一番星の生まれ変わり?外国人が日本独自の「アイドル」文化について思うこと
日本のアイドルは「風変わり」で「奇妙」
では、そんな日本のアイドルを、世界はどのように見ているのでしょうか。
冒頭でも紹介したYOASOBIのヒットや、海外でも長い人気を誇るBABYMETALやPerfumeなどの活躍をみると、日本のカルチャーはそれなりに海外でも盛り上がっている印象を受けます。
しかし、あくまでも、漫画やアニメを含んだ日本のカルチャー全体を見た時の話で、特殊性の強いアイドルの世界を単体で見た時、ちょっと様子は変わってくるようです。
冒頭で紹介した、米シェフィールド大学の論文では、K-popを含めたアジアのポップカルチャーに対して、以下のような指摘が紹介されています。
<K-pop is not, in fact, ‘popular’ in America, because of the way large internet fan bases (with BTS’ being the representative example) ‘amplify’ their relevance>(上述の論文より引用)
「K-popは、本当の意味でアメリカで人気かといえばそうではない。(BTSが代表例だが)インターネットのファンがその人気を、現実以上に大きく見せているだけだ」といった感じの意味です。
K-pop、ましてやBTSですらそう言われてしまうわけです。
ジャスティンビーバーやワンダイレクションなど、本当の意味での人気者と同列になるくらい、”日本のアイドル”が認知されて人気を博しているかといえば、ちょっと違うみたいですね。
ただ、「Weird」「bizarre」という言葉で、日本のアイドルが広く認知されている点は間違いないみたいです。「Weird」「bizarre」は「風変わり」「奇妙」といった意味。
例えば、BBCやCNNなどの世界的なメディアでは、元AKB48の峯岸みなみさんが頭を丸刈りにした話や、その背景にあるアイドル=恋愛禁止といった独自の文化、ジャニーズ事務所で起きた性被害の話題が盛んに取り上げられています。
CNN Talk Asiaでは、音楽プロデューサーにして作詞家の秋元康さんが、性的搾取について米CNN記者にコメントを求められていました。
水着を着た若い女子たちに、意味深な言葉を歌わせ、ダンスで腰を振らせ、胸を寄せさせる行為が、性的搾取にあたるのではないかと指摘されたのです。
この特殊性(Weird、bizarre)は、先ほどでも紹介した、世界第2位とも言われる規模の日本の音楽市場内で、日本人同士が競争する環境が一因となっているとも考えられます。
ただ、この特殊性が、アイドル文化を含んだ日本のカルチャー全体に対する「The most unique country in the world(世界で最もユニークな国)」という評価に一定の影響を与えている点は間違いありません。
そのユニークさを求めて、訪日観光客が押し寄せている面を考えると、ネガティブな面だけでは決してないと言えそうです。