「林業」にどんなイメージを持っていますか? 都心から遠くはなれた山村で年配の方たちがハードな作業をしている姿を想像する方が多いかもしれません。
かつては花形産業だった林業も木材需要の減少や外国からの輸入材の増加に伴い、国産材が売れなくなっているのが現状。さらに林業従事者も減少し、荒れた森林が日本中で増え、本来資源であるはずの木々が使われないまま放置されています。
そんな現状を打破すべく、立ち上がったのが、新しい林業に取り組む団体「東京・森と市庭」です。
日常に本物の自然を!
かつて「東京」は、「東京の森」の木材を消費する市場でした。もう一度、その姿を取り戻すべく「東京・森と市庭」と社名に掲げ、奥多摩で活動をスタートしました。
奥多摩といえば、都心からのアクセスがよく、さまざまなアウトドアアクティビティが楽しめるスポットとして知られていますが、面積の94%は森林と、林業には適した場所だったんです。
「東京・森と市庭」の活動としては都市空間の中で「東京の木」を使ってもらうために奥多摩の木々の生産、加工や販売。
さらに実際にノコギリを持ってヒノキの森に入り、一本の木を選んで間伐体験をしてみるといった奥多摩でしかできないようなワークショップや学校コミュニケーション事業などに取り組んでいます。
日常生活の中で、木々そのものに触れる機会はなかなかないので、これは貴重な機会。
実際に参加した方は「子どもにもかつて自分が体験したように、本物の木に触れさせたい」と、東京のヒノキで作られた無垢の置床タイルを都心のマンションのキッズスペースに敷くようになったり、オフィスの中に東京の木を使うようになった人もいたそうです。
このように奥多摩で体験した「東京の森」の木材を日常生活空間の中に取り入れることで、都心でも「本物の自然」を感じることができます。
Page: 1 2