桜田ひより、最新作での“ご縁”に感謝「今の自分があるのは『silent』風間監督のおかげ」

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2024/05/01

2022年に大ヒットしたドラマ「silent」で目黒蓮さん演じる想の妹役として知っている人も少なくないかもしれない。

実は6歳の時からキャリアを重ね、多数のドラマや映画の話題作に出演してきた桜田ひより。最近のキャリアだけを見ても、社会現象を巻き起こした「silent」以外にも、ロングランヒット中の「家政婦のミタゾノ」シリーズのヒロイン、スマッシュヒットした映画『交換ウソ日記』のヒロインなど、その活躍と実力はお墨付き。売れっ子の登竜門であるCM『JR SKISKI』2023-2024年シーズンの顔としても抜擢され、今、最も熱い注目を集めている若手俳優の一人です。

image by:松浦文生

「silent」監督の風間太樹×JO1・川西拓実×桜田ひより

そんな桜田ひよりの最新作は、「silent」の風間太樹監督のもと、人気ボーイズグループJO1の川西拓実とW主演を飾る青春音楽映画『バジーノイズ』。明るくて大胆、ストレートな言動の芯に、「何者にもなれない、居場所が見つからない」不安を抱えている役を、繊細かつ多面的に表現している。二度目のタッグとなる風間監督の演出方法、難役といえるこの役をどうやってものにしたのか、さっそく撮影秘話を聞いてきました。

(C)むつき潤・小学館/「バジーノイズ」製作委員会

──今作の脚本や原作を読んで、どんなところに魅力を感じましたか?

第一印象から素敵な作品になりそうだと思ったのと、漫画では描ききれない音楽が実写でどう描かれるんだろうってワクワクしました。川西さんが清澄を演じることを聞いていたので、どういう清澄になるのかも考えましたし。あと自分の役が関西弁ということもあって、ワクワクすることがとても多かったです。

──今回演じるヒロイン、潮についての印象は?

潮ちゃんは、とても真っ直ぐな女の子だと思います。人との距離感が分からなくなるぐらいオープンで、他の人がしなそうなことをする大胆さもあります。

──登場シーンからインパクト大でした(笑)。

ですよね(笑)。それでいて、普段、人といる時はめちゃくちゃ明るいんですけど、一人になった時に心に穴が開いている感覚というか、何かが埋めきれない思いを抱えています。男らしくもあり、無邪気な少女でもあり、繊細な女性でもあるんですよね。


(C)むつき潤・小学館/「バジーノイズ」製作委員会

──多面性があるヒロインだと感じたのですが、監督と話し合って作っていった部分はあるんですか?それとも自由に?

前回「silent」のときは、役を通して、作品のお話をさせていただくことが多かったんですけど、今回は私自身の話も聞きたいということで、桜田ひよりとして話させてもらいました。

──自分の話を?

そう。実際にこんなことに直面したらどう対処するかとか、いろいろパーソナルなお話をさせてもらいました。役ではなく、自分の話を人にすることはめったになかったんですけど、実は私はこう思っていたんだなとか、この物事に関しては客観的に見られてるなとかたくさん新たな発見がありました。

image by:松浦文生

──それで潮に近づいていく感覚はありましたか?

ありました。すべてがそうというわけではないんですけど、潮ちゃんは自分に近いものを感じるというか、清澄を好きすぎて辛くなる感じ、のめり込みすぎて戻れなくなってしまう前に離れるという部分に共感できました。私のパーソナルな部分も表現の中に反映されていると思います。

──潮の気持ちに共感する女性は多いと思います。

そうですよね。不器用すぎて繊細で、本当に苦しくなります。中盤、潮ちゃんがいなくなった後、清澄がどう過ごしているのか。私はそのシーンを見ていたわけではないので、原作や脚本を読んで文字だけで想像していたんです。潮ちゃんがいなくても、清澄の時間はどんどん進んでいくんだろうなとか、見えない部分でも潮ちゃんにすごく寄り添っていた時間でしたね。

──ずっと役に寄り添ったんですね。

映画が完成してから、みんなで初号試写を見たんですけど、辛かったときの記憶が蘇り、思い切り潮ちゃんに感情移入してしまって。自分の映画を客観的に見ることができたのは本当に初めてと言ってもいいです。自分が演じたことは忘れて、スクリーンの中で彼女を探している自分がいました。それはとても不思議な感覚でした。

(C)むつき潤・小学館/「バジーノイズ」製作委員会

「風間さんと「silent」で出会わなかったら、今頃すごい迷走してた」

──話題になったドラマ「silent」でも風間監督とご一緒されていますが、不思議な縁を感じます。桜田さんから見てどんな監督ですか?

私にとって、俳優人生としての軸、演技の軸を作ってくれた監督で本当に感謝しています。こういう風に演技したいとか、自分の演技スタイルや考えとか表現の仕方を確立できたのが、「silent」だったので、それは本当に風間さんのおかげだと思っています。風間さんと「silent」で出会わなかったら、今頃すごい迷走してたんだろうなって思うので。私の人生において、ご縁というか、ものすごく大切な出会いだったなって思います。

──風間監督ならではの演出というと?

風間さんは、話すときは絶対に私と1対1で話してくださるんです。それがすごく自分的に楽というか、みんなの前でここはこうだからこうって説明されるよりも、向き合ってくださっているなっていう感覚があります。それを1人1人に行われていて、それに伝え方は相手によって変えていると思います。また、台詞がないときの表情まで全部追ってくださっているので、自分のことを一秒たりと目を離さずに見てくれている感覚があって、没頭できます。

image by:松浦文生

──W主演の川西さんとの共演はいかがでしたか?

川西さんは、初主演の緊張ゆえか、かなり人見知りされてました(笑)。撮影に入った当初、体も緊張で強張っている感じがしました。ナチュラルで柔軟性のある作品だと思うので、そういう緊張を一刻も早くとって、少しでもリラックスして現場に挑んでくれたらいいなって思いました。なので、監督に相談したりして、物事に対してせーのでどっち派か意見を言う「ドキドキクイズ」を考案しました(笑)

──それはナイスなアイデア(笑)。

監督に相談したのが、朝の3時(笑)。早朝の海のシーンの前、川西さんが来る前に監督と話して、「私がコミュニケーションとれるように頑張ります!」って宣言しました。その後、コミュニケーションをとっていくと、川西さんの雰囲気が少しずつ柔らかくなっていって、撮影がほぼ順番に撮っていく順撮りだったので、清澄が潮ちゃんにちょっとずつ心を開き始めている段階とリンクしていて良かったです。

(C)むつき潤・小学館/「バジーノイズ」製作委員会

──普段も自分からコミュニケーションをとるタイプ?

いや、まったくないです(笑)。私も基本受け身なので、自分から話しかけることもなく、話しかけられ待ちをしている人です。こんなに頑張ったのは、久々かも。作品のことを第一に考えて、柔らかくて自然な空気感がいいなと思って、頑張りました。潮ちゃんが距離感の近い子だったので、私の気分的にもかなり上がっていて、挑戦しやすかったんだと思います。

プライベートも潮みたいにアクティブにお出かけ!?

──潮はアクティブに清澄を外に連れ出しますが、桜田さん自身、外に出ていろいろ自分の世界広げたいと思うタイプ?それともインドアタイプ?

広げないタイプですね。休みの日の過ごし方は、基本決まっています。外に出てみたいなっていう気持ちはあるんですけど、まあ、次でいいかって。いつも同じ感じで過ごしちゃうんです(笑)

──(笑)。休日は、どんなことされてますか?

休みの日は、一日美容で使うことが多いです。行くところは全部決めてるので、何時から何時まで美容院、何時から何時までマッサージって一日に詰めて行動するので、結構忙しい(笑)。でも、丸一日家でゆっくりすることも、もちろんあります。

image by:松浦文生

──旅行はしますか?

去年、プライベートで京都に初めて行って、観光しました。すごく楽しかったので、また行ってみたいです。あと、沖縄や北海道とか、今年はいろんなところに行きたいなって気持ちはあります。行けるかどうか置いといて(笑)

──京都では何を?

神社巡りとおいしいご飯巡りをしました。

──女子旅ですか?

そうです!おいしいご飯を食べて、大満足でした。ほんと、今年も旅行でできたらいいなあと思います。

──計画をするのは好きなタイプ?

計画するまで、時間はかかりますね。でも、一個やりたいことを決めて、それだけクリアできれば、あとはなんでもいいやって感じです。ここだけ行けたら、みなさんについて行きますよ、って。だから意外と自由が利くかもしれないですね。詰め込むっていうより、一つやりたいこと決めて、その周辺で完結させます。時間に追われたくないと思うので。

──近場で遊ぶとしたら?

都内なら、美術館とかいいですね。ちょうど今度行こうと思ってたんですよ。連れ出してくれる子が周りにいて、その子がやりたいことについて行くと世界が広がるので、近場でもどんどん外に出ていきたいです。

──最後にこの作品を楽しみにしている人にメッセージを。

登場人物それぞれが不器用ですが、人とのつながりをすごく繊細に描いた作品です。一つの物事において、一人でやる選択肢もあるし、誰かと一緒にやる選択肢もあるし、誰かを誘う選択肢もあるし、そういういろんな道が正解か正解じゃないかは、終わってからじゃないとわからないというか、どっちに転がっても正解なんだよって。自分が選んだ道が、正しいルートになるので、何か抱えた人たちの背中を押せるような、作品になっていると思います。そして、音楽もすごく丁寧に描かれているので、ぜひ劇場で見ていただきたいです。

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インタビュー・文/杉嶋未来
撮影/松浦文生

桜田ひより(HIYORI SAKURADA)

2002年12月19日生まれ、千葉県出身。子役からキャリアを重ね、「明日、ママがいない」(14/NTV)で演技力の高さが話題となり、注目を集める。2018年に「Seventeen」の専属モデルオーディションで、ミスセブンティーンに選ばれ、2023年3月に卒業するまでモデルとしても活躍。ドラマでは話題作「silent」(CX)に出演。2023年は「沼る。港区女子高生」(NTV)、「あたりのキッチン」(THK・CX)で主演を務め、「家政夫のミタゾノ」(EX)ではヒロインを務める。主な出演作に「ワイルド・ヒーローズ」(15/NTV)、『祈りの幕が下りる時』(18)、『男はつらいよお帰り 寅さん』(19)、映画『おそ松さん』(22)など。アニメ映画『雄獅少年/ライオン少年』(23)で声優として出演、『交換ウソ日記』(23)ではヒロインを務めた。第47回日本アカデミー賞「新人俳優賞」受賞。待機作は、8月9日公開予定の映画『ブルーピリオド』。

 

information
バジーノイズ

5月3日(金・祝)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー

原作:むつき潤「バジーノイズ」(小学館「ビッグスピリッツコミックス」刊)
監督:風間太樹「silent」「チェリまほ」
music concept design: Yaffle
主題歌:「surge」 清澄 by Takumi Kawanishi(JO1) ©︎LAPONE Entertainment
出演:川西拓実(JO1)、桜田ひより、井之脇海、栁俊太郎 円井わん 奥野瑛太 天野はな 駒井 蓮 櫻井海音 馬場園梓 / 佐津川愛美 テイ龍進
製作:映画『バジーノイズ』製作委員会
制作プロダクション:AOI Pro.
製作幹事・配給:ギャガ
(C)むつき潤・小学館/「バジーノイズ」製作委員会

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映画、ドラマ、舞台のインタビューをメインに、年間150人以上の俳優を取材するライター。「InRed」「ココハナ」の連載のほか、ファッション誌「SPUR」や「SPRiNG」「GLOW」、劇場用パンフレットなど多くの媒体で主に俳優インタビュー、レビュー記事を執筆。著書に『ぜんぶ! 海外ドラマ』がある。プライベートでは、キャンプ熱が再来し、アウトドアグッズを物色するのが楽しみの一つ。

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