「五重塔」といえば、有名な東寺や法隆寺の五重塔がすぐ浮かぶためどうしても京都や奈良のイメージが強いですが、実はそんなことはありません。日本各地に素晴らしい五重塔が多く存在しています。
TRiP EDiTORでは、前回そんな五重塔の歴史や魅力を紹介しました。そこで今回は、ぜひとも訪れてほしい、各地の五重塔10カ所をご紹介します。
最勝院/青森県弘前市
まずは、青森県弘前市にある最勝院です。ここの境内にある五重塔は重要文化財に指定されており、重要文化財に指定されているものとしては日本最北に位置します。
この塔は、寺伝によれば藩祖為信の津軽統一の過程で戦死した敵味方の供養のために建立したといわれており、1656(明暦2)年に着工し、1667年(寛文7)年に完成しました。釘を使用していないことが特徴で、東北一の美塔と言われています。
出羽三山神社・羽黒山/山形県鶴岡市
山形県鶴岡市にある出羽三山神社・羽黒山の五重塔は、平将門の創建と伝えらており、国宝に指定されています。現在の塔は約600年前に再建されたもので、東北地方では最古の塔といわれています。
高さ29m、三間五層のこけら葺・素木造り(しらきづくり)になっていて、その長い軒は鳥の翼のように美しいと言われています。四季それぞれの美しさがあり、特に冬は雪の降り積もる塔を見に来る人もいるほどです。
妙宣寺/新潟県佐渡市
新潟県佐渡市にある妙宣寺の五重塔は、江戸時代後期に建立され、重要文化財に指定されています。高さ約24m、1辺3.6mで柱には杉が使われ、ほかには松やケヤキが使われています。
棟梁の親子が二代にわたり30年がかりで完成させたといわれていますが、一方で各層とも勾欄(こうらん<欄干>)がないため、未完との説もあります。なんだかロマンを感じますね。
妙成寺/石川県羽咋市
石川県羽咋市にある妙成寺の五重塔は、相輪を含めた総高は約34mの塔で、1615(元和元)年に加賀藩3代藩主前田利常の命によって着工し、1618(元和4)年に完成しました。
妙成寺は本堂、五重塔、祖師堂、経堂などが国の重要文化財に指定されており、特に五重塔は北陸随一の威容と称えられています。またこの五重塔を背景とした庭園と書院の美しさも見逃せません。
日光東照宮/栃木県日光市
次にご紹介するのは、栃木県日光市にある日光東照宮です。ここの五重塔は、徳川家康公の33回忌に福井県の小浜藩主、酒井忠勝の寄進で1650年に建立されました。そして11代将軍徳川家斉の時代である1815年に火災で焼失してしまったため、酒井忠進によって、その3年後に再建されています。
高さは36mで、極彩色の日本一華麗な五重塔といわれています。初層軒下には富田宿(現大平町)の名工 後藤正秀が手がけた十二支の彫刻があり、初層内部にも漆塗り・彩色・漆箔が施されています。
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