地域おこし協力隊の私が、まちの人を主役にするために大切にする事


補助金申請から視察研修まで、商店街の活性化をサポート

ーーまずは直近のイベントとしての「飲食店解放区」について伺いましたが、普段はどのような活動をされているのですか?

斉藤さん:「担当しているのが佐和田という地区の商店街の活性化なので、そこでの活動がメインになります。

商店街の新規事業に向けて、公共機関の補助金認定を受けるための申請書を商店街で作成しているのですが、より具体的な事業計画が必要になってくるので、その話し合いを商店街の方々と進めています。

新潟県内の先進商店街(十日町・高田市)への視察研修も行いました。商店街の収益事業やイベント事業について、視察先の商店街店主と佐渡の商店街店主が直接話をする姿がとても印象に残っています。自分たちと同じような立場、年齢の人がここまで頑張っている姿に感銘を受けたようで、より『商店街の活性化』が、身近に自分ごと化するきっかけにもなったようです。

また、商店街全体で収入を得られるように、空き店舗を活かした商店街全体で企画運営する店舗を作ろうとしています。これまではアイデアを持ち合って話し合うという場が少なかったので、そういう場をちょっとずつ増やしていこうという話もしていますね。

商店街の活動について、近隣の方へのアンケートを行い、その集計結果をチラシ化して、商店街の大きなイベント当日に来場者へ手渡しで配布したりといった、地道な活動も行っています」。

「相談してもらえる」存在になれるかどうか

ーーそうした活動を続ける中で、佐渡に来るまでに予想していた点、予想外だった点があれば教えて頂けますか?

斉藤さん:「『地域おこし協力隊』の存在について理解している方は、島内でもまだまだ少ないです。私がどんな活動をしているかはもちろん、何をお願い・相談出来るのかが分からない、ということは多かったです。

そういう中で『こんな企画が出来ます』『広報が出来ます』『様々な制作物を作れます』と実際に見せていくことで『なるほどね、こういうことが出来るんだ』『こういうことが相談出来るんだ』と徐々に相談してもらえるようになったかなという実感はあります」。

ーー「相談してもらえる」存在になれるかどうか、ということですね。

斉藤さん:「協力隊の活動として大事なことは、その地域の小さな課題を真摯に受け止めて、地域の人と一緒に考えて、『こういうことが出来た。またこんなことやりたい』とか『もっとこうしていきたい』と心が変わっていくことの手助けだと思っています。

ただ、活動を近くで見ていた方たちは、小さな変化や、地道な活動過程を見てくださっているのでそうは思わないけれど、どうしても任期内での分かりやすい成果・結果だけの判断で見られてしまう…そんな事も多くあるそうです。

地域活性は、進むスピードも時間も、結構かかるものである一方、任期という期限の中での成果も問われる。その点のバランスをどう捉えていくか、これから試行錯誤していかなければいけないです。

まずは、佐渡を盛り上げたいという方がいたら是非協力隊に『声をかけて』ほしいと思っています。もちろん、協力隊のメンバーはその地域に強い関心を持って来ているので、その熱量だけで何か企画をすることも出来るけれど、地域の人が『自分たちには関係ない』と思ってしまっては続かないものになってしまいます。

あくまで、その地域の人が主役になる企画をしていきたいですし、今は小さなことからでも課題や期待に応えていく積み重ねをしていきたいですね」。

「飲食店解放区」でも商店街の活動でも、あくまで主役は地域の方々、自らはサポート役として、その地域が活性化するきっかけ・仕組みづくりをしていくという一貫したスタンスで活動している斉藤さん。

今回の取材で特に印象に残っているのは「地道に活動して、信頼・相談してもらえる存在になりたい」ということ。地域活性化は、どうしても大きな成果に目がいきがちになりますが、まずは地域の方々との信頼関係と、地域の方々が自ら動いていけるようなきっかけづくりこそが大事なのだろうと感じました。

斉藤さんの「地域おこし協力隊」としての活動はこちらのブログからもどうぞ。


IchikiTakato

市來 孝人/Web編集者・ライター・DJ。「ラジオを通して街を盛り上げる」取り組みをしたいと考え、かねてから興味のあった街・福岡で「福岡移住計画ラジオ」(天神のラジオ局「COMI×TEN」にて)を企画、DJとして出演(〜2015年9月)。その後は各Webメディアに舞台を移し、福岡に関わる「人」を取材。 福岡でのラジオや取材などをきっかけに、”街”に密着した取り組みへの関心を強める。 @takato_ichiki

  • 記事提供:マチノコト
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