消滅の危機に直面した｢沖縄そば｣が、ご当地グルメに返り咲けたワケ

沖縄そばは「そば」と名乗るべからず

ところで、一度だけ沖縄そばに危機が訪れたことがありました。

それは本土復帰後の昭和51年、公正取引委員会から沖縄そばを「そば」と名乗ることに対して、クレームがはいります。

前述したように沖縄そばの原材料は100%小麦粉ですが、公正取引委員会からそば粉を30%以上使用していない沖縄そばは、「そば」と呼ぶことはできないというものでした。

この大ピンチに、当事発足した沖縄県生麺協同組合が、沖縄県内の公正取引室、東京の全国生麺協同組合連合会や東京本庁等に、何度も足を運び頑張ります。

そして打開策を見つけるべく交渉を重ねた結果、昭和53年の10月17日にようやく「本場沖縄そば」として「そば」という呼称の使用が認可されました。それを記念して現在、毎年10月17日は「沖縄そばの日」とされています。

ちなみにオーソドックスな沖縄そばの具材の例ですが、以下のものが定番です。

• 三枚肉…砂糖醤油でじっくり煮込んだ豚のバラ肉
• ソーキ…甘辛く煮付けた豚の骨付きあばら肉。軟骨を含んだ「軟骨ソーキ」と、硬い骨の付いた「本ソーキ」があります
• テビチ…煮込んだ豚足。コラーゲンが豊富
• かまぼこ…油で揚げたものが多く、種類は豊富です。
• 紅しょうが…スープの味を引き締めます。乗せ放題の店がほとんど
• ねぎ…薬味として必要不可欠ですね
• ゆし豆腐…やわらかいおぼろ状の豆腐です
• フーチバー（ヨモギ）…独特の香りです（ただし、好き嫌いははっきり分かれますね）

僕が推す、一番美味しい沖縄そば屋

最後に、僕が沖縄で今のところ一番おいしいと思っているお店をご紹介します。

沖縄では、そばに関してはぜったい譲れないという方々がたくさんいるので、賛否両論覚悟の上でのご紹介となります。

僕の中でも、沖縄本島南部ならここ、北部ならここ、あっさり系ならここ、コッテリ系ならここ、というように地域や気分によって使い分けているおすすめのお店はたくさんあります。しかし今回は、あえてひとつだけお教えします。

僕のナンバーワン沖縄そば屋は、本部町にある「山原そば」。麺は、平麺で少し細いです。豚ベースの鰹しょうゆ味のスープは、ありがたみを感じるほどやさしくてほっとする味。

特に僕が好きなメニューは、「三枚肉そば」なのですが、三枚肉と麺とスープのバランスが絶妙です。とにかく絶品。言葉で語れば語るほど、すべてをお伝えできないもどかしさを感じるくらいの一品です。

それから、田舎のおばあの家のような造りの木造の店舗もさらに味に深みを与えることまちがいなし。ぜひ一度沖縄に来られた際はご賞味ください。言い忘れましたが「山原そば」は売り切れると、店を閉めますので（だいたい14時頃には売り切れてます）、なるべく早めに行ったほうがいいですよ。