを示しています。海外展開により、旅行前からすでに味や雰囲気に馴染みのある層が多いことも、訪日中の来店を促す大きな要因となっているのです。
衝動的な来店が7割
一方、来店を決めたタイミングについては、「お店を見て、その場で決めた(衝動的)」が71%で最多となりました。これは計画的というよりも、街歩きの中で見かけて入るという行動が一般的であることを意味します。
つまり日本式カレーは、「旅行前から必ず食べようと決めている料理」というよりも、「現地で見かけたら自然と足が向く、身近な選択肢」として旅行者の行動に組み込まれているのです。
全国に広がるカレー文化。地域密着店の魅力
専門店からチェーン店、定食屋まで
調査の自由回答では、全国各地の個性的なカレー店が多数挙がりました。北海道発のスープカレー系(「SOUP CURRY GARAKU」「Suage」「マジックスパイス」)、関西ローカル(「欧風ライスカレーケンズ」「得正カレー」)、全国チェーン(「カレーショップC&C」「上等カレー」)など、その多様性は驚くべきものです。
さらに家庭用ルウブランドとして「ハウス食品」や「S&B」「ゴールデンカレー」といった名前も挙がっており、訪日外国人が日本のカレー文化を多面的に体験していることが分かります。
「どこでも美味しい」という信頼
多くの旅行者が口にする「日本ではどこでも美味しいカレーが食べられる」という感想は、日本の外食文化の質の高さを象徴しています。専門店だけでなく、定食屋や喫茶店でも提供されるカレーが一定以上のクオリティを保っていることが、この信頼感を生み出しているのです。
「日本に来たら、カレーを食べよう」と自然な選択肢が、多くの旅行者の心の中に根付いていることは、単なる食文化の普及を超えた、深い文化交流の証です。
特別な料理としてではなく、日常に溶け込んだ日本文化の一部として受け入れられた日本式カレーは、計画的な訪問と偶然の出会いの両方を通じて、旅行者に忘れられない体験を提供し続けているのです。
日本を訪れる皆さん、次回の旅では街角でふと目にしたカレー店に、気軽に足を踏み入れてみては?そこで体験できるのは、観光ガイドには載っていない、日本人の日常に触れる貴重な機会です。
まろやかで優しい日本式カレーの味わいとともに、この国の食文化の豊かさを実感する、心に残る旅の思い出となることでしょう。
- source:PR TIMES
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