日本に住んでいると、当たり前のように思っていることがたくさんありますよね。しかしその当たり前は海外では通じなかったり、外国人にとっては異文化のカルチャーショックになるケースも珍しくありません。
例えば、日系企業での就職活動(就活)や社会人生活で困ったこともある様子。それは私たち日本人からしても、外国人と同じように困ったり、驚いたりしたこともあるのではないでしょうか。
そこで今回は日本で働く外国人に聞いた「就活や社会人生活で困ったこと」について紹介していきます。
※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの国内・各都道府県情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
履歴書は手書きじゃないとダメ?
まずは、書類選考のときに必ずといっていいほど必要になる「履歴書」について。基本情報から始まり、学歴や職歴、自己PRを記載したりしますよね。ただ、日本で就活を経験した香港出身者によると、慣れないルールに戸惑ったことがあったそう。
「香港では日本のように手書きの履歴書を会社ごとに書き換えて持参するということはありません。パソコンで作成した、学歴や職歴をまとめたポートフォリオを持参し、個人面談するのが一般的です。また、日本のように男女みんなが着るリクルートスーツも持っていなかったので、慣れないころは困りました。でも服装を考えなくていいという点では、リクルートスーツが便利かもしれません」(香港出身)
いまでこそ日本でもデジタルで作成した履歴書が主流で、新卒・中途採用においても手書きで作成することも少なくなってきました。しかし一部の企業では、手書きの履歴書の提出を求められることもあるそう。
手書きの履歴書は「熱意が伝わる」という見方もあるようですが、手書きだから受かりやすい、デジタルだから熱意が伝わらないというわけではないですよね。
コネなしで一流企業に就職できるのは希望がある
おなじく香港出身者によると、新卒採用と中途採用の違いについても驚いたという声が聞こえてきました。
日本では「新卒一括採用」というシステムがあります。しかし香港では、人それぞれのタイミングで就活を行うのが一般的で、場合によっては人脈が重要になることもあるのだとか。
「新卒採用よりも社会経験とスキルがある中途採用が重宝される香港に比べたら、知り合いの紹介やコネ入社もないのに、一流企業に就職できる可能性がある日本の就活には希望がある」(香港出身)
香港では即戦力が重宝される傾向にあり、企業内でポジションに空きがないと、採用されないというケースも珍しくないそう。そのため新卒採用というより、中途採用の実力と経験のある人のほうが就職しやすいみたいです。
いまだに有給休暇が取りづらい?
「話に聞いてはいたけど、会社の有給休暇が取りづらく、有給を消化しないでムダにしている人が多いことに驚きました。自分は外資系なので問題ありませんが、家族や友人の会社は日系企業で有給を申し出にくい雰囲気があるみたいです。これでは旅行の予定もなかなか立てられないですよね…」(シンガポール出身)
日本では有給休暇の取得が義務化され、以前よりも休みやすくなったかもしれません。
旅行ブランドであるエクスペディアが、世界16地域での「有給休暇・国際比較2021」を発表し、その内容によると日本での有給休暇の取得率は60%という結果に。同調査の過去最高は2015年の同じく60%でしたので、6年ぶりに改善傾向にあるようです。
ただし、タイや台湾、カナダやドイツなどが軒並み90%以上の取得率であるのに対し、日本はニュージーランド(50%)とオーストラリア(50%)に次ぐ低さという結果に。
また、昨今のコロナ禍の影響で有給休暇が取りやすくなったという声もあれば、半数以上が変わらないと回答していました。日本の有給休暇については、もっと意識が変わってくることに期待したいですね。
このように国によって、就活のルールや社会人生活は少し異なる様子。もちろんどの国が正解ともいえませんが、仕事をする時間は人生でも大きな割合をしめますので、気持ちよく働いていきたいですよね。そして人生がもっと充実したものになるよう、当たり前と思っていることから見直していく必要があるのかもしれません。