「地下神殿」と聞くと、ゲームのRPGや異国の荘厳な空間を思い浮かべ、大人も子どもに戻ってドキドキワクワクしてしまうものです。一時期SNSなどで話題になった国内の地下神殿といえば、埼玉県の「首都圏外郭放水路」がありますが、実は栃木県にもそれに勝るとも劣らない、素晴らしい地下神殿があるとのこと。
今回はその不思議な魅力があふれる、栃木の地下神殿「大谷資料館」を、埼玉出身のツーリングライター・梅原 慎治さんが探索しに行ってきました。
自然と人口が融合した地下神殿「大谷資料館」
巨大地下神殿というと、悠久の時が作りだした自然の産物である鍾乳洞や、現代技術の粋を集めて掘削された放水路やトンネルなどの人工物をイメージするのではないでしょうか。
今回訪れた栃木県の「大谷資料館」の地下空間は、その両方が融合したような場所です。人工的に作り出された空間でありながら、切り出されたままの自然の壁面や天井面を残す空間になっています。
同県内の足尾銅山などの鉱山も、そういった空間の1つだと思うのですが、石の切り出しを目的としていたこの空間は、あくまで石の切り出しによって得られた副産物としての遺構であり、破砕して得られた砕石の選別により目的物を得る鉱山の坑道とは違った雰囲気を持っています。
鉱山の坑道と違い、同施設の壁や天井が建築物のそれのような垂直や水平を保っているのです。まるで整備された地下空間のようですが、壁面や天井面は、削り出された岩盤そのものという不思議な空間となっています。
さて、採石場というと、いわゆる露天掘り(専門的には平場掘りという)のように、広大な土地を下に掘り進んで行くといったイメージがありますが、同施設の採石場跡地は、いわゆる洞窟型になっています。