リンゴの名産地としても有名な青森県。美味しい食べ物に美しい雪景色は、何度訪れても感動の一言では足りないほど、魅力にあふれる場所です。
そんな青森県の三沢市には、アメリカンな雰囲気の街があることをご存じでしたか?実は、三沢市は国内でも珍しいとある場所が大変人気を集めているんです。そこで今回は、三沢空港を拠点に名所をめぐる旅をご紹介します。
目次
三沢空港に着いたら、滑走路に大注目!
三沢市をめぐる際、「三沢空港」から出発する人も多いのではないでしょうか。三沢市の玄関口といっても過言ではない三沢空港ですが、到着したら少し滑走路を眺めてみてください。
あまり聞き慣れない「ヒュイーン!」という音がしたと思ったら「ゴォオオオオオオオ!」と、爆音が鳴り響くことがあります。
ここ三沢空港は国内でも珍しい空港で、木々で隠れた滑走路から視界に飛び出してくるのは……
なんとジェット戦闘機!
そう、実は三沢空港は、民間の空港としてだけではなく、「航空自衛隊三沢基地」として、戦闘機の基地にもなっているのです。数年前は最新のステルス戦闘機であるF-35が日本に導入されて、最初に配備された基地として話題になりました。
さらによく観てみるとこんな航空機もいます。
機体マークをよく見ると、自衛隊機の日の丸と違い、星のマーク。アメリカ空軍機です!
日本でも珍しい「民間・航空自衛隊・在日アメリカ空軍」の3組織が共用する空港です。そしてメインは軍用機使用のため、日ごろから訓練で飛ぶジェット戦闘機を見ることができる空港なんですよ。
筆者が訪れた日は、午後から航空自衛隊F-2戦闘機が2機そろって離陸、そして最新鋭のF-35ステルス戦闘機が訓練から戻り、着陸して格納庫に戻るところが見れました!
リンゴと飛行機が繋いだ、日米の絆
三沢空港で貴重な戦闘機を見たあとは、じっくりと機体を楽しめる「三沢航空科学館」へ行ってみましょう。三沢と航空機の関係を学びながら、航空科学で遊ぶことができます。入館料は大人510円、高校生300円、中学生以下は無料です。
さて、ゲートをくぐるとさっそく目の前に赤い飛行機が展示してあります。この飛行機こそが、三沢と航空機の深い繋がりの始まりでした。
この飛行機は「ミス・ビードル号」です。三沢とどんな繋がりがあるのかざっくりとお話します。
1931年、世界初の太平洋無着陸横断飛行に挑戦する2人のアメリカ人パイロットがいました。彼らはここ三沢の淋代海岸に、三沢村の住人たちの協力を経て作られた飛行場からミス・ビードル号で離陸。41時間の飛行後にワシントン州ウェナッチまでの無着陸飛行に成功しました。
このとき、青森県の特産品であるリンゴを村人から貰い、飛行機に乗せて行ったそうです。そして着陸先のウェナッチもリンゴの名産地であったことから、お礼の品としてアメリカ産のリンゴを贈ったという話でした。
当時、2人の飛行を国として許可しないという風潮が流れていたなかで、三沢の住人たちは自ら飛行協会を設立し、外国人パイロットたちを手厚くもてなし、協力したとのことでパイロットからは大きな感謝が寄せられたといいます。
そしてその後、三沢市とウェナッチは姉妹都市として歩むことになりました。飛行機がまだ特別だった時代に、まさにリンゴと飛行機が繋いだ、日米友好の架け橋となったのがこのミス・ビードル号だったのです。
航空科学で歴史を学び、実際に体験する
館内に入ると、さまざまな体験設備があります。
物理学や力学を体感する装置やフライトシュミレータ、パイロット適正テスト体験、飛行機の仕組みが分かる模型、圧縮空気で地上8mまで持ち上げられるアトラクションなど、とにかく遊びながら学べる機会がたくさん!
全てしっかり遊ぼうとすると3時間以上はかかると思いますが、時間が許す限りじっくりと楽しんでみてくださいね。
実験ゾーンを抜けると、実際の航空機も展示されており戦後国産初の旅客機として作られたYS-11に乗ることができます。
そして2階フロアも圧巻の光景!
最初の飛行機とされるライト・フライヤー号から複葉機、そしてゼロ戦などの金属製軍用機から、現在の最新鋭ステルス戦闘機まで、たくさんのプラモデル完成品が展示されています。
ひとしきり見たあとは、エントランスホールにあるミュージアムショップへ。こちらには自衛隊グッズを始めとして、さまざまなお土産が販売されています。
とくに航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」のグッズは人気で、イベントときにしか手に入らないものもこちらで買うことができますよ。
休憩は三沢らしいアメリカンなお店で
科学館の中を歩くと、気がつけば数時間経っていると思います。ちょうど何か食べたくなるころにぴったりなのが、エントランスを出ると正面にある「Jack&Betty 2」です!
アメリカンな雰囲気のこのお店は、実際にホットドッグやピザ、ソフトプレッツェルなどのアメリカンな食事からごはんものまでしっかりと食べられます。
- 青森県立三沢航空科学館
- 青森県三沢市大字三沢字北山158
- 大人:510円、高校生:300円、中学生以下無料
- 休館日は公式サイトのカレンダーをご参考ください
- 開館時間9:00〜17:00(最終入館16:30)
- 公式サイト
実際の戦闘機に乗れる「三沢大空ひろば」へ
航空科学館の目の前は、「三沢大空ひろば」となっていて、退役した戦闘機や軍用機がズラリと展示されています。
なんと実際にジェット戦闘機のコックピットに座ることができます!
乗れるのはF-104Jスターファイターと呼ばれる、1986年に全て退役したジェット戦闘機をメインに、プロペラ練習機のT-3やヘリコプターOH-6、大型機のP-3などの航空機たち。
ほかにも米軍の戦闘機F-16戦闘機やブルーインパルスで使用されたT-2練習機など、本物のジェット機を近くで見ることができます。
ゆっくり見ているとあっという間に日暮れになってしまいました。
かつて後ろに見える滑走路から幾度も大空へ羽ばたいたであろう航空機たちが二度と飛ぶことが無く地上で羽を休める姿はどこか少し寂し気でもあります。
- 大空ひろば
- 無料
- 休園日:毎週月曜日(祝日の場合は翌日)
- 9:00~17:00
- 公式サイト
海外製品豊富な「スカイプラザミサワ」でアメリカ気分!
三沢航空科学館のあとは、およそ6kmほど離れた「スカイプラザミサワ」へ向かいましょう。こちらはちょうど三沢基地のメインゲートの隣にあります。
ここにはコストコ商品を始めとする、海外のさまざまな食品や雑貨を扱っているお店です。
1kg単位のベーカリーやポテチなど、いかにもアメリカンな商品がたくさん並んでいます。
- スカイプラザミサワ
- 青森県三沢市中央町2丁目8-34
- 10:00〜19:00
- 公式サイト
ほかにも米軍からの放出品で本物の制服を扱うお店、焼きたてのピザを食べられるお店など、三沢市街地の中心となっています。米軍関係者の方も多く来店するので、まさにアメリカのスーパーに買い物に来たような気分になります。
三沢の繁華街からも程近いので、たくさんのお店があるためお土産探しには困らないかもしれないですね。今回は時間の都合で立ち寄ることができませんでしたが、アメリカンなBARや名物バラ焼き発祥のお店など、グルメスポットが数多く軒を並べています。
航空機に興味がない方でもかなり楽しめるスポットです。筆者は正直一日では足りませんでした。そして、航空科学館ももちろんおすすめですが、年の一度の「三沢基地航空祭」も見逃せません。
- 三沢基地
- 公式サイト
2024年はもうすでに終了してしまいましたが、毎年9月ごろに開催されているので、その時期にあわせて三沢旅行を楽しむのもいいかもしれませんね。
お祭りでは、戦闘機のデモフライトやブルーインパルスのアクロバットはもちろん、米軍関係の方が出すアメリカ特有の屋台が並び、アメリカンフェスティバルといった感じのイベントです。
基地イベントですが、街中もお祭りの雰囲気になるのは三沢だけ!ほかの航空祭だと基地内のみお祭りムードのところが多いですが、街中が盛り上がっているので楽しみ方は唯一無二。
また、車で30分圏内には八戸市があり、有名な「八食センター」などもありますので、あわせて観光してみるのもおすすめです。東北旅行の際はぜひ、三沢を訪れてみてはいかがでしょうか。
- image by:石黒まり花
- ※掲載時点の情報です。内容は変更になる可能性があります。