昨年リリースしたシングルが爆発的にヒットし、紅白歌合戦の出演も話題となったYOASOBIの楽曲『アイドル』。日韓のアイドルが同じステージでコラボする演出で、ファンのみならず多くの視聴者が魅了されました。
日本でアイドル文化が始まったのは、1970代頃と言われています。年々多くのアイドルがデビューし、今では世界的に認知される日本のアイドルも増えてきたような印象を受けますが、実際はどうなのでしょうか。
調べてみると、アイドルを取り上げた論文は日本語でも英語でもたくさんあります。海外の大手メディアの記事や、英語圏の巨大Q&Aサイトにもたくさんの記述が残されています。
そこで今回は、それらの情報源をもとに、日本のアイドル文化が世界でどのように評価されているのかを調べてみました。
日本のアイドルは「不完全」も魅力
そもそも、日本独自のアイドルの定義とはなんなのでしょう。
日韓のアイドルを比較した、米シェフィールド大学の論文によると、日本のアイドルは、単独および単一の性別のメンバーによって構成されたグループで、若い年齢でデビューし、観客を楽しい気分にさせてくれる存在だと定義されています。
一方で、韓国のアイドルは、ダンスや歌のスキルが高く、より完成された存在として定義されています。
これらの表現には、読者の皆さんも直感的に納得できる部分が多いのではないでしょうか。
また、海外の巨大Q&Aサイト『Quora』でも「日本のアイドルと韓国のアイドルの違いは?」との問いに、同様の回答を寄せている外国人がたくさんみられました。
日本は「推し」を育てながら愛でることを楽しむ
日韓アイドルの違いの根っこには、両国の国内マーケットの規模の違いを指摘する識者の声も多くあります。
韓国の場合は、国内市場が小さいため海外に出ねばならず、世界市場(主に、世界最大の規模を誇るアメリカ市場を想定)で戦うためには、ダンスにも歌にもトップクラスのクオリティが求められるとの指摘です。
日本の場合は、人口も多く、音楽市場は縮小傾向にあるもののそれなりの規模(世界第2位)で存在するため、海外市場を意識せずとも、国内受けするアイドルをつくればいいという理屈です。
さらに、日本には、無名の新人を発掘して育てる文化が強いと指摘する識者もいます。例えば、歌舞伎の若手俳優や若手力士を見出し、達人になるまで応援するような文化が古くからあるとの話。
「日本のファンはアイドルが時間の経過とともに成長していく様子を見守ることに重きを置いているのに対し、Kpopアイドルのパフォーマンススキルは最初から比較的洗練されているように感じます」(フィンランド/女性)-『Quora』より引用
言われてみると、ちょっとわかる気もします。きっとインディーズバンドを無名のころから追いかける楽しさみたいな感じですよね。
「韓国側のアイドルたちは、非常にパワフルなダンス力と歌唱力が期待されています。一方日本のアイドルは、スキルの有無よりも無邪気ないい子のほうが求められるよね」(日本/男性)-『Quora』より引用
その結果、不完全なままでもデビューさせる(頑張っている姿の方が大事)といった、日本のアイドル像が生まれていったと識者は考えているようです。