景観や自然、文化的に価値がある建築物など、世界的に残していきたい、残すべきものが登録される、ユネスコ世界遺産。日本にも姫路城や屋久島など、世界遺産に登録されているスポットはいくつもあります。
そして2019年7月6日(土)、アゼルバイジャンで開催されているユネスコ世界遺産の委員会で新たに世界遺産への登録が正式に決定したのが、大阪府堺市にある「百舌鳥・古市古墳群(もず・ふるいちこふんぐん)」です。
そこで今回は、いま日本でもっとも注目を集めているといっても過言ではない、「百舌鳥・古市古墳群」について、その歴史と魅力をご紹介します。
目次
そもそも、「世界遺産」とは何なのか?
世界遺産は一言でいえば、国を問わず、世界の人々にとっての宝物のこと。歴史を証明し後世に伝えるものや、開発を免れ残されている自然など、過去から現在、そして未来に引き継いでいく、残していきたい人類の遺産のことです。
世界遺産には建造物や遺跡、記念物などの「文化遺産」、そして自然景観や動植物などの「自然遺産」があります。また、その両方を持ち合わせる「複合遺産」にわけられ、それぞれ貴重なエリアや建築物などを保存し、守り続けるという目的があります。
世界遺産への登録については、各国が事前にユネスコ世界遺産センターに提出する「暫定リスト」への掲載や推薦書の提出などのまず行い、現地調査などを踏まえ、世界遺産委員会の決議にて決定します。
この世界遺産委員会が、2019年はアゼルバイジャン共和国開催されており、今回正式に「百舌鳥・古市古墳群」の世界遺産登録が決定したのです。
世界遺産に決定した「百舌鳥・古市古墳群」
百舌鳥・古市古墳群は大阪府堺市にある古墳群のことで、4世紀後半から5世紀後半にかけて造られたとされる、王たちの墓群です。
古墳は日本の各地にありますが、そのなかでも百舌鳥・古市古墳群は墳丘の長さが約500mという規模の大きさのものや、独特なデザインの鍵穴型の前方後円墳などがいくつか集まっている、世界的にも珍しい古墳群です。
歴史の教科書に出てきた仁徳天皇陵古墳や応神天皇陵古墳、履中天皇陵古墳などもあり、その圧倒される規模だけでなく、長い歴史のロマンをも感じることができます。
抑えておきたい各古墳
百舌鳥・古市古墳群は百舌鳥エリアと、古市エリアに分けられます。とはいえ、古墳群といわれているだけあって、非常に数が多くあるので全部見て回ろうと思うと時間を要します。
ここでは筆者がおすすめの、ぜひとも見ておきたいポイントをいくつかご紹介します。
仁徳天皇陵古墳/百舌鳥エリア
同所へ訪れたなら、絶対に抑えておきたいのが「仁徳天皇陵古墳」です。5世紀ごろに造られたといわれる、日本最大の前方後円墳ですね。全長は約486mで、百舌鳥エリアに位置しています。
世界的にも知られるエジプトのクフ王のピラミッド、さらに中国の新の始皇帝陵と並ぶ規模の大きさで、世界三大墳墓のひとつともいわれています。大規模で壮大な古墳です。
応神天皇陵古墳/古市エリア
仁徳天皇陵古墳は百舌鳥エリアに位置していますが、古市エリアの中央部に位置するのが「応神天皇陵古墳」です。
日本最大の前方後円墳は仁徳天皇陵古墳ですが、日本第2位の大きさの前方後円墳がこちらの応神天皇陵古墳。墳丘長は約425mで、墳丘自体の体積では143万平方メートルと国内第1位の規模です。5世紀前半に造られたといわれています。
百舌鳥・古市古墳群には今回ご紹介した仁徳天皇陵古墳、応神天皇陵古墳だけでなく、数々の古墳があります。30~40m程度の小規模な古墳もいくつかあり、全部見て回ったら数日かかりそうなほど。
長い歴史を経てついに世界遺産へ登録された「百舌鳥・古市古墳群」は、日本だけでなく世界の宝物といえます。
訪れる際には、ぜひマナーを守りながら、その歴史に触れてみてくださいね
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