まるで地下神殿。栃木「大谷資料館」でRPGの世界感にどっぷり浸る
高い天井面も大谷石の層で覆われていることからすると、上から掘った方が効率的に石を得ることができると思えるのに、わざわざ洞窟のようにして掘っていたのは不思議ですよね。
実は大谷石も採掘当初は、露天掘りのようにして掘っていた場所がほとんどだったそうです。しかしこの方法だと、1つの採掘面をすべて掘らないと次の採掘面が現れません。
石の層はすべてが商品になる層ではなく、綺麗な層と汚い層(ミソ)が分かれており、露天掘りでは汚い層に当たった際、その層をすべて掘り出さなければ、商品になる層の採掘に取り掛かることができないのだそうです。
そんななかで取り入れられたのが、いわゆる坑内掘り(専門的には垣根掘り)という、洞窟のようにして石を切り出して行く採掘形態だったそうです。
この採掘形態を利用した場合、1カ所を露天掘りで掘り進んだ後、綺麗な石の層に当たったところで、その層に沿って掘り進む事ができ、効率の良い採掘作業が可能になるのだそうです。不思議な空間にも、ちゃんとした理由があったのですね。
大谷資料館の地下空間はライトアップの妙もあり、巨大地下神殿と言っても過言ではないような、不思議な雰囲気を醸し出しています。このため、さまざまな映画やドラマ、イベントなどの舞台や会場として利用されています。
建築資材の遺構でありながら、時代の流れに置き去りにされず、時代のニーズに合わせた利用価値が見出された空間となっているのですね。
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