石の動物しかいない…世界の「動物園」はおもしろカルチャーの宝庫だった

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家族連れのおでかけのみならず、デートスポットにも最適な「動物園」。

最近では、上野動物園で生まれたジャイアントパンダのシャンシャンを含む数頭が中国へ旅立ち、話題になったことも記憶に新しいですよね。返還時期を迎えたシャンシャンを一目見ようと、多くのファンたちが成田空港に集まっていました。

もちろん上野動物園のほかにも、さまざまな特徴のある動物園は日本にはありますが、世界にはもっと特徴的で個性的なところがあります。

そこで今回は、日本ではめぐりあえない世界のちょっと変わった動物園をご紹介。各国に訪れる予定がある場合は、ぜひ旅のプログラムに入れてみてはいかがでしょうか。

※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの海外渡航・入国情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。

石の動物しかいない動物園/キューバ

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最初は、キューバにあるちょっとユニークな動物園から。動物園といえば、生きた動物が展示されている場所を自然に想像しますよね。しかし、キューバには、石の動物しか展示されていない動物園があります。

正式名称は「ZOOLOGICO DE PIEDRA」。英訳すると「THE STONE ZOO」で、日本語にすると「石の動物園」といった感じでしょうか。

子どものころから模型づくりに熱中してきた創業者のAngelさんが、約27ヘクタールある荒れた土地に、石の動物を展示した動物園をつくろうと動き始めたところから歴史がスタートします。

結局、2002年に身を引くまで、創業者は350以上の石の動物を彫り上げて展示を実現しました。

ニワトリ、ウサギ、イヌ、ネコなどについては自分の知識から。ライオンやバッファロー、ゾウ、カンガルーなどについては図鑑などの本を見ながら、展示物を仕上げていったみたいですね。


創業者が引退すると、息子のAngelitoさんが引継ぎます。息子さんはご自身でも90体以上の石の動物を彫って園内に追加ました。

こうしたユニークな歴史がたたえられ、キューバの文化遺産に1977年に指定されています。

肝心のロケーションは傾斜地にあり、階段が324段もあるため、それなりに覚悟して訪れないといけないみたいですが、興味深い動物園ですよね。

標高2,000mに位置する動物園/インド

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次は、インドの「パドマジャ・ナイドゥ・ヒマラヤ動物園(Padmaja Naidu Himalayan Zoological Park)」を紹介します。通称は「ヒマラヤ動物園」だとか「ダージリン動物園」だとか。

インドといえば暑い印象があるはず。しかし、インド北部の高山地帯はすごく涼しくて、例えば、紅茶の産地で有名なインド北東部のダージリンなどは避暑地としても人気です。

筆者も、同地を長く旅した経験があります。上着やニット帽、マフラーなどがなければ、寒くていられないくらいだったと記憶しています。

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そんなダージリンにある動物園が、上述の「ヒマラヤ動物園」です。ただし標高2,000mに存在する動物園なので、立地的にはかなり珍しいのではないでしょうか。

日本で最も標高の高い場所にある動物園は、群馬県の草津高原にある「草津熱帯圏」で、標高は1,200m。

日本一標高の高い水族館として知られる「蓼科アミューズメント水族館」も標高は1,750mです。そう考えると「ヒマラヤ動物園」の標高2,000mとは、なかなかの高さですよね。

創立は1958年。ヒマラヤに生息する植物や動物たちを研究・保護する目的で誕生しました。ベンガルトラやレッサーパンダ、チベットオオカミ、ユキヒョウなどが展示されており、いずれも絶滅が心配されている動物です。

それら希少な動物の保護・繁殖に目覚ましい成果をあげているため2014年には、ロイヤルバンク・オブ・スコットランドがWAZA(世界動物園水族館協会)と共同で設ける「アース・ヒーローズ賞」の第1回受賞者となっています。

この「アース・ヒーローズ賞」では、世界の300の動物園と競い合うなかで受賞したのですから、標高だけでなく地球への貢献度もびっくりの動物園なのですね。

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