2016年1月26日、ある一冊の本が出版されました。タイトルは「赤崎水曜日郵便局」。なんともユニークなネーミングですが、実はこれ、実在する郵便局のお話なんです。
局名に曜日が入っているちょっと変わった名前の郵便局は、誰かと誰かの「水曜日」を繋げる、不思議な郵便局です。
誰かと誰かの水曜日を繋ぐ「赤崎水曜日郵便局」
赤崎水曜日郵便局には、全国から水曜日の出来事が書かれた手紙が集まります。宛先は「熊本県葦北郡津奈木町福浜165番地その先」。
その住所の先にいるのは、同じように水曜日の出来事を送った、見知らぬ誰かです。そしてまた、見知らぬ誰かから返信を受けることになります。ちょっとしたドキドキと、ほんの少しの切なさを含んだ、一期一会の片道書簡なのです。
2013年6月、熊本県津奈木(つなぎ)町の「海の上の小学校」に注目が集まります。かつては水俣病の被害地にもなっていたこのまちは、かねてより芸術によって地域の再生に取り組んでいました。
そんな津奈木町の海上に浮かぶ旧赤崎小学校を活用しようと始まったアートプロジェクトが「赤崎水曜日郵便局」です。
この地を舞台に、これまでに約5000通の手紙のやり取りが行われました。書き手は小学生から会社員、主婦、お年寄りなど、老若男女様々。
そんな彼等が書く内容は、その日にあった何気ない出来事や、仕事、子育て、恋愛相談など、ごく日常的な出来事です。別の誰かに聞いてもらいたい、誰かに届けたい出来事をしたため、この赤崎水曜日郵便局へと送ります。
書籍『赤崎水曜日郵便局』には約200通もの手紙が載っています。1つの手紙で手書きと活字、2パターン読むことが出来ます。手書きの文字は十人十色それぞれの味があって、手紙の向こうにいる誰かを彷彿とさせます。
内容も、心躍るものもあれば、ハッと気付かされたり共感したり、思わず涙が出そうになったり…。1つ1つじっくり読みたくなる手紙ばかり。そして、この手紙を書いた人は今どうしているだろう、と思いを馳せてしまいます。
一気に読むのもいいけど、毎週水曜日に一通ずつ読んで、誰かの水曜日を思い浮かべてみるものいいかもしれませんね。
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