地域の歴史や魅力を発信する方法はたくさんありますが、そこには地域の人の協力が欠かせません。なかなか人が動いてくれない時、「子どもへ地域の知を教える」ことで人が積極的に集うきっかけになることもあります。その良い例として、岐阜県恵那市の活動を「マチノコト」からご紹介。
共通項は「子どもの教育」ーー岐阜・岩村から各地へ
学びを発信する「農村クリエイティブラボ」
子どもたちが地域で生まれ、育つなかで、自然や歴史に触れながら学び、成長する。
年齢を重ねて大人になり、異なる地域へ旅立った後、その人なりの知識や経験を身につけて地域へ戻り、同じように生まれ育つ子どもたちに得たものを還元していく。
地域と地域、世代と世代が混ざり合う循環が、自然に行われていけば、地域の暮らしは穏やかに持続していくのではないでしょうか。
岐阜県岩村では「教育」を共通項に、地域内外から人が集い、その土地ならではの学びを得ることが出来る取り組みが始まりました。
教育に深い所縁を持つ岐阜・岩村
岐阜県東濃地方の恵那市に位置する岩村は、もともとは、岩村「町」でしたが、2004年に近隣の1市4町1村で合併し、恵那市の一部となりました。
坂本龍馬の師匠である佐久間象山が門下生として仕えた佐藤一斎、実践女子学園の創始者である下田歌子など、日本の教育に大きな影響を与えた人々を生んだ地域です。
城下町としての歴史も持つ岩村は、現在も古い町並みや文化財が残り、日本一の農村景観と呼ばれています。
その岩村では、農村のライフスタイルから、食やエネルギー、建築、アートを学ぶ取り組み「農村クリエイティブラボ」がスタートしています。
岩村が持つライフスタイルを学びで発信「農村クリエイティブラボ」
「農村クリエイティブラボ」を中心になって推し進めるのは、NPO法人「農村景観日本一を守る会」。
所属するメンバーのなかには、日本各地に足を運んで仕事を行うメンバーも多く、岩村の魅力を外部で発信してきました。
彼らは、古民家のリノベーションや、茅葺職人とのワークショップなどを行うなかで、名古屋や東京といった岐阜内外から参加者を集め、岩村で学びを広げる取り組みを行ってきました。
学びの機会を重ね、県外の参加者の反応を見るうちに、岩村が持つ建築や食、ライフスタイルをまとめて発信する「農村クリエイティブラボ」が構想されたそうです。