不思議な「昆布温泉」…ニセコ温泉郷を代表する贅沢宿で美肌の湯をたっぷり楽しむ

image by:小林繭

一言で温泉宿と言っても、純和風の旅館から、和モダン、ホテル、リゾートなどさまざまなタイプにカテゴライズされる時代。毎回宿選びは楽しい作業であると同時に、あれこれ悩む時間でもあります。

今回ご紹介したいのは、リゾートと別荘をかけ合わせたような滞在が叶う宿「ニセコ昆布温泉鶴雅別荘 杢の抄」。

こちらの宿、まず気になるのが、ちょっとというかかなり不思議なこの「昆布温泉」という名前。宿泊を決めたのもその名前に惹かれてでした。

「昆布温泉」の由来には諸説あり、その昔アイヌの人たちが道しるべとして木に昆布を巻きつけたとか、アイヌ語の「ドコンボ・ヌプリ」(小さなこぶ山、の意)が訛ったからだとか。

宿があるのはニセコアンヌプリの麓。標高300mに位置する森の温泉宿で、ネーミングにあるとおり、まるで別荘を訪れたかのようなやすらぎの滞在が過ごせる場所です。

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エントランスをくぐった瞬間から始まる別荘時間

ロビー「イランカラプテ」。アイヌ語でこんにちはという意味天井から下がる照明は、雪深いニセコの森の木々にふわりと積もる雪をイメージしたものだそう! image by:小林繭

到着するとまずエントランスで視線を惹きつけるのがドアに施されたアイヌの紋様。

こちらの宿は、古くから北海道の大地に根付くアイヌ文化が視覚的デザインのテーマとなっていて、ロビーやラウンジなどのパブリックスペースはもちろんのこと客室の装飾や館内着に至るまでアイヌのアートやモチーフが散りばめられています。

期せずして、そのときの旅のテーマがアイヌ文化の施設巡りだったので、まさにドンピシャ!の宿をセレクトしたというわけでした。


木のオブジェがあったりすることでぬくもりを醸し出している客室空間 image by:小林繭

客室は露天風呂付きのスイートタイプからスタンダードまで幅広く、サウナ付きの部屋も用意されています。雪×サウナの滞在もなかなかよさげ。北の大地で整いたい方にはおすすめではないでしょうか!

私が宿泊したのはスタンダードタイプで(客室露天はついていません)、52平米の空間に寝室とリビングがゆるやかにセパレートされた客室です。

ベッドルームとは別になったリビングスペース。ゴロンと横になれる大きさのソファと、マッサージチェア! 壁にはアイヌの紋様 image by:小林繭

ホテルというよりもマンションの一室という雰囲気で、シンプルなインテリアでまとめられているところも好印象。

基本的に温泉宿ではあまり部屋風呂の有無にこだわらない派ですが(最近は温泉付きの客室が多いけれど、時代の流れに乗ってとって付けた感で居心地や景観の点で残念なことも多々あるので。あくまでも個人的な感想ですが)、この「ニセコ昆布温泉鶴雅別荘 杢の抄」の特別室の存在にはココロ惹かれてしまいました。

なんと165平米もあり、部屋風呂とは思えない大きな展望露天風呂とフィンランド式サウナ(もちろん水風呂も!)が備わっているそう。取材などのチャンスがあれば一度どんな様子なのかぜひ拝見させていただきたいものです。

すぐ横にはニセコアンベツ川が流れ、周辺は静かな森林というロケーションなので、きっと格別に素敵な気がしてなりません!

ジャズの流れる空間で、暖炉とワインと焼きマシュマロ!

思い思いの時間を過ごせるラウンジスペース「アペソ」image by:小林繭

別荘をテーマにしているだけあって客室がくつろげる空間であることはもちろん、パブリックスペースの居心地よさもかなりのハイレベル。

中でもエントランスを入った左手に位置するラウンジスペース「アペソ」の存在は群を抜いています。アイヌ語で囲炉裏を意味するこのラウンジには、暖炉を囲んでソファが配置され、ゆったりとしたくつろぎのスペースとなっています。

シックな和モダンテイストにまとめられたインテリアと吹き抜けの高い天井が空間に開放感を生み出し、随所に散りばめられたアイヌモチーフが旅気分を演出。

書棚に並ぶ本のセレクトもなかなか興味深し! 奥に見えるのがバースペース image by:小林繭

壁一面にさまざまなジャンルの本がずらりと並ぶ書棚を眺めているだけでも楽しいし、ジャズの流れる室内で暖炉にあたりながら眺める窓の景色にほっこりします。

窓の外は足湯のあるテラスになっていて、雪のない季節にはアウトサイドリビング的なくつろぎスペースに。

ちらちらと揺れる炎を眺めながら、湯上がりのワインですっかりくつろぎモード image by:小林繭

ラウンジではコーヒーやお茶に加え、スパークリングやワインも自由にいただけるので、本当にまるで別荘に来たような気分でゆったりとした時間を過ごすことができます。

暖炉で焼いていただく「焼きマシュマロ」のサービスもあるのも嬉しく、暖炉と読書とワインで何時間でも過ごせてしまいそう。

また、「アペソ」の奥にはカフェ&バー「アペ」もあり、リキュールやカクテルが飲みたくなったらそちらへ移動。ラウンジとバーの居心地があまりによすぎて、なかなか客室に戻れなくなりそうですけど。

実は北海道の古い温泉場でした!

「命泉の湯」と命名された湯処。夜通し利用できるのも嬉しいポイント image by:小林繭

古くから温泉場として知られる「昆布温泉」の開湯は明治32年。洞爺湖、根崎と並んで北海道三霊泉のひとつとされています。

源泉はいくつかあるようですが、こちらのリゾートはナトリウム―塩化物・炭酸水素温泉のやわらかな湯がひかれています。

絶景ではないけれど、開放感のある露天。ぬる湯なので長湯で楽しめます image by:小林繭

メタケイ酸を多く含むので、湯上がりにはしっとりと肌が整う感触に満足。自然の音に耳を澄ませながら、ゆったりと湯に浸かる時間もまた素晴らしいリラックスタイム。

残念ながら大浴場は循環式ですが、客室露天では源泉掛け流しを楽しめる部屋もあるとのことなので、掛け流しにこだわる人は露天付きの客室がおすすめです。

極寒の季節に訪れましたが、ナトリウムを多く含む湯は身体の芯から温まり湯冷めもしにくいので、滞在中はずっとポカポカが続くので、温泉効果を実感。

  • 泉質
    ナトリウム―塩化物・炭酸水素温泉
    (旧泉質名:含重曹-食塩泉)
  • 効能
    冷え性/関節痛/神経痛/皮膚病など

北海道の美食がトッピングされた高級旅館の食事

おしゃれなレストランの食事を、湯上がりに作務衣姿でいただける幸せ! image by:小林繭

さて、ホスピタリティの高さは食事においてもぬかりがなく、お値段以上の満足度と断言できます。北海道という土地柄、素材力は抜群なわけで。

北海道に来たらこういうのが食べたかった!の欲も満たしてくれる海の幸 image by:小林繭

ニセコと北海道の旬の味覚をたっぷりトッピングした創作日本料理は、一品一品が安定の完成度で、盛り付けにおいてもモダンキュイジーヌな魅せ方で華があります。

しかも、夕食時のアルコールはフリーでいただけるのです(一部、有料メニューもあり)!予約時に細かいところまでチェックしていなかったので、食事のドリンクオーダーのときに知ったのですが、これってなかなか、いやかなり嬉しいサービスですよね!

シンプルに素材の旨味を味わう朝食膳 image by:小林繭

スタッフの方々の対応も実に気持ちがよく、ゆっくりと美食を楽しむ感覚は、確かにまるで素敵な別荘に招かれたような気分とも言えます。

朝食もいろどりの美しい和定食で、味、バランスともに申し分のない内容。御釜で炊き上げた北海道産「ゆめぴりか」の美味しさも格別で、朝から箸が進むはず。

晴れた日の羊蹄山 image by:小林繭

ほとんど下情報なしに昆布温泉の名につられて訪ねたこちらの宿、行ってみたらなかなかの完成度の高さに驚かされました。

ちなみに鶴雅別荘の「鶴雅」とは、北海道で16のホテルやリゾートを経営する鶴雅グループのこと。後からネットの口コミを見ると総じて評価が高いことにも納得。

余談となりますが、このときの北海道旅は実はひどいぎっくり腰をやった直後。飛行機に乗るのも無理、とキャンセル覚悟だったのですが、当日奇跡的に飛行機に乗れる状態にまで回復し、なんとか辿り着くことができたんです。

そのため長湯は絶対にNG。冬の温泉宿を訪ねて長湯NGというのも辛いものですが、この最高にくつろげるラウンジの存在のおかげで時間を持て余すこともなく、とっても居心地のいい時間が過ごせました。

本当に行けてよかった!サイズ感といい、ロケーションといい、すべてにおいてくつろげる宿なので、機会があったらぜひ連泊で訪ねてみたいと思っています。

  • ニセコ昆布温泉鶴雅別荘 杢の抄
  • 北海道虻田郡ニセコ町ニセコ393
  • 0136-59-2323
  • ニセコ駅
  • ホームページ
  • image by:小林繭
  • ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
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