2011年3月11日。経験したこと無い揺れが、私たちを襲いました。東日本大震災。その震災が引き起こした大津波は、全てを根こそぎ海へと引きずり込んだのです。
東北の海岸沿いにあった「海岸林」もその被害を受けた一つでした。特に宮城県は被害が大きく、多くの海岸林が根こそぎ倒されるなどの壊滅的打撃を受けたのです。
海からの潮風や砂を防ぎ、人々の生活を400年に渡って守ってきた緑の堤防。そんな失われた海岸林を取り戻そうと、人々は立ち上がります。
海岸林を取り戻せ!10ヵ年計画
宮城県名取市は県の中央南部に位置する、人口約7万人の都市。ここで「海岸林再生プロジェクト10ヵ年計画」はスタートしました。公益財団法人オイスカは名取市と提携し、震災直後からこの計画を行ってきました。
このプロジェクトの目標は3つ。
- 2020年までに、約50万本の育苗・植栽を行う
- 100haの育林を2033年まで行う
- 2033年までに育苗・植栽・育林の過程で11,000人の雇用を生み出す
プロジェクトを進めるにあたり、新たな海岸林として選ばれたのはクロマツ。クロマツは潮風や飛んでくる砂を防ぐ葉を持ち、また、暴風や津波に耐えうる根の深さを持つことから、古来より海岸林に適した樹木だとされてきました。
約5kmの海岸沿い、海岸から内陸に向かって約200m、約100haの土地に約50万本のクロマツを植えていく計画は、海岸林を復活させ、かつ地域の復興も目指しています。
このプロジェクトは海岸林の再生に加えて、被災された方々の生活支援のための雇用を生むという意味合いも持っています。その理念に基づき2012年に発足された「名取市海岸林再生の会」、メンバーはそれぞれ小松菜やチンゲン菜など、別々の作物を作っていた農家でしたが、この度海岸林再生プロジェクトのため集結。同じ小学校・中学校出身で、気心知れたメンバー同士なんだそうです。この30人のメンバーで、クロマツの苗を育て始めました。
そんな「名取市海岸林再生の会」が手塩にかけて育てた苗は、2014年より植樹開始。発足から約2年間、大事に育てた実際に植樹がようやく名取の地に根付くスタートに立ちました。クロマツのために整備された土壌に、一本一本気持ちを込めて植樹します。
2015年現在、広さ26haの植栽地に約13万本のクロマツが植えられました。今後2020年に向けて毎年約8ha〜10haずつ植えていき、50万本を植え終える予定だそうです。
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