赤茶色の屋根、クリーム色の壁、色とりどりの花が飾られたテラスや、小道にどこからともなく聞こえて来るクラシックミュージック…古き良きヨーロッパのイメージをそのまま現代に伝えてくれる街、それがチェコの「プラハ」です。
ヨーロッパは30カ国以上をめぐった筆者ですが、イメージと現実とのギャップがゼロだったおすすめの街がプラハ!おとぎ話の世界からそのまま飛び出してきたかのようなプラハの街並みは、ずっとずっと忘れられません。
初めてのヨーロッパ旅行におすすめしたい街でもあるプラハ。今回は、プラハはどんな街なのか、どんな見どころがあるのかについてご紹介していきます。
目次
チェコの首都「プラハ」ってどんな街?
中央ヨーロッパに位置するチェコ共和国。オーストリアやドイツと国境を接する国の首都がプラハです。
チェコは1993年に成立した若い国ではありますが、プラハの歴史はとても深く、第二次世界大戦でもほかの都市のようにすべてが失われることはなく、美しい姿を現代に伝えてくれています。
日本の5分の1ほどの大きさのチェコ。そのちょうど真ん中あたりにプラハは位置しています。けっして大きな街ではなく、人口も約130万人と京都市より少し少ないくらいです。
人口も多すぎない、時が止まったかのようなプラハの街は、360度どこを見てもため息の出る美しさ。街歩きこそがプラハの持つ最大の魅力です。
プラハは街全体が世界遺産!歩くだけで楽しい
およそ1000年の歴史を持つプラハは、全体が世界遺産に登録されています。世界遺産に登録されている街は数あれど、首都でありながら世界遺産でもある都市は多くありません。
ちなみにエストニアの首都「タリン」、ラトビアの「リガ」、リトアニアの「ヴィリニュス」などは、首都であり世界遺産でもある街です。
美しいバルト三国と肩を並べるのがプラハです。プラハには歴史的な遺産もたくさん残されていますが、最大の魅力は何といっても街歩きでしょう。
街全体がテーマパークのような統一感と美しさを誇っており、「世界一美しい街」という呼び名も納得。
大通りは優雅で上品な雰囲気を持つ一方、小道に入るとカラフルな花々が飾られていたり、おしゃれな看板がかかっていたりとキュートな雰囲気も併せ持っています。
日本からプラハへ行くには?直行便はある?
残念ながら日本からプラハへの直行便は就航していません。そのためヨーロッパのどこかの都市で乗り換え、プラハ空港(ヴァーツラフ・ハヴェル・プラハ国際空港)へ向かいましょう。
乗り換えは、フィンランドの「ヘルシンキ・ヴァンター国際空港」、ドイツの「フランクフルト国際空港」や「ミュンヘン空港」などが本数も多いのでおすすめ。だいたいトータルで飛行機に乗っている時間は15〜18時間ほどですが、乗り換えの便にもよります。
ヨーロッパの各所から「陸路」で向かう方法も
ヨーロッパを満喫したい人は、到着した国から陸路で向かうのはいかがでしょうか?
プラハはヨーロッパ各地と鉄道やバスで繋がっており、陸路でのアクセスも難しくありません。時間が許すならヨーロッパの鉄道旅でプラハを目指すのも素敵な思い出になるでしょう。
オーストリアのウィーンやフランクフルト、ミュンヘン、ベルリンとは鉄道でもバスでも繋がっています。陸続きのヨーロッパならではの旅ですね。
空港から市内への移動は?中心駅は「プラハ本駅」
プラハ空港は、プラハ市内から約17kmと少し離れたところに位置しています。市内へのアクセスはバスやタクシーが便利。美しい街へのアクセスをご紹介しましょう。
プラハ市内の中心となるのは「プラハ本駅(プラハ中央駅)」です。国際列車も発着する大きな駅で、空港とも繋がっています。
この駅もプラハ市との景観の調和を取るため、アール・ヌーヴォー調のとても美しい駅舎。交通の拠点であるにも関わらず、フォトジェニックなスポットでもあります。
プラハ市街に出る前にまず駅で感動してしまうこと請け合い。これからの旅への期待感を高めてくれる場所です。
移動に楽な「エアポート・バス」がおすすめ
空港からプラハ本駅まで行くのに最も便利なのが「エアポート・バス」でしょう。だいたい30分間隔で出発しているエアポート・バスは乗客のほとんどが観光客なので、大きな荷物を持っていても気兼ねなく乗車できます。
第一ターミナル、第二ターミナルどちらも通り、そのあとはプラハ本駅まで直通。交通の状態にもよりますが、大体30分位で駅まで到着します。60チェコ・コルナ(約377円)というリーズナブルな価格も魅力です。
朝6時から夜10時ごろまで運行しているので、到着時間がその間であればバス利用をおすすめします。チケットは運転手から直接購入するか、空港のカウンターで購入できます。
荷物ありの移動は大変なので「市バス」はあまりおすすめしない
市バスもありますが、慣れない場所で荷物を持ってのバス移動は大変なのであまりおすすめできません。
夜遅くまで運行しているので便利といえば便利ですし、プラハ市内郊外のホテルの場合は市バスの方が良いこともあります。
しかし、プラハ市内中心部のホテルを予約しているのならエアポート・バスへの乗車を強くおすすめします。
こちらもカウンターや運転手からチケットの購入が可能。119番、100番、191番のバスがプラハ市内方面へと向かいます。
「タクシー」に乗るなら配車アプリが無難
初めてのプラハで、エアポート・バスが運行していない時間に到着する場合は、やはりタクシーが便利。プラハ空港と市内までは大体2,700円~で到着できます。
ただ、プラハのタクシーはあまり評判が良くなく、メーターをまわしているかきっちりチェックする必要があります。乗り込む前に、おおよその金額を確認しておくことも大切ですね。
定額制のタクシーを予約しておくのもいいかもしれませんが、Uber(ウーバー)などの配車アプリでの予約がベターといえるでしょう。
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プラハ市内の移動手段は?
続いて、プラハ市内の交通手段をご紹介しましょう。プラハは大きな街ではないので歩いての移動ももちろん可能ですが、ちょっと郊外へと足を伸ばす時や疲れた時などには便利です。
地下鉄(メトロ)・バス・トラムは同じチケット
都市部ではどこに行くのも便利なメトロ。プラハもメトロが張りめぐらされていますが、3路線しかないので分かりやすく乗りやすい造りになっています。
プラハの公共交通機関であるメトロ、バス、トラム(路上電車)は同じチケットで乗車できるのでどこで購入しても大丈夫。時間制になっており、地下鉄で移動したあとにトラムに乗り換える、なんて使い方も可能です。
観光客である私たちは一日券の購入が便利。一日券は110チェコ・コルナ(約690円)と比較的リーズナブルな価格で交通機関は乗り放題になります。チケットは窓口や自動販売機での購入が可能です。
市バスも走っていますが地下鉄に乗車できれば使うことはないかもしれません。かわいいトラムには短距離移動の際に乗車してみるのも思い出になるでしょう。
プラハの治安は?過度な心配は不要?
プラハはとても治安の良い国ですので、過度な心配は必要ありません。それでも気をつけておくべきことや近寄るべきではないエリアも存在するので、自衛のためにも知識を蓄えておきましょう。
まず、いくら治安が良い国だといっても外国であることを意識しておくこと。荷物を置いたまま席を立ったり、地下鉄での居眠り、深夜遅い時間の独り歩きは避けるべきです。人通りの少ない小道へ入るのも避けましょう。
基本は明るいうちに観光を楽しんで、ホテル近くのレストランやバーなどで食事を楽しむという旅のスタイルがおすすめです。
夜遅くにプラハ本駅周辺やモルダウ川の高架下周辺には近づかないこと!昼間なら問題のない場所でも、夜になるとちょっと怖い雰囲気が漂っています。
プラハの気候とベストシーズンは?
大陸性気候に属しているチェコは日本と同じように四季のある国です。とはいえ、冬の寒さは厳しくても夏はそこまで気温が上がらず過ごしやすいのが特徴。
冬は日没時間も早いので観光できる時間が減ってしまいますし、気温は氷点下まで下がります。
しかし観光に向いていないか?と、いうとそうでもありません。オレンジの温かな灯りが灯るプラハはとてもロマンチック。個人的には冬のヨーロッパが好きなので、冬を避けるべきとは思いません。
一般的にベストシーズンといえるのは5~6月の暖かくなり始めの時期でしょう。さまざまなイベントが開かれ街には活気がありますし、花を飾る家も増えます。夜9時ごろまで明るいのも魅力ですよ。
プラハの主なエリアは?ホテルの場所はどこがおすすめ?
次は、プラハを主なエリア別にご紹介しましょう。ホテルの場所を決める際の参考にしてみてください。
旧市街エリア
多くの宿泊施設が集まっており、夜遅くまで賑わっているのがプラハ旧市街エリアです。その名の通りクラシックなプラハを楽しめるエリア。
古き良き街並みが広がり、教会や広場などの見どころもある上、レストランやお土産物屋さんなども観光に欠かせないショップも充実しています。
ホテルの窓からも赤茶色の屋根を持つプラハの街並みが見えるので、朝起きてから眠るまでずっと中世ヨーロッパに迷い込んだ気分が味わえます。
カレル橋周辺エリア
プラハを代表する風景である、カレル橋周辺エリアに宿泊するのもおすすめ。カレル橋は年間を通してライトアップが楽しめるので「これぞプラハ!」といった景色が楽しめます。
観光の中心地ではあるものの、夜は騒がしくなく静かに過ごせます。ホテルも大きなものではなく、家族経営の素敵なものが集まっているのも特徴。内装にもこだわっている施設が多く、ロマンチックな気分に浸れるでしょう。
プラハ城周辺エリア
「フラッチャニエリア」とも呼ばれるプラハ城を中心とするエリアも観光・宿泊のメインのエリアです。
プラハ城はもちろん、聖ヴィート大聖堂やお土産物屋さんが並ぶかわいい小道「黄金小道」、フレスコ画が美しい聖イジー教など見どころが詰まっています。
坂道を登っていくとプラハの街が一望できるエリアも。かわいいホテルもたくさんあり、滞在にもとても適しています。
新市街エリア
旧市街周辺に広がるのが、比較的新しい街並みの新市街エリアです。ヴァーツラフ広場を中心に広がる新市街は旧市街とはまた違った趣きのある街です。
「新」とはいうものの、14世紀から整備が始まっているので古い建物もたくさん。人口増加に合わせて旧市街を拡張したのが新市街というわけですね。
プラハ新市街には中央駅やミュシャ美術館、国立博物館などもあります。中世のプラハを楽しんだ後は、少し現代的なプラハの姿を味わいましょう。
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プラハで見逃せないスポットは?
歩いているだけで十分に楽しく、物価も安く旅行に適したプラハには見どころもたくさん。プラハ旅行で見逃せないスポットをご紹介しましょう。
プラハはコンパクトな街なので一日で見て回ることも可能。駆け足で見て回るも良し、じっくり時間をかけるも良しです。
プラハ城
プラハの中心といえばやはり「プラハ城」です。街の遠くからでも見えているプラハ城は、14世紀にはすでに現在と同じ姿であったとされています。
小高い丘の上に築かれた美しいお城はプラハの街を一望できるので、カメラを忘れずに持っていきましょう。
プラハ城の敷地はとても広く、中には王宮や教会、塔などが集まっています。チケットも中をすべて見て回るのか、ポイントを押さえて回るのかで種類が変わり価格も変わります。
チケットの種類はありがたいことに日本語での表記もされているため安心して購入できますよ。チケットオフィスは王宮や中庭など全部で5カ所あるのですぐに分かります。
プラハ城の中には
- ・王宮
- ・聖ヴィート大聖堂
- ・聖イジー教会
- ・ダリボルカ塔
- ・黄金の小路
などが集まっています。
ゆっくり見学すると3時間は余裕でかかってしまうでしょう。私はプラハ城観光の際、贅沢に一日を費やしました。
「世界一美しい」といわれるスターバックスでコーヒーを飲んだり、黄金の小道でお土産物を探したりと時間が経つのを忘れてしまいます。予定をきっちりと組みたい人は、時間を多めに取っておくことを強くおすすめします。
カレル橋
モルダウ川にかかる大きな「カレル橋」。600年も前から交通の要所として使われてきたカレル橋は、美しいアーチと彫刻の数々が魅力。
路上で音楽を奏でる人がいたりと雰囲気もとても良い場所です。遠くから眺めるのもきれいですし、いかにもプラハらしいのですが、ぜひ渡ってみることをおすすめします。
橋の両サイドには大きな像がいくつも飾られており、まるで美術館のよう。そのなかでも触ると幸せになれると噂されているのが「聖ヤン・ネポムツキー」の銅像。
手に金色の葉っぱを持った銅像を見つけたら、ぜひ台座に触ってくださいね。
このジンクスは世界共通のようで、人が集まっているので分かりやすいですよ。カレル橋は橋の先に塔があり、どちらも登れるのでおすすめ。こちらもフォトスポットです。
旧市街広場
旧市街地の中心となっているのが「旧市街広場」です。広く美しい広場には、多くのパフォーマーや音楽家たちが集まっており、とても華やかな雰囲気。
広場内のテラス席に座って過ごす一時は、本当に素敵なヨーロッパの思い出となるはずです。
日本ではこのように広々としたテラスに座って時間を過ごすなんて日常的にできることではありませんよね。目の前に広がる景色に感動してしまうことでしょう。
広場内にある旧市庁舎には有名な天文時計が残されています。15世紀に造られ、いまも動き続けているからくり時計は毎時ちょうどに動き出します。
この時間帯になるとからくり時計を見ようとたくさんの人が集まり、動き出しの最初と最後には自然と拍手が湧き上がるほど!ぜひお見逃しなく。
プラハへロマンチックな旅へと出かけよう
街並みが何よりも魅力のプラハ。女性同士の旅はもちろん、ひとりでもカップルでも楽しめること間違いなしの街です。
観光スポットはもちろんのこと、可愛い雑貨店めぐりやカフェめぐりも魅力ですし、街中で奏でられる音楽に癒やされるのもプラハならではです。
ヨーロッパのなかでも治安は比較的悪くなく、物価も安く、かつ美しい風景の見られるプラハでヨーロッパらしい旅を味わってみませんか。
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